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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[14]騎士と兵士
152/351

-147-:まだ手を出し尽くしていない者を僕はを助けなどしない

 再びウッズェがミサイルを発射!


 残り弾数12発すべてを発射した。


 大空に広く描かれるミサイルの吐き出す白煙の軌道。


 その全てが、やがて一つの標的(ターゲット)を目指して飛んでゆく。


「アレが白側の騎士(ナイト)…」

 ヒューゴはミサイル群に追われる戦闘機を眺めていた。


「くそぅ!とうとうダナが現れてしまったか!こっちは全く身動きが取れないという時に!」

 ダナの登場にクィックフォワードは悔しさを露わにしている。


 内心、助けを求めたいものの、上空のダナはそれ以上のピンチに晒されている。


 何か手を打たないと…。


「ココミ!上空の連中に、こっちに降りてくるよう伝えてくれ」

 突然の申し出に。


「何を考えている?高砂・飛遊午」

 クィックフォワードが訊ねてきた。


「あのミサイルで、この剣の檻を破壊してもらう」

 それは無茶だと、クィックフォワードは呆れて絶句。


「できない事は無いさ。さっきだって、空中で急ブレーキをかけたんだから、この檻の手前で急旋回したら、檻にミサイルが着弾して破壊できるはずなんだ」

 策を説明するも、クィックフォワードはただただ「ミサイルだぞ」不信感を露わにする。


 そうこうしている内に、ガキンッ!またもや包帯の刃が狭まりつつあった。


 再び上空へと目線を向ける。


「あっ」

 思わず声を上げた。


 上空のダナは追尾してくるミサイルたちを、次々と両肩のガトリングポッドで撃ち落としているではないか。


「ココミ!上の連中に、まだ伝えていないのか!?」

 慌てふためき、催促していると。


「聞いていれば、随分と頭の悪い脱出策を叩き出しているのだな。高砂・飛遊午」


「その声は!?」

 驚いた事に、オープン回線で耳に届いたのは、草間・涼馬の声だった。


「敵の発射したミサイルで、その檻を破壊するだと?君は爆炎とか爆風の二次被害を頭に入れていないのか?」


「いや、この檻の硬さを破るためだ。多少の犠牲は覚悟しているつもりだが…」「甘いッ!」

 ヒューゴの発想は無情にも一蹴された。


 その最中にも、リョーマは追ってくるミサイルをすべて撃ち落としてしまった。


 ヒューゴの希望は呆気なく潰えた。


「そうだ!それなら、あそこのアルルカンを倒してくれ。ヤツは今、この包帯を頑丈にするために全力を注いでいるから、防御も回避もできない状態にある」

 アルルカンを指差して訴えかけるも、リョーマは応えず。それならば。


「今なら簡単に撃墜スコアが稼げるぞ」

 鼻先にニンジンをぶら下げてやる。


 でも、リョーマは食いつく事はしなかった。


「まだ手を出し尽くしていない者を僕はを助けなどしない」

 無視している訳でもなく、しかし、無情にも檻に囚われているクィクフォワードの脇をすり抜けていった。


 瞬間!風防(キャノピー)越しにパイロットの姿が目に映った。


 それは軍隊で使われている物とは程遠い、先端が鋭角なヘルメット。そして両肩はせり出したプロテクターのようなものが備え付けられていた。


(何ちゅう恰好で乗っているんだ?あの男は)

 努力が足りないと説教された事など、すっぱりと頭から消え去っていた。


 ガウォーク姿のダナが地面スレスレに降下してホバリング移動に移行。


 両肩のガンポッドが描く火線はウッズェを捉え続けている。


 しかし。


 とたんに俊敏になったウッズェは、跳躍を繰り返して、ことごとく回避して見せていた。


 先ほどまで頑丈だったウッズェも、ガワを取った姿だと機銃掃射で風穴が空くのだろう。


 余裕の無いコトで…。


 視線を再び剣の檻へと戻す。


 はてさて、コイツをどうしたものか…。


 ヒューゴは、とうとう腕を組んで考え込んでしまった。


「方法なら有るのだ」

 突然のクィックフォワードの声。


「方法?」


「君と私は、どうやら相性が悪いらしい。君の必殺剣も不発に終わっているようだし」


「いや、もう少し時間があれば慣れるさ」

 もう一度チャレンジしようと二天撃の体勢に入る。


「無様を承知で君に申し出よう。ベルタになって、この剣の檻を攻略してくれ」


「な、何を?」

 思いも寄らないクィックフォワードの申し出に唖然&困惑。

 


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