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-32-:小さいコト言いないや

 転送された先はベルタのコクピットの中…。


 先ほどまでは立っていたのに、いつの間にか座席に座っているのは転送魔法時における細やかな好意なのだろう。しかし、無意識の内に体勢を変えられるのは気分の良いものではないが。


 人様を座席代わりに座ってくれているルーティはなぜ落ちて来たのか?何らかのエラーが生じたものだと妥協するも、そもそも何故この小娘が一緒に乗り込んできたのかが不可解でならない。

「てか、重いんだよ!」


「あー堪忍、堪忍。せやかてウチ、そない重たないやろ?小さいコト言いないや」

 適当に謝りやがってと、ひしひしと怒りを募らせる高砂・飛遊午(たかさご・ひゅうご)であったが、会敵時間が差し迫っているこの状況、ココミに説明を求めたい。


 その前に。


 内部を見渡してみると。


 ベルタのコクピット内部はタマゴを逆さにしたような形状で、ディスプレイ画面は正面・天井・足元と両サイドに配され、座席の真後ろ以外は全てカバーしている半全天周型。計器類の類が両脚の間に設置されている操縦桿ボックスの前に1つあるだけ。


 カーナビゲーションと同じように、一つの画面にタッチパネル式のファンクションキーを数種設けて操縦者に少ない挙動で多くの情報を与えられるマルチファンクションディスプレイを採用しているのだろうが、今現在画面は真っ暗なので、果たして計器類なのだろうか?ちょっと疑問。とにかくシンプルなグラスコクピットだ。



 正面に騎体(本来は機体と表記すべきだが)の前後軸の位置を表す“W”マークの騎体位置基準が。その上に横長の目盛スケールが表示され逆Vの字が170を差している。航空機とは異なる360度表示の機首方位計に間違いなさそうだ。

 

 “W”マークとほぼ重なっている小さな丸マークは現在の飛行方向を示すフライトパスマーカーと思われる。若干ゆらゆらと上下に揺れているし。それと同調して上下している横棒は騎体の傾斜方向を示すピッチ計だろう。騎体が動き出すと上下左右に酔いそうになるくらい激しく回転し出すのが目に見えている。


 あと左右に縦棒が表示され数字やそれぞれを示す横向きのVマークから、左は海気速度計、右は気圧高度計。他には・・G加重計と、ほぼ航空機のヘッドアップディスプレイに表示される情報と同じだ。ただ正面一杯に表示するのは大きすぎる気もする。


 いずれにしても、それらは戦闘機を操縦するフライトシュミレーターゲームで得た知識。


 ゲームの時も高度や速度はさほど気にも留めなかった。画面に自機が投影された後方視点(バックビュー)ではなく、慣れない本物(ホンモノ)操縦席視点(コクピットビュー)なのでとても緊張する。

 

 操作系は。


 両脚の間に操縦桿ボックスが設けられており、操縦桿は“HOTAS概念”に基づいているようで、様々な機能を割り当てられたボタンやトリガー・トリムスイッチが付いている。スロットル類は見当たらないが、恐らく飛行はこの操縦桿だけで行えるものと判断できる。


 座席のアームレスト部分は左右非対称で、左側には開けば扇状のカードホルダーが。こいつでカードゲームでも行うのか?枚数は7枚。むやみに訳の解らない代物には触れないでおこう。

 右側にはカードリーダーらしきものが。間違いなく左側にあるカードのデータを読み取るのだろう。


 座席の両サイドにはスロットルは見受けられず、操縦桿に自転車のブレーキが付いたようなスティックがあるだけ。

 これで両手の動きを操作するのだろうか?操縦桿に比べてスイッチ類が少な過ぎる。


 ペダル類は足元に5本が2段と両端に2本ずつ。エレクトーン並みに多い。出力のコントロールは足で行うのかな?


「シートベルト、着用してや」ルーティの指示に従いシートベルトを着用。航空機用のものと同型で、日常生活を送る限りほぼお目に係れない代物を着用する自身に気分が高揚する。


 車はおろかバイクの免許証さえも取得していない自分が、いきなりロボットのパイロットになるとは。男子のロマンを感じずにはいられない。



「ルーティ、ヒューゴさん。会敵までおおよそ1分となりましたが、あくまでも目安です。遅くなるかも知れませんし、早くなる恐れもあります。いつでも戦えるよう準備に入って下さい!」

 ココミ・コロネ・ドラコットから通信が入った。


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