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第64話:和解しました。

やっと更新できた。

スミマセン、9月末から仕事が激務で全く書けませんでした。

今しばらくこの状態が続きそうです。

永い目で見守って下さると嬉しいです。

 その言葉を聞いた瞬間、私は頭が沸騰しそうになった。そうか、コイツの所為で私は見知らぬ異世界に飛ばされたわけだ。コイツの所為で家族や知り合いから引き離されたわけだ。コイツの所為で素手で触れると何処ぞの聖杯の如く願いや可能性というものを引き出し叶える訳わかんない手になったわけだ。

 色々な思考と共に殺気やら何やらも放射してしまったようで、ふと気づいた時には目の前に居た女の子が倒れ込んでいた。

 おっと、いかんいかん。最近どうも怒りっぽくなってしまっていてダメだなぁ。もっと感情の抑制を出来るようにならないと、周りの人達に迷惑を掛けてしまう。

 最悪、私の殺気でショック死する人が出るかもしれないからちゃんとコントロール出来るようにと両親からきつく言われているのに・・・まだまだ未熟者であるという証拠である。


「お~い、大丈夫?」


 私は倒れ込んでいる女の子の頬を指でツンツンぷにぷにする。呻き声を漏らすだけで動くのは難しそう。意識も有るのか無いのか微妙な所だ。

 仕方ないので、女の子をリクライニングチェアに寝かせ看病する事に。全く、私にとっては敵にも等しい存在だというのに何をやっているのやら。

 思わずため息が漏れてしまう。


「・・・ゴメンなさい」


 女の子がうわ言の様にそんな言葉を漏らした。とても聞き覚えのある響きとフレーズだ。確かこっちの世界に引きずり込まれる時に聞こえた声もそう漏らしていた。

 この子が私を異世界に飛ばした張本人ねぇ・・・理由を聞いてみない事には何とも言えないが、素直に話してくれるようなら危害を加えるつもりは今の所無い。

 けど、事と内容によってはそれ相応の罰を受けて貰う。人1人の人生を狂わせたのだ・・・私の周りに居た友人や家族も多大な影響を受けている。謝って貰ってハイおしまいで済ませられる事ではない。





 あれから数分、私は何をするでもなく湖を眺めていた。看病と言っても特に出来る事は無い。後は意識がハッキリするのを待つだけだ。

 リクライニングチェアが軋む音を立てた為、私はそちらに目を向けてみる。


「・・・」


 まだ青い顔をしているが、どうやら動ける様にはなったようだ。相も変わらずこちらを警戒しまくっている。


「さて、君が勝手にペラペラと喋ってくれたおかげで少しだけ状況は飲み込めたよ。この状態は君が齎したものではない事、どうも君が私をこっちの異世界に引き込んだという事・・・くらいだけど」


 女の子は、まだ万全とは言えない顔色はそのままでやってしまったという顔をする。ようやく自分が余計な事を言ってしまったという事に気づいたようだ。今更だけどね。


「正直、君に怒りをぶつけたい気持ちも無い訳じゃない。けどその前に、何故私をこっちに飛ばしたのか・・・説明してくれないかな?」


「ごめんなさい・・・」


 またその言葉か。その響きに苛立ちを感じてしまう・・・イライラしてるのは自覚してるんだけど、うまく抑える事が出来ないなぁ。


「私が求めているのは謝罪の言葉じゃないよ?どうして私をこちらへ転移させたのか・・・その理由が聞きたいんだ」


 若干トーンが低くなってしまった声で再度聞き返す。女の子は軽く身を竦ませると、申し訳ない表情で話し始める。


「貴方をこっちの世界へ呼び寄せたのは・・・自分の身を守る為」


 そう言って女の子は口を閉じてしまう・・・うん?それだけ?私が首を傾げていると、女の子も何か変な事言ったかな?と言いたげに首を傾げて来る。


「他には?」

「他・・・とは?」

「いやいや、自分の身を守る為にどうして私をこっちに飛ばさなくちゃならなかったのかとか、色々あるでしょ!?」

「・・・話さないとダメ?」

「勿論です!」


 私の言い方が悪かっただろうか?女の子は話す内容を考えているのか暫し黙考した後、少しずつ話し始めてくれた。


「まず、私がどういう存在なのか・・・から話すね。私はこの世界で言う所の精霊と呼ばれる存在なの」

「精霊ねぇ・・・普段私が話しかけたり、話しかけて来るあの子達とは何が違うのかな?」

「あの子達は概念をまだ持っていない、いわば精霊に成る手前の存在なの。名前とかは特にないわ」


 ・・・ふーん、今まであの子達が精霊だと思っていたのに違うのか。私とツバキの認識が間違っていたという事になるのかな?となると、別の呼称が欲しいな。あの子達はそんなの気にしないんだろうけど、目に見える存在じゃあないから・・・そうだなぁ、スピリットとかミスティックとか安直かな・・・今度あの子達に聞いてみよう。


「あの子達も精霊である事に変わりはないの。ただ、まだ役目を持っていないだけ」

「・・・うん、そこら辺は今度あの子達に直接聞いてみるよ。それで・・・概念を持っているのが精霊という事だけど、君は何の精霊なのかな?」

「ティリア」

「うん?」

「私の名前」

「私は藤堂 桔梗。キキョウでもキョウでも呼びやすいように呼んでくれていいよ。じゃあ改めて・・・ティリアは何の精霊なの?」


 やっと名前を教えてくれた。少しはこちらに気を許してくれたって事かな?話していく内にこっちのイライラも大分収まって来た。


「私は『可能性』を司っているの。キョウが素手の状態で触れた物や者に影響が出ていたのは、私が原因。本当にゴメンなさい」


 ・・・こうやって素直に事情を話して説明してくれれば、さして苦労せずに対策を一緒に練るとか色々出来ただろうに。心底申し訳ないという表情で頭を下げてきたティリアにちょっと聞いてみよう。


「今思ったんだけど、私がこっちに飛ばされてきた時にそこら辺の説明が出来なかったのは何故?」

「キョウがこちらに転移してきたと同時に私は貴方の中へと入り込んだ。そこまでは良かったの。けど、キョウの精神世界・・・今ここに存在してる世界の事ね・・・ここに辿り着くまでの道中が険しくて自分の事で手一杯になっちゃった。やっとの思いでここに辿り着いた時には、説明するには遅すぎる位の時が経ってしまっていたの」

「ははぁ・・・それで言いずらくなって今の今までズルズル先延ばしにしていたら、突然私がやって来たものだから盛大に慌てパニくったと」


 苦笑しながら私がティリアの心境を予想立てて聞いてみると、ウグッとでも言いたげな表情で首を縦に振った。


「それでティリアは私の精神世界?とやらに住み着いたようだけど、私に出る影響は具体的に何なのかな?」

「本当は何も影響が出ないのが普通なの。私達精霊は、基本的に者や物に住まわせて貰うだけで宿った存在に悪影響を与える事は無いの。けど、私が自分の司る『可能性』を上手く扱いきれていなくてキョウの方に逆流してしまってるみたい・・・でもまさか、手袋一つで私の『可能性』を遮断できるとは思ってもみなかったの」


 シュンとするティリア。見た目のスペックが高いから結構可愛い・・・まぁ基本的には無害と。けど、ティリアがショボいのか単純に修行不足なのか予期せぬ不具合が生じていると。


「あと、住まわせて貰う存在は何でもいい訳じゃなくて、相性が存在するの。私は訳があって以前住んでいた場所から逃げ出したんだけど、その過程で力を一杯消費しちゃって存在を保てなくなりそうになったの。そこで緊急手段として、自分と相性のいい存在をこちらへと引き寄せる方法を用いたの」

「それで私が引っ張られた訳だ・・・でもそんな状態でよくそんな事出来たよね?力はもう殆ど残ってなかったんでしょ?」


 私はその方法とやらに元の世界へ帰る為のヒントがある様に感じた。


「それは・・・私と同じ同期の精霊で『次元と世界』を司る子が居るんだけど『いざっていう時にはコレを使うといいよ。但し、1回しか使えないから用法を守りつつご利用は計画的にね?』って言われて持たせてくれたコレのおかげなの」


 そう言ってワンピースの中に手を突っ込んで取り出したのは・・・どっから出て来たそれ?・・・まぁいいや、取り出したのは本に挟まっているであろう栞のようなもの。

 何やら文字の様な模様が書き込まれていたようだが、消しゴムでこすったかのように至る所が消えてしまっている。


「コレを使って次元に穴を空けて別々の世界を繋げたの。後は私の『可能性』で相性のいい存在を引き寄せる・・・結果、キョウが来たの」

「ははぁ、次元に穴を空けずに相性のいい存在を呼び寄せ若しくは探り当てようにも、ここそこまで引き寄せたり移動する力がもう無かったわけか・・・」


 私の返しに重く頷くティリア。なるほど~・・・とりあえず、


「うりゃっ!」

「ふぎゃっ!?」


 ティリアのおでこにデコピン一発お見舞いしておこう。中々の快音が響きましたぞ。これくらいの報復は許されるでしょう・・・でしょう?

 急に何を?って顔をして困惑しつつ涙目になってるティリアに対して私は、


「それで今までの事は水に流してあげる。これからは『次元と世界』を司っている精霊と会わせてもらえる様に立ち回ってくれるのなら、このまま私の中に居てくれても構わないよ」


 私からのその言葉が意外だったらしく、涙目から呆けた様な表情になったティリアは、


「・・・許してくれるの?」

「そう言ったつもりだよ。後は私が元の世界に帰れるよう協力してくれれば、私の精神世界?とやらに住み続けて貰っても問題ありません。可能であれば、ティリアの能力が私に逆流しないよう頑張って欲しい位かな」


 私の言葉の意味が分かって来たのか、さっきとは別の理由で涙ぐみ始めたティリアは、


「・・・うわぁぁぁぁん!ゴメンなさい!ごめん、ごめんなさいぃっ!」


 そう嗚咽を漏らしながら私の胸に飛び込んできて、ワンワンと泣き出したのだった。う~ん、甘いかなぁ私。元の世界に戻る希望は見えて来た。戻った時、怒り心頭であろう家族及び私の関係者達をどう説得するか今から頭を悩ましだす私だった。

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