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第44話:入口が見つかりました。

 あれから断崖に沿って隠し通路やら抜け道やらを探しつつ、定期的にそびえ立つアリの巣をレオナに駆除して貰いながら行き止まりまで来たのだが結局見つからず。

 そしてスタート地点ともいえる断崖に初めて行き当たった場所にまで戻り、小休止を少しばかりとる。思わず断崖の上を見上げてしまうが、霧の様なものが掛かっていて一定以上から上の方はまるで見通せない状態だ。

 今は天井的な部分が見えないが、明らかに高さが増している。どうやったのか知らんが、この広大なエリアというかフィールドを丸々覆うとか人間業とは思えん。この捜索が終わったら、俺、この未知の塊である遺跡内をくまなく探索するんだ!するんだったらするんだ!お預けを食らいまくってストレスがマッハなんですよ!

 ・・・あ、だめだ。その前に冷蔵庫モドキを作って消費し尽した食材の確保を優先しないと。ちくしょう!誰か、俺に自由を与えてくれ!俺に生きる実感をくれっ!


「さっきから何やってるのキョウ?控えめに言ってキモイよ」

「・・・アル、因みに控えめじゃない場合は?」

「うわ何やってんのキョウ、カシア達の教育によろしくないからあっち行ってくんない?」


 ごふぅ!その汚物を見るような目とセリフはクリティカルだわ。思わず膝をついて項垂れてしまうくらいに。


「何馬鹿な事やってんだ、そろそろ逆側の捜索いくぞ」

「「は~い」」


 ロイさんに怒られてしまった。スイマセン。


 そんなわけで小休止を終えた俺達は捜索を再開するわけだが、特におかしな点は結局見つからずに逆側の行き止まりまで来てしまった。

 再度戻りながらも探しては見たが、やはりそれらしき箇所は見つからず。


「クソッ!なんか手掛かりとかねぇのかよ!」


 ロイさんが苛立ちを隠しもせずに断崖に向かって蹴りを放つ。ベッドから落ちた時に聞こえて来る音に重厚感を持たせたら、こんな打撃音になるかもしれない。

 蹴りを受けた断崖の一部が崩れると同時に、


「アーーーーーッ!?」


 というロイさんの叫びが下へと遠ざかっていった。


 なんかロイさんが断崖を蹴ったら、その足元の所にヒビが入って底が抜け、蹴りの姿勢を保ったまま落ちていってしまった。

 偶々近くに誰も居なかったので巻き込まれた者はいないが、直径2m近くの穴が急に現れた。


「ちょっロイさ~~ん!無事ですかーーー!」


 俺は慌てて出来上がった穴へと駆け寄りこれ以上崩れない事を確認した後、穴へと向かって叫ぶ。


 しばし、反応が返ってくるのを待つ事数秒。


「だ、大丈夫だ!それより、お前らもどうにかしてこっちにこい!見つけたぞ!」


 どうやらお目当ての道とやらが見つかったようだ。






 どうにかこうにかしてロイさんが空けた穴の底へと降りた俺達は、そこに広がっている光景に目を奪われる。

 見た事のない形式によって造られたであろう建築物の数々、そして地下だと言うのに視界が確保されている。どうやらこの空間そのものが薄く発光しているようで、見えづらくはあるものの全くの闇というわけではない。よく見ると広大な遺跡群である建築物も薄く発光しているようだ。

 感覚としてはカーテンを閉め切った室内に近いだろうか。隙間から入り込んでくる僅かな光源でちょっと先が見えるかなという奴だ。


「おぉ・・・おぉ~~。凄く立派な遺跡ですね!若干崩れてる箇所が見受けられますけど、ここまで保存状態が良い遺跡は滅多にないですよ!何で光ってるんだろ?建築様式は?うん、見た事あるわけがないよね!新発見って素晴らしい!あ、でもレオナちゃんのクランの方々が来てるはずだから新発見ではないか。まぁいいやそんな些細な事は。おっと、まずはこの遺跡を生み出した方々に敬意を表して黙祷をっと。・・・・・・よし!遺跡内の遺物は許可を頂かない限り持ち出さない事をここに誓います!でわ皆さん、早速探索行ってみましょ~!」


 俺が颯爽と飛び出そうとした所を、後ろから大きな手で鷲掴みされ拘束されてしまう。


「お父様、ストップよ。お気持ちはちょっと分からないけど、目的がすり替わってしまっているので止めますよ。今回は探索ではなく捜索です。探索はこの後幾らでも出来るようになるのですから、今は我慢してください」

「は、放せシリカ!遺跡が未知が俺を待っているんだ!」

「ダメです。暫くお父様は私の腕の中で頭を冷やしなさい」


 ぐぁぁぁっ!体ごと鷲掴まれてしかも持ち上げられてしまったので、文字通り手も足も出ない!ひとしきり抵抗をして見せたが、脱出は不可能な模様。無念だ・・・俺は体の力を抜いて萎れた花のようにグッタリとする。

 そんな哀れな俺を、全員が各々の感情を乗せて見つめて来る。それは呆れだったり驚きだったり同情だったり。大半が呆れでした、はい。


「キョウの暴走は予想外だったが、一部気になる事を言っていたから質問をさせてもらうぞ?遺物を持ち出さないとか言っていたが、なんでだ?普通、遺跡に眠っているお宝は持ち帰ると思うんだが」


 ガルドさんからの疑問はある意味当然っちゃ当然なんだが、俺の経験上それは止めておいた方がいいと言わざる負えない。


「どんな遺跡でも盗掘は止めておいた方がいいですよ。遺跡の所有者或いは管理者側から見れば、俺達は土足で我が家に上がり込んできた盗人でしかないですからね」


 俺は真剣な表情でその質問に答える。他の面々は良く分からないって顔してるな。


「それってつまり遺物に手を出した連中が祟られて謎の死を遂げるっていうアレか?そんなのを気にしてたら探索なんぞ出来やしないか?」


 ロイさんからの疑問を聞いて、あぁなるほどと納得する。実体験が無ければ分からないのも当然だ。


「謎の死でも何でもなく実際にある話ですよ。大抵の遺跡は過去に存在した人物の墓だったり、表に出すのも憚られる者や物を閉じ込める或いはしまい込む為の領域だったりします。何かしらの天変地異で都市が丸ごと遺跡と化す事もありますが、その場合はもっと遺跡そのものが荒れていますし何より未練とか怨念というものが溜まりに溜まってこんなにノンビリ出来る場所ではなくなっていますね。稀にただの倉庫みたいな遺跡もあったりしますが、それも一通りの調査を済ますまでは遺物に手を出すべきではありません」


 皆が静かに聞いてくれるので、直に続きを話すとしよう。


「つまりですね。ここに到達した時点で遺跡側にいるであろう存在に情報は伝わっているはずです。大体は侵入者を感知して異物である僕達の排除に動き出してる所なんですが、今の所その気配が無いとなると様子を見ているのか、はたまた騒音に気づかずに寝たままなのか・・・って所でしょうか」

「そういう存在が遺跡に居るっていう確証はあんのか?」

「確証はありませんよ。これはあくまで僕の経験に基づいたものです。今この状況だけでも遺跡側からすれば十分に無礼だと思いますが、盗掘をせずに周りの捜索をするくらいなら目を瞑ってくれるかもしれません。もし、奥へ進もうとして敵意を感じたり何かが呼んでいるような感覚があった場合は要注意です。最低限の礼儀と敬意を払っていれば、問答無用で殺しに掛かってくる事はあんまりありません」


 それでも今一納得がいかないという顔をしてるのが、ちょろっと見受けられるな。


「因みにそこん所を弁えずに自身の力を過信して盗掘を繰り返してた奴がいたんですけど、そいつと一緒に組んでた奴がある時僕に助けを求めて来ましてね。何でも新たに見つかった遺跡をいつもの如く漁っていたら急に相方が消えたって言うんですよ。そいつは何かが起きても自分の位置を知らせる事が出来るアイテムを持っていたんで居場所は直に判明したそうなんですが、入り口が遂に見つける事が出来なくて僕に助けを求めてきたわけです。で、僕はそいつの相方を伴ってそいつが居るという反応を示している地点まで来てみたら、ぽっかりと入り口が出来上がっていたんですよ。僕は警戒してその密室には入らなかったんですけど、中に入らずとも室内の様子は見えました。そこには白骨と化して尚、虫達に集られているそいつの成れの果てが転がっていましたよ。何やら手に宝石の様な物を握りしめた状態でね。その宝石を目にした途端、その凄惨な光景を見て怯えていたそいつの相方が『なんて美しいんだ・・・欲しい・・・あの宝石は俺の物だ!』って叫びながらその密室に飛び込み、虫達を蹴散らして白骨からその宝石を奪い取っていたよ。そしたら、開いていた入口の扉がギロチンの断頭台のように落ちてきてそいつの相方は密室に閉じ込められてしまった。けど、そんな状態であるにも関わらずその密室からは相方の笑い声が絶えず聞こえていたよ。程無くして笑い声が聞こえなくなったと思ったら、ゆっくりと扉がせりあがってまた入り口が出来上がったんだ。そこには2つの白骨が折り重なった状態で、これまた虫達に集られていたよ。今度は相方の手に遺物なのであろう宝石が握られた状態でね。その時かな、後ろに気配を感じたのは。そこには身なりの良い若い女性が1人、こちらを見つめながら立っていたんだ。そして僕にこう言ってきた」


『私の家であるこの遺跡を荒らすのは、如何なる存在であっても赦しはしない。好奇心に駆られ、はしゃぐ程度は目を瞑るが、盗みを働くのであればそれ相応の覚悟をする事だ。努々忘れるな・・・』


「ってね。お分かり頂けただろうか?」


 長々と語ってしまったが、皆真剣な表情で何度も首を縦に振っているから大丈夫だろう・・・シリカに鷲掴みにされたままというのが何とも締まらない話であったが。

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