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第67話:大分お店が仕上がりました。

「キョウちゃん、凄くないコレ?」

「・・・やり過ぎたかな」

「エミリさん宅のシステムキッチンも凄いと思ったけど、こっちはそれ以上だねぇ」

「お父様、とても満足のいく仕上がりよ!現時点で出来る最高傑作と言ってもいいわっ」


 アルが感嘆の声を上げ、私はやり過ぎた事に若干反省中。ツバキは素直に驚きを示し、シリカに至っては自信作の出来具合に感動しっぱなしだ。

 遺跡都市に来た私達は早速エミリさん宅に顔を出し、滂沱の涙を流し真っ白くなってしまったリカルドさんが購入した隣の物件へとやって来た。

 状態はすこぶるよろしく、傷んでいる箇所も殆ど無し。エミリさんと話し合った結果、お店の看板や店回りのガーデニング等はリカルドさん、カイムさん、ミアンとニーナが手掛けるそうだ。

 私達は内側・・・キッチン周りを予定通り担当する。希望は既にエミリさんから聞き出しているのでその内容に沿って設置していくが、妥協はしないという依頼主の要望に出来る限り応えるべく幾つか新しい物も用意した。

 試作段階だったとある機器を急遽引き上げた物だ。実用可能な域に達してはいるが想定していたサイズを大幅に超えてしまったので、余程スペースがある場所じゃないと設置出来ない。今後はこれ等の小型化を進めていきたい。

 エミリさん宅のシステムキッチンもちょっとしたレストランで使用する分には問題ないレベルに達してはいたが、こちらは別次元である。

 現在設置が終わり、その全てが見事に収まった光景にちょっと感動してた反面、一個人にこの設備を渡してしまって良いものか・・・なんて今更だね。

 設置完了に伴い、依頼主であるエミリさんをお呼びし概要の説明を始める。


「まずはコンロ口。エミリさん宅に設置した2個口から6個口へと大幅増設しました。あちらは大火力、小火力と独立した作りになっていましたが、今回のは火力調整ができ、大・中・小の3つから選択できます。その代わり大分大型化してしまいましたが、急遽大人数が押し寄せたとしてもコンロ口不足、火力不足という事は早々起こらないかと。調理台も幅奥行き共に大きくしましたが、ここまで大きくなると壁側に設置した場合スペースの有効活用が出来なくなる為、システムキッチンからは切り離し、キッチンスペースの中央に置く事にしました。その分システムキッチン側に大型のシンクを2つ設けたので洗い物に合わせてご活用ください。すぐ隣に洗った食器や鍋類を一時保管できるスペースも有ります。上下はキャビネットになっていますので鍋やら食器やらの収納等に役立てていただければ・・・ここまでは大丈夫ですか?」


 私がエミリさんに説明していくが、当のエミリさんは余りにも凄い光景に開いた口が塞がらない状態だ。えぇ、そうでしょうとも!正直私もここまでするつもりじゃなかったもん!でもねでもね、アレコレ準備してきた所為か、やっぱりと言うか何というか私もシリカもアルですらもノリノリになっちゃいましてね・・・3人であーだこーだ言いながら設置していったらこの様っすよ。

 因みにツバキは私らの白熱っぷりについていけず、苦笑してるような雰囲気を常時醸し出しながら黙々と手伝ってくれていました、はい。


「え~・・・ここからは新たに追加した機器を説明していきますね。エミリさん宅の外に設置した石窯、アレと同じ物を一つ設置しました。こちらは従来通り薪を使用して使ってください。時間は掛かりますが燻製等の香りが重要になる料理やお肉、魚のローストとかにも使えます。きちんと排気口及び煙突も付けましたので匂いによる問題は起こらないはずです。次に・・・大型オーブンを設置しました。イメージとしては薪を使用しない石窯だと思っていただければ大丈夫です。外側はマナダイトを含んだレンガ造りにして万が一触れても火傷しないよう対策を施し、内側の機構にもマナダイトを使用したのでオーブンの開閉口であるこの扉部分を開けない限り熱が漏れ出す事はありません。扉とオーブン本体の接地面もマナダイトを含んだ耐熱ゴムを使用しているので、熱で溶けたり燃えたりする心配はありません。オーブン内部は最大で250度に達しますので開閉する時は十分注意してください。温度調整は複数のサイズの違う暖炉石で行えるようにしていますが、手動でボタン操作によるものとなっています。ボタンは全部で4つあり左が200度真ん中が100度右が50度まで上昇するボタンになっています。250度に設定したい場合は左と右のボタンを押して頂ければ出来ます。ボタンは2つ以上押せない仕様になっていますので限界温度を超える心配はありません。200度と100度のボタンも押せる事は押せますがオーブン内の温度が250度に達した時点で強制的に解除される仕組みになっていますので、オーブンの予熱を早めたい時にご活用ください。尚、オーブン内の温度はこちらに設置された温度計で確認できます。余分な熱及び煙等は後ろ側にある排気口及び石窯とは別の煙突から排出されるようになっています。最後に、3つのボタンから離れた箇所に独立した感じである4つ目のボタンですが、こちらは70度ジャストまで温度が上昇するボタンとなっています。お肉をローストする時こちらのボタン一つで出来るようにしてみました・・・ふぅ、こんな感じです」


 一気に説明するのって大変だよね!オーブンがあるなら石窯要らなくない?って思う人もいるかもしれないが、拘る人には両方あった方がいいよねって事になり両方設置する事になった次第。後はこちらの趣味も大いに含まれる!


「キョウちゃん~頭が追い付かない~後で実演して見せてくれる?このオーブンの使い方」


 ですよね~。一度の説明で分かるとはこちらも思っちゃいませんでした。


「了解です。後は大型の冷蔵庫及び冷凍庫ですけど、こっちの説明は必要ですか?」

「ううん、そっちは大丈夫。キョウちゃんの所にあった食材を保管してた部屋をボックス状にしたものって事で合ってるかな?」

「はい、それで合ってます。後は暖炉石及び冷蔵石を使用している機器は定期的にマナの補充をしてください。取り出さずにカバーを外すだけで触れれますので、そこから石に触れて補充してください。補充の目安は10日前後ですが、使用頻度で前後すると思われるので申し訳ないですけど使いながらその間隔を測ってみてください」

「うん、わかったよ~」

「大まかな説明は以上です・・・して、出来栄えを見てどうでした?」

「こんなすごい環境を用意してくれて本当にありがとう!今はまだ使いこなせる自信はないけど、必ずモノにして見せるわ~」


 エミリさんの喜びようを見てこちらとしても一安心です。にしてもこの規模の環境を1人で回すのはハッキリ言って容易じゃない。出来なくもないけどエミリさん以外の従業員を雇う事をおススメしたい。


「一通り扱い方を覚えたら、誰か従業員を雇った方がいいですよ。流石にこの環境を1人でとなるとキツ過ぎますから」


 私は思った事を素直にエミリさんに伝える。


「そこは大丈夫よ~。何人か心当たりがある人が居るの。準備が整って試運転してみて、行けそうな段階に入ったら声を掛けてみる。既にこっちが用意した料理で胃袋は掴んじゃっているから、快く雇われてくれるはずよ」


 エミリさんはとても用意周到でした。こっちが懸念してる事は大抵解消してそう。

 とりあえずキッチン周りはこれで大丈夫。後はそれ以外の内装周り・・・テーブルとかイスとかを揃えれば大分レストランっぽくなってくるかな。


「そう言えば、お店の名前ってもう考えてあるんですか?」


 私からの質問にエミリさんはニンマリとした顔でこう答えた。


「お店の名前はリカルドに任せているの。一応私も考えてはあるけど、余程酷くない限りはリカルドが考えた名前で行くつもりなの」


 お~リカルドさん、何気にプレッシャーが凄そう。ここ数日、色んな意味でダメージを受けまくっているけど大丈夫かな・・・禿げなきゃいいけど。


「お疲れ様、皆さん!後は私達で十分用意出来るわ。お昼抜きでずっと作業してたからお腹減っているでしょ?もういい時間だし、外の作業も今日はここまでにしてちょっと早めの夕食にしましょう!ミズキちゃんやレオナ、カシアちゃんやマグル君が一杯食材を持ってお昼頃に来たから、呼ばれるまでの間に一杯作っちゃった」


 あ~今日もやるんですねバイキング。ただ今回は事前にエミリさんが用意してくれたので、食い専門に回れそう。正直、とてもお腹が減っていたので凄く嬉しいです。

 アルなんてバンザイする勢いで喜んでるし。でもあれ、作らなくてもいいバンザイなのか純粋に食事が出来るからのバンザイなのか・・・果たしてどっちかな?


 エミリさんが外で作業してるリカルドさん達にも声を掛けていく。リカルドさんの雄たけびのような歓声が聞こえて来た。もうリカルドさんはエミリさんの料理無しじゃ生きていけない気がする。

 今日はお三方・・・ガルドさんロイさんシエルさんが居ないとはいえ、食事する者は2桁に上る。最初は食事に専念させてもらうけど、様子を見て必要とあらば私もキッチンに立つとしよう。


 この後、何処からか話を聞きつけたガルドさん達も結局加わり、前回同様戦場と化したのであった。

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