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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[26]闇を貪る者
313/351

-304-:ベルタ、お願い!貴女の力を貸して!

 クレハは、女王騎を操作できるほどの霊力を持ち合わせてはいない。


「よって、あえなく城砦(ルーク)の駒、爆炎紅龍(フレアドラゴン)のボンバートンさんとなってしまう訳ですが、砲撃戦特化に近いボンバートンさんで、果たして妲己に対抗できるか、どうか…」

 不安を滲ませた。


 ルークともなれば、効果魔法(エフェクトマジック)のカードを5枚も使える訳だが…よくよく考えてみれば、敵である妲己は、さらにそれをも超える9枚カードを使えるチート騎だった。


 一瞬イケると思ったのに、不安は未だ払拭できないまま。


「だから、僕も行くんです!」

 そんな時、タツローがココミの前に立った。


「クレハさんとの“コントラスト”なら、きっとオトギさんたちに勝てるはずです」

 え?


「しょうがないですねぇ…。それで行きましょう」

 承服しかねる面立ちで、妥協するココミを見やり、クレハは焦った。


「ちょ、ちょっと待ってよ」

 クレハの止める声に耳を貸さずに、ココミはc7兵士(ポーン)の駒を手に取り。


「ところでクレハさん。ベルタさんとの契約がまだでしたね?」

 訊ねてくるも、今、兵士の駒をd8女王(クィーン)にぶつけて弾き飛ばそうとしたよね?


 アンデスィデに参戦するとは言ったけど、あんなバッタに乗るなんて願い下げだ。


 しかも、アイツの武器、両手の鎌と背中の砲だけじゃなかったっけ。


 僧正(ビショップ)とは名ばかりの、戦力外騎。


 契約画面ページが開かれ、今にもQRコード読み取りを迫ろうと構えるココミ・コロネ・ドラコット。


「大丈夫ですよ。クレハさん。僕とオトギさんでも、アルルカン3に対抗できたのですから」

 アイツ、騎士(ナイト)やったやないけ!


 今度の相手は女王なんだよ。最強の騎体なんだよ。


 それに、コイツらコントラストになるっつっても、バッタ(グラム)になるには、いきなりものまね(ミミック)のカードを使う(ドブに捨てる)事になるんだよ?


「では、QRコード1を読み取って下さい」

 こうなれば腹を括るしかない!ただし、絶対にバッタ(グラム)の姿のままではいないからね!


 不本意な契約は完了した。


 これで。



 ココミは兵士の駒を、d8の女王(クィーン)の駒へとぶつけて弾き飛ばした。


「私はベルタさんで妲己をテイク!6つ脚火竜(ファイアドレイク)のベルタさんから漆黒潜龍(ダークネスドラゴン)のグラムさんへアンダープロモーション!!」


「えぇッ!?」

 クレハが驚く傍ら、ココミは声高らかにテイク&アンダープロモーション宣言をした。



 ちなみに、アンダープロモーションとは。



 兵士の駒が成り、つまりプロモーションする際、本来なら女王の駒に成るのだが、戦況により他の駒に成る事をアンダープロモーションと呼ぶ。


 戦況と言っても、状況は諸々なので、詳しくは説明しない。



 各々のスマホにアンデスィデを報せるメッセージアラームがなる。



(まさか、ウソでしょ!?このバカ、何でボンバートンじゃなくて、グラムに成るコトを選んじゃうのよ)


 呆れすらも、怒りすらも超越した感情。



 もう!破れかぶれだ!どうにでもなってしまえ!



「ベルタ、お願い!貴女の力を貸して!」「了解しました」

 魔法陣がクレハを包み込んでゆく。


 そして、リョーマを、タツローを戦場へと誘って行く。



 転送された先は、ベルタのコクピット内。


「やっぱりコレかよ!」

 転送されて、いきなり不満を爆発させた。


 グラムと同じバイク型コクピット。どうして!?


 まあ、パイロットスーツはガンランチャー搭乗時の魔法少女タイプのままで安心したけど。


 オトギがまとっていた、ボディーライン丸出しのセクシーパイロットスーツでなくて本当に良かった…クレハは心から安堵した。


 ハンドルを握り、フットペダルに足を掛ける。


 ムムム…。


(イタイわ…。イタ過ぎるわ。この格好。まるで小さな子供がアトラクションのバイクゲームをやっているみたいだわ…)


 ふと、小柄な声優が大型バイクに跨っていたSNS画像を思い出す…。


 恥ずかしさを通り越す屈辱感に塗れる。


 叩くようにしてカードホルダーを扇状に広げ、その中から融合合体(フュージョン)のカードを引いた。


「タツローくん!さっさと合体するわよ」

 コクピット仕様も気に入らないが、それ以上にバッタ型盤上戦騎(ディザスター)というのが気に入らない。


「ココミ。大変気が荒れているようですが、オトギを前にして冷静でいられますか?」

 頭上からのベルタの声。


「ごめんね、ベルタ。余計な心配を掛けちゃったね。私は大丈夫だよ。それよりも貴女は大丈夫なの?」

 ベルタにしてみれば、大切なマスターを奪われたのだ。以前にも同じ思いをしたのに、またもやマスターを奪われてしまうなんて。


「私の心配は無用です。アーマーテイカーを信じていますから」

 彼女の言う通りだ。今はヒューゴの治療に専念しているアーマーテイカーを信じよう。


「あの、クレハ」

 まだ何かあるのかな?クレハは頭上を見やった。


「私はどちら(・・・)でいれば良いのでしょうか?男性?それとも、今のまま女性がよろしいですか?」

 そんな質問、考えるまでもない。


「今のままでいてちょうだい。オッサンなんて、いるか!」

 キッチリ理由まで添えて。


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