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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[1] 高砂・飛遊午
16/351

ー14ー:魔力残量が一向に回復せえへん。もう半分切っとるで・・

「クロックアップ?・・とな?」

 クレハは目を点にしてクレハに訊ねた。


「はい。盤上戦騎(ディザスター)の能力のひとつで、バイザーを下すことによって発動させます。盤上戦騎の体感時間を10倍にする、早い話が10倍速で動けるということです。ただし反応速度であって移動や射撃武器の弾速は10倍にはなりませんけどね」とニッコリ。


「ほぇー、スゴいね。だけどさっきから聞いていると、10分の1とか10倍速とか、とにかく10の数字で事象に干渉するのが好きだよね?アナタ達」

 言われている本人は何を言われているのかサッパリ解らないようで、ただただニッコリと微笑んでいるだけ。


「ですが、途中で息継ぎをすると魔法は解けてしまいますし、魔力も大変消費しますので多用できないのが頭の痛いところです」

 魔力の大量消費は良いとして、ロボットに乗っていながら息を止めなきゃならないなんて随分と不便なものだと感じた。



「ミツナリ!テメェー、危うくキャサリンの頭を飛ばすところだったぞ!」

 怒りの矛先はソネのマスターに向けられていた。


「先輩こそ。大事なお袖が台無しじゃないですかぁ」

 言いつつソネがランスを放り投げた。

 ソネの右肘辺りから緑色に光る魔法陣が現れてグルグル回転しながら手の方向へと進んでゆく。


 すると大きな算盤(そろばん)の玉の形をしたモノが銃口に付いた大型銃が手に握られていた。

 武器召喚をしたのだ。


「へっ」小さく笑うとミツナリは大型銃を天に向けて発射。算盤の玉のような物体が上空へと飛んでゆく。と、ベルタに背を向けてダッシュ。どこまで行こうとするのか?振り返りもせずに、さらに加速した。


「さっき500km離れたら何とか言ってたな・・。アイツがテイクスした方の駒なのかな?」

 撤退したのだろうか?と、ベルタの顔を上へと向ける。


 そんなベルタを見向きもせずに、キャサリンが上方へと発射された玉を追って飛翔していった。

 そして何やら玉に向けて発砲している模様。


 異様な光景に胸騒ぎを覚えたヒューゴはベルタをキャサリンへと向かわせた。


 ふと、ルーティはヘッドアップディスプレイに目をやった。

(おかしいなぁ?魔力残量が一向に回復せえへん。もう半分切っとるで・・)

 とりあえずメールでココミに現状を報告した。



「メールです」着信音が鳴り、ココミはスマホを取り出して確認。

 差出人はルーティ。件名は『魔力が減る一方』


 メールを開くと。

『ココミ、さっきから魔力の回復が遅過ぎる(><)』


 ココミはハッと口元に手をやり。

(やっぱり本が示したのはクレハさんの方だったんだ・・)

 不意に「どうしよう…」声を漏らしてしまった。


「どうしたの?ココミちゃん。誰からのメール?」

 クレハが顔を覗き込もうとすると。


「あっ、ああ!お米屋さんからの御用聞きメールデスっ」


「後にしろよ!そんなモン!」

 案の定、大目玉を食らってしまった。まさかの事態に備えての自身の引き出しの無さを痛感する。これではクレハは呆れてしまっただろうな・・。


 それは兎も角、ルーティにはどう説明したものか。ウソを並べ立てるか、事実を告げるべきか。


 散々考えた末に。


 クレハに横目で睨まれる中、慣れた手つきでメールを早打ち。そして送信。



「メールだよ」着信音が鳴った瞬間、素早くルーティは返信メールを開いた。

『Re:どうやらヒューゴさんはハズレでアタリはクレハさんだったようです。『残り(こう)霊力』を(まと)っていたために勘違いしちゃいました。ごめんなさいデス。

 追伸:クレハさんが激オコなのでメールはこれにて。かしこ』

 “ごめんなさいデス”の後ろにはウィンクをしているウサギのキャラシールが貼られているわ、クレハの顔色をうかがって以降のメールは禁止だわ、とにかく込み上げる怒りは抑えつつも。


「残り香!?何を言うとんねん!?」声が裏返ってしまった。


「残り香がどうしたって?」ヒューゴが訊ねた。


(しもた!ここでコイツに「アンタ、ハズレやったわ。ゴメンしてね」なんて言えるかい!)

「ココミからのメールや。お昼に食べたラーメンの残り香が服に染みついて困ったなー言うてきよったんねん」


「ラーメンの強い匂いは普通『残り香』とは言わんだろ。こんな時に何を言ってきてるんだ?あのお姫様は」

 呆れられるは承知。

 しかし、何としてもヒューゴに悟られてはならない。真実は伏せておかねば。


 ベルタがキャサリンの後ろに付いた。

 しかし、キャサリンはベルタに見向きすることすらせずに、ひたすら上昇を続ける玉に向けて銃撃を繰り返している。もはや眼中に無い様子。

 

 ようやく気付いたようで、キャサリンの目がベルタへ向けられた。


「ベルタのマスター。今は攻撃してくるんじゃねぇぞ!あの玉はここで撃ち落とさねぇと琵琶湖の対岸もタダじゃ済まねぇぜ」


「何!?そんな恐ろしい破壊力なのか?」

 敵の口から明かされる驚愕の真実!そして破壊力。

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