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第76話:アルが遂に克服しました。

今月は週末と頭に数話更新できるかどうかになりそう。

話の進みが極端に遅い作品ですが、まったりと読んで頂ければ幸いです。

 翌日カシアやマグルに火系統の攻撃をフェイスイーターの残骸に向けて見舞って貰った。


 カシアはちょっと目を離していると何処で覚えて来るのか、攻撃手段が増えていたりする。

 狼形態の時は口から炎を火炎放射器の如く噴き出したり、人形態時は原理は良く分からないけど掌を向けた先に同様の炎を放射したりする事ができるのは知っていたけれど、今目の前で見せて貰ったのは初見である。

 こっちはあの火炎放射器で炙るんだろうと思ってたんだけど、握りこぶしの側面に先端が鋭い刃状の炎を生み出して拳を叩き込んだのだ。

 結果、あのクッソ硬いフェイスイーターの装甲もとい甲殻に炎の刃が見事突き刺さり、相当刃の温度が高いのか刺さった部分がプラスチックの様に溶け出し、周囲に独特の臭いを放ち始める。

 私は直にカシアへ刃を引っ込める様に伝え、何処でそんなの覚えたのか聞いてみた。


「ん~・・・秘密?」


 なぜにそこで首を傾げるのか。私が首を傾げたい。む、もしや口止めでもされているのかぬ?ちょっと突いてみようかな。


「そういや、最近地下遺跡に行ってたよね」

「ち、違うよ?地下遺跡で教えて貰ったりしてないよ?」


 はい確定。カシアに隠し事など不可能な事が今ここに立証された。カシアの後ろでマグルが天を仰いでいたのが見えたので、マグルも知る所なのだろう。まぁ、マグルが何も言わない所を見ると別段害があるわけでもなさそうだし、そこは自主性を尊重するとしますか。


「うん、教えて貰うのは全然構わないんだけど、危険を感じたら即逃げる事。あとできれば、今度私にその人を紹介して欲しいな。カシアの交友を疑うわけじゃないけど、皆がみんな善意で接して来るとは限らないからね。他者の見極めはしっかりと行う事。皆もいいね?」

「うん、わかったー」


 これはカシアだけでなくクランメンバー全員にも言える事。丁度ここには皆とレオナちゃんが居る事だし、注意を促しておくとする。

 よし、今度カシアの師匠をしてるくさい者へ会いに行くとしよう。なるべく早く。


 で、次にマグルの番なんだけど、地下遺跡での逃亡劇からさして経っていないというのにマグルの蹴りの威力は更に上がっていた。

 爆発の力で加速するのはそのままだけど蹴りがヒットする瞬間、足の身体強化を更に高めて威力の増大を図ったのだ。しかも足先に炎弾を待機させた状態で。

 案山子の役割をしていたフェイスイーターの残骸は盛大に吹き飛んで岩に激突する。その甲殻はボッコリと凹み蹴りが入った周りはカシアの時と同様に溶けていた。


「なるほど・・・マグル、ちょっといいかな?」

「はい」

「蹴りが決まる瞬間に足のとこだけ身体強化を高めたと思うんだけど、これは多様禁物だよ?肉体が想定している強化を上回る程の出力を出すと、その時は絶大な威力が出ても肉体への負担が大きくて最終的に自身の身を壊す結果に繋がるから。使うとしてもここぞという場面限定で使って欲しいかな」

「確かに・・・わかりました」


 あえて使うなとは言わない。マグルが自分で編み出したのか他者からの入れ知恵なのか訊きはしないが、自身の火力不足を憂いて出した答えなのだとしたら、これは間違いなく自信に繋がる。わざわざモチベーションを下げる事を言うのもどうかと思うし。


「にしても、カシアもマグルもちょっと目を離した隙に急成長するなぁ・・・貪欲に様々な事を吸収するのは良い事だけど、それらに振り回されないよう基礎はしっかりと鍛錬し続ける事を忘れないでね?」


 私は2人の頭をナデナデしながらそう伝える。2人の尻尾が嬉しそうにブンブン振られる。


「お~・・・皆凄いなぁ・・・どれどれ、私も試してみようかな」


 な、なんだと!?あのグロ耐性マイナスなアルがフェイスイーターの残骸を前にして怯まないなんて!

 私の驚き顔がアルに見られ、アルは心外だとばかりにこう言ってきた。


「私だっていつまでもビビッてるわけにいかないじゃない?まぁ・・・克服するためにシリカとツバキにアレコレ手伝ってもらったけど」


 そうなん?って感じでシリカとツバキに目線を送ると、2人は深く頷いて来た。この感じ・・・大変だったんだろうな。


「というわけで・・・てりゃっ」


 アルがその手に持った自身のランスを軽い掛け声で突き入れる。硬い物が衝突する音と共に火花が散り、アルのランスは弾かれてしまう。


「・・・ふむ。確かに硬いなぁ、でも!」


 バックステップをし溜めを作れる空間を生み出すと同時、ランスを持った腕を後ろに引くとアルは思い切り前に踏み込んで先ほどとは比べ物にならない突きを放つ。


 しっかりと力が込められたランスはフェイスイーターの残骸へ到達すると、先ほどは甲高い音で弾いたのとは打って変わり今度は紙か張られた布を突き破る様な音と共にその甲殻が穿たれてしまう。


 アルは瞬時にランスを捻り引き抜くと、フェイスイーターの残骸には物の見事な穿孔が刻まれていた。


「お~!最近の戦闘ではからっきしだったけど、こうやって動きを見せられると実力はしっかりと付いてきてるね~」

「もちろん!日々の鍛錬はちゃんとこなしてるもの。それにキョウちゃんのアドバイスはしっかりと頭に叩き込んだし。ランスは如何に早く正確にそれでいて力を逃さずに乗せて放つ事が出来るか・・・って奴?最近はグロイのばっかりで逃げ回ってたけど、克服した私に最早死角無し!」


 アルのそんな宣言に皆おぉ~って感じで拍手を送る。これで我が家の面々はフェイスイーターに後れを取る事は無くなった。とはいえ、今の所は発生してないけど寄生先からこちらへ寄生し直そうとするフェイスイーターが今後出て来るかもしれない。

 私は皆にその辺の注意を促す。


「というわけで、皆くれぐれも油断しないようにね~」

「「「「「「「は~い」」」」」」」


 さてさて、この後鍛錬場の片付けをして、遺跡都市に行ってガルドさん達とフェイスイーター対策の話し合いだ。

 今回の検証結果を報告しつつ、遺跡都市の探索者達に遭遇した時の対処法をある程度提示できればと思う。

 今の所、フェイスイーター絡みでの被害報告は受けてないけど被害が出てからじゃ遅い。早急に注意喚起と共に対処法を配布し、探索者のリスクを少しでも軽減したいものだね。

 ただでさえ地下遺跡の件で大量に探索者の死者が出ているのだ。これ以上探索者が減ってしまうと、探索そのものが難しくなってしまう。若手や新人を無暗に死なせない為にも誰かが率先して動かないといけない。


 ・・・あれ?なんかいつの間にか私も探索する側から、教育及び環境発展等の管理側になっているような。

 私も新人なんですけど!自由気ままに遺跡の中を探索したいんですけど!ちょっと気を抜くとす~ぐ探索側から管理側へと引き寄せられてるな私!

 これはいけない。ガルドさん達みたいなリーダー気質の方々と行動すると、どうにもそっち側へ立たざる負えなくなってしまう。一探索者で居たいのに、その探索者達を纏め率いる側に回るとか正直ゴメンである。


(それはもう無理だと思うのー)

(私もキョウは完全に組み込まれていると思うなー)

(やめて2人共!あぁ・・・ティリアとナギが整えた私の精神世界内で寛ぎたくなってきた)


 そう・・・昨日の夜寝た後、色々建てたりしてた2人の様子を見に自分の精神世界に行ってきたのだ。

 前回来た時よりも、和の要素が・・・というより日本の要素が大量に増えておりました。なんでもナギが私の元いた世界の家屋やら庭園やらをえらく気に入ったようで、ソレを自分なりに再現してみたんだそうだ。

 私が元居た環境に酷似してる事もあってとても落ち着く場となっており、ここ最近取っていた睡眠の中でも昨日のは格別だったと言える。その証拠に目覚めが凄く良かったのに加え、疲れがいつも以上に抜けていたのは本当にビックリした。


(精神世界に来てても寝てる事には変わりないのー。その中でリラックスすれば、その影響はちゃんと現実世界の方にも反映されるのー)

(普通に寝てるより、こっちに来た方が休まるというのなら今後も来るといいんじゃない?私達は全然オッケーよ)

(じゃあお言葉に甘えて、寝たらそっちに行くわ)


 そんな自分内での会話をしつつ、皆と一緒に鍛錬場の掃除を行うのだった。

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