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-207-:お待たせしました。ミュッセ―

 コンッ!コンッ!


 道場の壁がノックされた。


 音の鳴る方へと向くと、そこにはクィックフォワードに下されている竜崎・海咲の姿が。


 何だか、ご立腹な様子。


「心配して、急いで帰ってみれば、ンまぁー!!眼鏡男子は人目もはばかることなく女とイチャイチャしてるし、高砂くんも可愛い女の子をはべらせて!」

 どのシーンを切り取って勝手に怒っているのやら。


 そう言うアナタだって、今さっきまでお姫様抱っこされていたではありませんか。


 反論したい気持ちは山々。だけど、状況がゴチャゴチャし過ぎている。


「ところで何なの!?さっきの連中。どいつもこいつも人間じゃないわ」

 ミサキがグチっている最中、ヒューゴはクィックフォワードと声を発する事無くジェスチャーで会話。クィックフォワードが敵と会敵、撃破したと報告を受けた。


「聞いているの?高砂くん!」

 ツカツカと肩を怒らせて歩み寄ったかと思えば、目の前で腕を組んで見下ろしてくる。


 威圧されている…。止む無く「ここにいる人間は俺たち3人だけですよ」事実を伝えた。


 すると、ミサキは驚いた様子も無く。

斬新(ザンシン)ねぇ。って事はアナタ達、人間じゃない女の子とスキンシップ?」

 ひどく遠回しな、なおかつ嫌味たっぷりな言い草。


 さすがに気まずく思ったか、リョーマは抱き着いて離れないダナを、やんわりと押し離した。


 とにかくミサキは周囲にいる全員を、腕を組みながら下から上から舐めるようにジロジロと見つめて回る。


「だったら高砂くん、この人たち人間じゃないのなら、何者なの?」

 訊ねた瞬間。


「ドラゴンです」×3名(クィックフォワードも挙手)、「悪魔です」×1名(冗談と思われたのか?スルーされた)、そして最後に「私は人間デース」

 答えが返ってきたかと思えば、ミサキは即座にミュッセのネクタイを締め上げた。


「見た目からしてアナタが一番胡散臭いのよ。それに、さっき高砂くんが“人間は3人だけ”と伝えてくれたわ」

 正確には物質界の人間が、である。ミュッセは亜世界と世界は異なるが人間に違いは無い。


 まあ、このまま彼が締め殺されても、復活するし放っておいても良いのだが。


 さすがにそれはマズいと止めに入った。


 すると。


「もう!お客さんに、何てコトをしでかしてくれるのよ!」

 お茶を手に戻ってきた掃部・颯希がミサキを注意した。


「で?何で部長がここにいるのよ」

 訊ねた。


「私は高砂くんを注意しに立ち寄ったら、変な事に巻き込まれちゃって、ホストと契約させられちゃうし…」

 傍で話を聞くクィックフォワードは複雑な気分…。てっきり下僕か召使だと思っていたのに、ミサキとしてはホストと客の間柄なのかと思うと、何とも遣り切れない。


 ミサキは途中口ごもってはいたものの、急に反撃に転じた。

「そんな事はどうでも良いわ!それよりもサツキ。あなたも何で部に出てこないのよ」


「いやぁ、私ってさ、練習したら弱くなっちゃうのよねぇ。先月なんか、3日続けて部活に出たら、ヒューゴと変わらないくらい弱くなっちゃったし。そうだ!」

 サツキは思い出したと言わんばかりにヒューゴへと向いた。


「ね、ヒューゴ。私と戦わない?」

 いきなり試合を持ち掛けてきた。が。


「お断りだ。サツキ姉と戦ったら、どちらか死んでしまう”死合い”になっちまう」


「おっ、良いねぇ」

 乗り気のサツキの耳を、ミサキが摘まみ上げた。


「何をバカな話をしているの!そんな事よりも、学校に戻るわよ、サツキ」

 サツキは耳を摘ままれたまま、ミサキと共に道場から出て行ってしまった。


 その間にも「今日こそは逃がしませんからね」部活は休みだというのに、二人で何をしようと言うのか…。とにかく、うるさいのがいなくなって場が静まり返った。


「クィックフォワード、彼女に付いていかなくて良いのですか?」

 ベルタが訊ねた。続けて「彼女が新しいマスターなのでしょう?」の言葉に、ヒューゴは驚いた表情を見せた。


「お前…何でミサキ先輩を巻き込んだんだ?」

 掴みかかろうと立ち上がろうとするも、脚がもつれて倒れてしまった。傷は癒えたが、出血がひどく、著しく体力を消耗している。


 それでも立ち上がろうとするヒューゴを、ベルタがしっかりと取り押さえたかと思えば、彼の頭を優しく撫で始めた。


「ベルタ!俺をからかっているのか!」

 怒って見せるも。


「彼が貴方との契約を破棄してくれたおかげで、私たちはこうして命を永らえることができたのですよ」

 理解はしている。だけど、無関係のミサキを巻き込んでしまった事が悔やみきれない。


 ベルタは続ける。

「彼女はきっと、追跡者の人外ぶりを目の当たりにして、放ってはおけなかったのでしょう。彼女には、どこかヒューゴを守りたいと願う気持ちを抱いている。そんな感情が見受けられます」


 この台詞、確か猪苗代・恐子の時もそんな事を言っていなかったっけ?


 ベルタの流されやすい性格には、ほとほと呆れてしまう。だけど、彼女、イヤイヤ、彼のそんな一面をアタマから否定すべきではない。


 “大切にしてやりたい想い”と言うべきか。



「お待たせしました。ミュッセ・ライオット・ペンドラゴン」

 ココミ・コロネ・ドラコットが到着した。


 が。


 オイオイ、ミュッセの旦那、名前がさっき名乗っていたのと違うじゃねぇか?




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