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第89話:調べて貰っていた事を聞きに行きました。

「いらっしゃいなの~」

「キョウ、そろそろ来ると思ってたわ」

「こんな時はただいまなんだろうか、それともお邪魔します?」

「貴方の世界なのだから、ただいまでいいんじゃない」

「キョウは変な事を気にするの」


 俺は今、自分の精神世界に住んでいるティリアとナギへ会いに来ている。自身の精神世界に来るのは至って簡単、寝るだけでいい。この時、2人に会いに行きたいと念じればこちらへとやってこれる。


 今回ティリアとナギに会いに来たのは、フェイスイーターと例の謎石である色のついたマナダイトの解析結果を聞く為だ。別段、起きている時に念話を使って結果だけを聞く事も出来たんだけど、ナギが作り出した日本庭園と家屋にすっかり安らぎを感じてしまい、こうして定期的に足を運んでいる。


 あぁ・・・日本家屋の縁側で日本庭園を眺める・・・落ち着くなぁ・・・田舎の爺ちゃん宅が正にこんな感じで爺ちゃん本人から、儂以上にジジ臭い奴じゃの・・・とかそんなコメント頂いたっけな。


 そんな癒しオーラを一心に浴びている俺を苦笑しながら眺める2人。マイホームと化しているツバキの遺跡も居心地いいが、そこはやっぱり日本人。全ての日本人がそうとは言えないだろうけど、俺は故郷を感じられるこの空間がとても気に入っている。ナギ、ありがとう。素晴らしいよ!

 個人的には日本庭園に植えられている木々に、葉が鮮やかな紅へと変わるイロハモミジやドウダンツツジ、ニシキギ辺りを増やして頂けるとステキだが、ここはナギの庭園。俺の好みを押し付けるのはイカンだろう。


「さて、ひとしきり和んだだろうし話を進めてもいいかな?」


 ナギが緑茶の乗ったお盆を携えてこちらへとやって来る。ティリアの方は大福を持参してきたようだ。和尽くしで咽び泣きそうだよ俺は!材料が確保出来たらどちらも作ってやるからな~。


「まぁ味わいながら聞くといいよ。まずはフェイスイーターの方からいくね・・・さっきキョウから貰った新たなフェイスイーターの情報と解析したデータを照らし合わせて見たんだけど・・・すごい進化スピードだね。1個の種としては欠陥だらけなんだけど、コレが凄い速さで修正されてる。このまま行くと・・・新たな種族が誕生するのも時間の問題かな。現状は恐ろしく短命、生殖機能が無いっていう種として致命的な存在だけど、コレは意図的にそうなっている節が見られる。定期的にフェイスイーターが出現するって事は何処かに母体となる存在が居るのは間違いない。予測でしかないけど、フェイスイーターが短命なのは母体に掛かる負担を少しでも減らす為の措置なのかも。生まれて来たフェイスイーターは独自のネットワークで情報をやり取りし、母体に送ってるみたいだ。その情報を元にして新たなフェイスイーターを生み出してるんだろうね」


 我が子をモルモットにしてデータ集めか・・・胸糞悪くなる話ではあるが、そもそも人じゃなさそうだしな・・・見た目完全に虫だし。俺は頬張っていた大福をじっくりと味わいつつ、緑茶で喉を潤した後、疑問を口にする。


「目的は種としての完成、或いは妥協点を模索中って所だろうか?」

「これまで隠し通して行ってきた事を、こうも大っぴらにして来てる所を鑑みるに、完成図は出来上がってるんじゃないかな。後はそこに至るまでのデータ収集・・・って所じゃない?」

「うわ・・・ヤバイじゃん」

「そこは遺跡都市にいる人達がどう思うかだけど、キョウの反応を見るからに大抵の人達は脅威を感じるんじゃない?」

「脅威処か遺跡都市滅亡の危機じゃないかコレ。仮にそんな存在が完成して繁殖力が強かったりしたら、あっという間に勢力図が塗り変えられる未来しか思い浮かばないんだけど」

「全ては机上の空論だけどね。一応そんな未来を予測した上で、今後どうするべきか決めるといいよ」

「・・・あ~、明日即行動だな。臭う箇所を片っ端から調べて、相手の拠点を速やかに発見せねばマジで詰みそう・・・ありがとうナギ、とても参考になりました」

「いえいえ、これくらいお安い御用さ」


 そう言ってナギは自らお盆に乗せて持ってきた緑茶に手を付ける。


「じゃあ次はキョウがマナダイトって名づけた、この謎石さんについてなの」


 という訳で、今度はティリアから謎石についての結果を聞くとする。コレらは全てナギが入っていたマナダイトと同様に俺の体内へと取り込む事が出来た。何処に保管されているのか全くもって不明だが、体内からちゃんと取り出す事も可能だった。深く考えてはいけない。理解できない仕組みは『異世界だから』この一言で今は納得する事にした。大事だからもう一度言うぞ?深く考えるな。

 そんなこんなで謎石をティリアに預け、調べて貰っていたのだ。一つ一つ目の前に並べられて行くその中にはシリカのマナダイトも含まれている。


「結論から言うと、コレらは全てマナが結晶化した鉱石で間違いないの。だからキョウがマナダイトって名づけたのは、おかしくも何ともないの」


 全くの見当違いという事は無さそうだ。問題なのはどうして色が違うのかなのだが・・・。


「そもそもキョウはどうやってマナダイトが出来上がるのか知ってたりする?」

「いや全く分らん。ん~・・・通常の鉱石みたいに急激な熱や圧力等が加わって結晶化するんじゃないって事?」


 ティリアは首を縦に振り、肯定を示す。


「うん。マナダイトはね・・・どうも精神体を核にして出来上がるみたいなの。分かりやすく言うと精神体が磁石のS極だとすると、マナは磁石のN極みたいな性質を持っていてお互いにくっつきあうの」


 今まで調べた事が無かったからビックリなの~驚きなの~とティリアさんはおっしゃられるが、直におかしな事に気づく。


「待てよ・・・となると、ティリア達精霊や精霊になる前の子達がマナダイトになってないのっておかしくないか?」

「キョウ、いい質問なの!マナダイトになる精神体には、さっき言った特有の性質が備わっているの。どんな過程でその性質を身に着けるのかまでは分からなかったけど、この磁石みたいな性質を帯びた精神体だけがマナダイトとして結晶化するみたいなの」


 楽しい趣味の話をしているかのようにティリアは熱く語ってくれる。その姿がどうにも微笑ましくて、俺は聞きに徹する。


「マナダイトとして結晶化する時、核となった精神体の色がくっつくマナに反映されるみたいなの。そして核となった精神体は永い眠りについた状態になるの。ん~・・・これなんか分かりやすいかな」


 そう言ってティリアが扁平で星形に見えなくもないマナダイトを持ち上げ、俺の目の前にかざす。丁度光が当たり、中の様子が透けて見える。鮮やかな緑色が光を通してて、とても綺麗だ。

 その中心部付近に輪郭がぼやけてハッキリしない何かが見える。目をよく凝らして見ても、やはり形状は定かではない。が、何かが入っているのは分かった。


「この中心部に見えてるのが?」

「そう。精神体の核なの」


 確かこの緑の奴はフェイスイーターから出て来た奴だったな。他のも見てみるとしよう。今度は黒に近い青の奴・・・黒いモンスターから出て来た奴を手に取り、光にかざしてみる。


「・・・分かりづらいけど、こっちにもソレらしきものが見えるな。エミリさんから貰った赤くてデカいコイツはっと・・・うん、流石にデカすぎて判別が付きにくい。が、それっぽいのが見えなくもない」


 赤くてデカいマナダイトを置くと最後に、シリカのマナダイトを手に取って光にかざす。相も変わらず透明度が高く水晶のようだ。


「・・・こっちは核らしきものは無いな」

「シリカちゃんのマナダイトの場合、本体から離れた一部分だから核は無くて当然なの。洞窟にある本体の中心部に恐らく核があるはずなの」

「ふーむ、となるとシリカはその精神体の核が目覚めた状態という事なのだろうか?でもあの時シリカは、俺が触れてくれたおかげで自我が芽生えたって言ってたんだよな・・・どう思う?」


 ティリアに向けて聞いてみると、腕を組んでウーンと唸りだす。


「分かんない!」


 素直な回答をありがとう。まぁ、無理に調べなくちゃならん訳でも無し。機会が訪れた時に必要なら調べるとしよう。


「現状で分かっている事はここまでなの。まだまだ謎だらけだから、これからも調べてみるの!」

「よろしく頼むよ」


 この後2人と他愛無い雑談をし、夜明け前を見計らってお暇した。

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