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-37-:お前ら、二人乗りだったんだな

 “シールドバッシュ”それは。


 重装甲冑兵相手に用いられた、盾を重棍代わりに相手に打撃を加える転倒技。


 転倒させれば重い甲冑は枷となり、立ち上がるのが困難な重装甲冑兵はいとも簡単に鎧の隙間にナイフを突き立てられて命を落とす。

 盾とは、単に身を守るだけのものではないのだ。


 エキュのような小型盾ならば軽く取り回しも楽なので難なくシールドバッシュを放てる。


「それにしても悪趣味な盾やな」

 盾を上下二分するように引かれたギザギザの模様は、実は単なる線ではなく、二枚の装甲の重ね目のようである。その上に半開きの一つ目が描かれており、一つ目巨人(サイクロプス)を意匠としているようにも(うかが)える。


 またもや。


 今度はシールドバッシュを放とうとバックハンドの体勢に入ったその時、右のキバの切っ先を垂直に小型盾に突き立てて動きを封じた。


 ソネが盾を武器にしたように、ベルタは逆に脇差しを盾にしたのだ。

 絶えず垂直にしておかないと封じておくのは困難ではあるが、そこは技量の差で補ってみせる。


 一撃離脱戦法と見せかけてからのシールドバッシュは悪くはなかった。だが、小細工では技量の差は埋められない。

 左のキバで首を落とそうと剣を放つもタルワールによって受けられた。

 ベルタが圧している。

 キバの刃がソネの顔前まで迫っている!


「ちょっと待って!コレ変だよ!」

 クレハはふと湧いた違和感を声に出さずにいられなかった。


「よーし!このまま圧し斬ってやる!」

 意気揚々に言っておきながら、「!?」ヒューゴは自身が口に出した矛盾点に気付いた。

 出力の下がっているベルタがソネを圧倒しているのはおかしい。

 ハメられた!と気付くも一歩遅かった。


 ソネの盾がギザギザ部分から上下に分かれて開口!突き立てていたキバは開かれた口へと飲み込まれた瞬間、上下の装甲が瞬時に閉じてキバを噛み折ってしまった。

 そして、ソネの眼前まで迫っていたキバも×の字の口元が展開、さらにビーム刃を発生させて、こちらも刀身を噛み砕いてしまった。


 “噛み砕く”ソネの特殊能力全開!ベルタは2振りの脇差しを同時に失ってしまった。


「やられたぁーッ!へへっ、代わりに言ってやったぜ」

 ソネのマスター、ミツナリが嫌味なほどに余裕を見せて言い放った。


「思てへんわい!ボケッ!」

 すかさずルーティも言い返した。


「おやおやぁー。そうかい。そういうカラクリだったのか。お前ら、二人乗りだったんだな。どうりで背後からの攻撃が見破られていたワケだ」

 二人乗りなのがバレてしまった。これで警戒レベルを上げてくるのは必至。


「お次はその膝から伸びてる定規みたいな剣を抜くんですかぁ?それともまだ隠し玉でもあるんですかね?」

 非常にマズい展開になってきた。ミツナリは魔力回復を待って次のクロックアップで勝負を仕掛けるつもりだ。二人乗りだと気付いた彼の取るであろう対抗策はそれしか無い!

 ならば、弱いと見せかけて攻撃を誘うしか手が無い今、迂闊に武器を手に取ることもできない。手にしたら確実に距離を離されてしまう。再びクロックアップを仕掛けられるようになるまで。



「彼は困っているね。チェスにはねディフレクション(Deflection)という“敵の駒を強制的に移動させるように仕向けてその間に攻撃を仕掛ける”テクニックがあるんだよ」

 ヒューゴたちの置かれた状況を察したライクが、ココミたちにチェスに例えて言い伝えた。が。


「あの子、何言ってるの??」「さぁ?」

 どんなピンチに陥っているのかさえも理解していないクレハたちにはライクの説明は頓珍漢(とんちんかん)に聞こえた。



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