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第52話:気の纏い方を教えました。

「単刀直入に行きましょう。僕らが使っているのはそもそもフォースじゃあないんです」


 角が無いのにフォースを使っているように見えてた人からすれば驚きの事実のはずなんだが、何か皆の驚きが少ないような・・・なんでだ?


「あれ?皆さん思ってたより驚かないんですね」

「それはカシアちゃんから話を聞いていたからね・・・まぁ感覚的な表現が多すぎて良く分からなかったけど」


 双子姉妹のお姉さんであるミアンが俺の疑問に答えてくれた。そういえば小難しそうな話を俺らがしてる間、カシアにはマナを直接使っている云々の説明をお願いしていましたな。確かそれでサポート要員として、うちのクランメンバーをけしかけた記憶があるんだが・・・何をやっていたのかな?

 そう思ってうちのクランメンバーを見回してみると、何か皆顔を背けて来るんだけど。


「皆カシアちゃんの必死な説明を微笑ましく眺めていたからね~」


 妹さんの方であるニーナがいい笑顔で答えてくれた。説明ありがとうございます。要するに君達はただただホッコリする光景を眺めていただけだと。ははは、こいつら~!


「向こうで何があったのか知らんが俺は十分に驚いているぞ?」

「フォース以外の見知らぬ力か・・・大変興味深いぞ、キキョウ君!」

「何かの方法でフォースを使っているもんだと思っていたんだが、違ったか・・・面白くなってきたな」

「それって私達も扱えるのかしら?」


 俺と一緒に話し合っていた面々もそれほど驚いちゃいないな。まぁ別にいいか。結局一から説明しなきゃならんという事だ。


「皆さんはフォースを使う時、マナを変換して貯め込み、貯蓄されたフォースを引き出して使用していますよね。変換して残ったマナの残滓は角の構成要素として排出されている・・・この認識で間違いはないですよね?」


 一同を見回して皆が頷いているのを確認する。


「僕やカシア、マグルは皆さんが変換しているマナをそのまま使用しているんです。呼吸で取り込んだマナを体内で循環させ、必要に応じて循環しているマナを使用する事により身体強化などを行っています」


 俺の説明を聞いた面々が一様に同じ表情をしてくる。それはどうやるんだ?と。


「僕は呼吸で取り込んだマナを全身に行き渡らせる感覚だけで出来るんですが・・・これは口で説明するのは難しいです。皆さんの場合、マナを取り込んで変換を行う器官に送るイメージでフォースを精製出来ると聞いているのですが、コレを全身に行き渡らせるイメージに変える事で出来ないでしょうか」


 この情報源はアルである。少なくともアルとミズキはこの方法で使い分ける事が出来た。皆が難しそうな顔をしながら思い思いに試している。

 そこでふと思いついた。


「身体強化を体全体に施す時のイメージで応用できませんか?全身に巡らすのがフォースでは無くマナに置き換える感じで」


 マナを全身に巡らす事が出来れば一つ壁を乗り越えた事になる。皆マナを知覚する事は出来ているので感覚さえ掴めばここまでは出来るようにはなると俺は踏んでいるのだが・・・果たして。


「・・・こんな感じですか?」


 一番乗りはレオナでした。うん、体内を上手くマナが循環しているな。問題はここからだ。俺の手に触れずにマナそのものを使用できるか否か。


「レオナちゃんおめでとう。まずは第一関門突破だ。ここまでは皆出来るようになると思うんで頑張ってみてください。で、だ・・・ここから先は正直な所出来るかどうか分からない。出来ないからと言ってガッカリしないでな」


 レオナちゃんが頷くのを見て、俺は説明を続けるとする。


「体内を循環しているマナを使用する方法なんだが、内に流れるマナを絞り出すような感じで纏うんだ。これを俺は『気を纏う』って表現しているんだけど、感覚的な事なんで俺も上手く説明が出来ない。この感覚は人それぞれで違ってるみたいでね、カシアみたいに何かわかんないけど出来たって人も居れば、衣服やアクセサリーを身に着けるイメージで気を纏えた人も居る」


 カシアやミズキは完全に感覚派、アルやマグルはイメージを添える事で纏う事が出来たイメージ派とでも言おうか。

 ミズキに関してはブレスを吐く感覚に近いとか言っていたが、俺に分かるはずもない。火なぞ吐けんわ。ツバキとシリカに至っては体そのものがマナの塊のような者なので、過程が違い過ぎて参考にならない。


「いきなり全身でやるのは危ないから、掌に限定してまずはやってみよう」


 レオナが頷いて手を伸ばし、掌に集中しだす。すると、体内を循環していたマナではなくフォースの方が表に出てきてしまう。この状態で身体強化を行うとフォースを使用して掌が強化されてしまうわけだ。

 フォースの感覚を覚えてしまっている人はここが難しい。どうしてもそっちの感覚に引きずられてしまい、気を纏う事が出来ない。

 アルやミズキも最初は上手く行かなかった。今でこそ気を纏う事は出来るが、上手く扱えていないのが現状だ。

 その点、俺やカシアやマグルはフォースの感覚なぞ知らないので気を纏うのに四苦八苦する事はない。


「難しいです」

「一度貯め込んだフォースを空にするのも手かもしれない。無ければ出てこないからね」


 俺のアドバイスに従って貯め込んだフォースを排出していくレオナ。探索から戻ってきて間もなかったせいか、まだそんなに貯蓄されていなくて良かった。

 排出が終わり、レオナは改めて手を伸ばし掌に集中しだす。


「・・・~~~~っ」

「やっぱりいきなりは難しいか・・・あっとそうだ。もし、この後俺の見ていない所で気を纏う事が出来ても使用は控えて欲しい。というのもね・・・」


 俺はバックパックを適当に漁り、砕けても問題無さそうな鉱石を2つほど取り出す。


「レオナちゃん、この鉱石を身体強化した状態で握りつぶす事って出来るかな?」

「?どうでしょう、ちょっとやってみますね」


 そう言ってフォースによる身体強化を施した掌で握ってみるが、どうやら握り潰す事は出来なさそうだ。


「~~~~っムリ、ですねっ」

「そのようだね。じゃあ次は俺がやってみよう・・・これが気を纏った状態の掌ね。薄ーく纏っているのが見えると思うんだけど、この状態で身体強化を施して今レオナちゃんが握り潰せなかった鉱石を握ると・・・」


 俺がおもむろに鉱石を掴み、握るとまるでそれが卵か何かだったかのように潰れる。胡桃を2つ握った時の様に掌内の鉱石をゴリゴリやると、粉上になった鉱石が掌内から零れ落ちて来る。

 一部の人達がその光景を見て、あんぐりとした表情となっておりましたよ。因みにレオナは驚きこそすれど、まだ可愛いと言える表情だ。決してガルドさんやリカルドさんのような酷い面ではない。


「この通り。気を少量纏っただけでこれ程の出力が出てしまうんだ。何も知らない人がフォースと同じ感覚で気を纏って身体強化を使ったら・・・まず間違いなく体が壊れる。下手をすれば死ぬかもしれない。カシアやマグルの様に初めから気しか纏っていない者達は、体が危ない領域に達するとリミッターが掛かるけど、フォースで体が慣れてしまっている人達は気を纏った時ソレがフォースだと誤認してしまう恐れがある」


 俺の説明を聞いていく内に深刻さが分かって来たのか、皆の表情が硬くなる。


「なので、例え気が纏えるようになったとしても必ず僕の前で使用してください。使用感を見て安全な出力を教えますので」


 皆首を勢いよく縦に振っているから大丈夫だろう。とても大事な事なのでしっかりと言っておかなくては。


 あの後、レオナに続いて双子姉妹もマナの体内循環が出来た。男性陣とシエルさんは苦戦中だ。しかし、やっぱりと言うかこの先が難しい。今の所気を纏えた者はゼロである。


「ん~・・・やっぱ厳しいな」


 皆の様子を見て俺は1人呟く。こうなったら皆に俺の手を握って貰うか?いやでも、気を纏えるようになるだけじゃ済まない気がするんだよなぁ・・・うん、ダメ。この方法は無しで。パル〇ンテに頼るとかロクな事にならん。


 そんな中、カシアとマグルは双子姉妹のミアンとニーナに付きっ切りでアドバイスらしき事をしている。どうすれば気を纏えるのかを教えているのだろうが、感覚派のカシアには荷が重すぎる。現にその話を聞いているミアンとニーナは頭の上に?マークが見えそうな顔をしている。

 一方マグルは気を纏うのを実際にやって見せていたりしている。循環している体内のマナがどんな流れで体を覆っていくのか、凄くゆっくりとした行程でもってソレを見せていた。おぉ、マグルはマナの扱いが本当に上手くなったなぁ・・・。


 その実演の中で俺はビビらされる光景に出くわした。カシアとマグルが手を繋ぐと、なんと互いを通してマナを循環させ始めたのだ。

 これにはもう本当にビックリ。え?ナニそれ?そんな事できんの?子供の発想は本当に凄い。でも、その光景を見たおかげで解決の糸口が掴めたかもしれない。

 ソレが実際に可能かどうか、カシア達の所へレオナと一緒に行き、俺が思いついたソレをカシアとマグルに伝える。


「わかったー。じゃあ早速やってみるね!」

「やってみます」


 2人はさっきやっていた手を繋いだ状態でマナを互いに循環させ始めると、カシアが手を繋いでない方の手を前に伸ばす。そして、カシアの伸ばした方の掌に気を纏いだす。


「お、おぉ~・・・マグルってこうやって気を纏ってるんだ、おもしろ~い!」


 カシアがそんな事を言って自身の伸ばした手に纏わさった気をマジマジと見ている。よし、成功したな。


「次は私がやってみたい!マグル、手を伸ばしてみて~」

「わかったよ、姉さん」


 カシアが手を下ろすと同時に纏っていた気が無散する。今度はマグルが腕を伸ばすと、マグルの掌が気を纏いだす。


「・・・姉さん、なんでこんなムチャクチャな方法で気を纏えるの?」

「そんなに変かな?私はこれが一番やりやすいのだ!」


 お分かりいただけただろうか?今、カシアの腕に気を纏ったのはマグルで、マグルの腕に気を纏ったのはカシアである。

 2人の反応を見た限り、俺の目論見通り互いの気の纏い方が分かったようだ。カシアとマグルが姉弟だからこそ出来た事かもしれないが、もしこれが他の人とでも出来るのなら片方が気の纏い方を補助する事で感覚を掴む事が出来るかもしれない。


 その結果を見ていた双子姉妹とレオナも事の意味が分かったのだろう。俄然やる気が出て来て、早速俺達に補助をお願いして来る。


 そんな熱意に晒されている俺達の背後で、


「あ、俺分かったわ」

「何ぃぃぃっ!?リカルド、てめぇっまちやがれっ」

「はっはっはー!俺は次に行かせてもらうぞっガルド!」


 マナの体内循環を会得したリカルドさんが、ガルドさんを盛大に煽っているのだった。

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