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第41話:合流しました。

 シリカ達の臨時訓練が終わった俺達は、そのままバンクへと向かい登録を済ませた。一部、シリカの事を見てギョっとした人も居るには居たが騒ぎになるような事も無かった。これも訓練の賜物と言える。


 登録を済ませ指輪を頂いた後、エリスさんが


「それにしても、キキョウ様のクランメンバーはユニークな方々が多いですね」

「え、そうですか?普通ですよ普通」


 スイマセン、全然普通じゃないですよね。もう目立ちたくないとかムリだー。目立たない要素が皆無だもん!せめて俺だけでも存在感を薄くできませんかね・・・。


「ふふ、そういう事にしておきます。先程いらっしゃいましたミズキ様から伝言です。ガルドさん達と遺跡内ゲート付近で待っている。との事です」


 どうやら既に遺跡内に居るらしい。にしても、ガルドさん達も一緒?もしかして、付いてくるつもりだろうか?もしそうだとしたら、予定を変更せざる負えないだが。


 開拓されたエリア内の捜索は既に終わっている。となると、バルガスのおっさんが言っていた未開拓エリアの捜索となるわけだが、そこに辿り着くためには断崖を登りながらウォッチャーと呼ばれているモンスターの妨害を掻い潜らないと行けない。


 レオナのクランメンバー方が見つけたという未開拓エリアへ抜けるルートを見つけられれば良いのだろうが、前回の捜索でソレが見つからなかった時点で容易な事じゃないだろう。


 そこで俺はミズキに元の姿に戻って貰って上まで運んでもらおうと考えていた。レオナに正体がバレる事になるがあの子の人の好さだ、こっちの秘密を守ってもらうための契約を受け入れてくれるだろう。無論、事前に説明し合意を得られればの話だ。


 が、ガルドさん方が付いてくるとなるとこの方法は出来ない。あの人達も口は堅そうだがレオナ程信用できるかと言われると否だ。


 そうなってくると人命がかかっている以上、断崖の強硬突破しか俺は思いつかない・・・ともかく合流してからじゃないと決められないか。


 俺達はエリスさんにお礼を言いつつ遺跡内部へと続くゲートを潜った。




 ゲートを潜ると早速遺跡側のゴーレムさんに話しかけられた。


「やっと来たわね。あそこで皆お待ちかねよ」

「ありがとうございます。えっと、遅くなりましたけど僕はキキョウって言います。呼びにくければキョウと呼んでください」

「あら、名前を教えてくれるなんてお姉さん嬉しいわ~。私の事はミリアって呼んでねっ」

「はい、ミリアさん。今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね。さ、早く行ってあげなさい」


 俺達はミリアさんと軽く挨拶をかわし、皆と合流を果たす。シリカとツバキもしっかりと紹介したい所だったが、今はちょっと時間が惜しい。


「ゴメン、遅くなった。それで、どうしてガルドさん達もここに?」


 合流早々もっとも気になっている事を聞いてみる。クランメンバーとガルドさん達は互いに雑談をしていたっぽいので挨拶などは既に済ませたのだろう。


「レオナにキョウの事を教えたのは俺達だ。大体の状況は分かっている・・・行くんだろ?未開拓エリアに。何か俺達に出来る事は無いか?」


 ガルドさんが代表してこれまでの経緯を説明してくれる。内容はおおむねレオナから聞いた通りだった。責任感有りそうなお三方だもんな~・・・やっぱこうなるか。どうしたもんかな。


 試案に少々耽っていたらロイさんから、


「にしてもキョウ、昨日の今日でもう指輪が青色なのな。早すぎんだろ」

「ビッグホーンラビットを1体倒しただけなんですけどね、朝起きたら青くなってました」

「あれをか・・・やっぱ指輪の色なんざ当てにならんな」

「よくあんな気持ち悪いモンスターと戦いましたね。私は避けれるなら避けてしまいますね、アレは」


 俺がロイさんにビッグホーンラビットの事を話したら、ガルドさんが指輪の指標の役立たなさに溜息を付き、シエルさんはあのエイリアンの事でも思い出したのか、自身の体を抱きすくめる感じで眉根を寄せている。何気にシエルさんの後ろで全力で首を縦に振っているアルが何というか・・・ねぇ?


「あのブサウサギをねぇ・・・なら指輪が青くなるのも当然か。てことはだ、あそこの妙に元気でチッさいのが、あの黒いモンスターを倒したって事か?」

「そうですね。事実上倒したのはカシアです。僕は止めを刺したに過ぎませんから」

「緑も青も通り越していきなり赤とか初めて見たわ」


 ロイさんが何処か遠くを見つめる感じでカシアの事を見ながらそうごちる。そう、カシアも朝起きたら指輪の色が変わっていた。それも赤く。なお、他の面々は昨日何も倒したり戦ったりしていないので白のまんまである。


「にしても、キョウも含めてお前さん所のメンバーは異常だな。剣竜の森ってのはそんなにも危険な場所なのか?」


 ガルドさんが俺にそう聞いて来る。レオナがそうだったように文字通り鼻が利くのだろう。


「どうなんでしょうね。剣竜の森に関しては遺跡都市内で噂されている程度の事しか僕も知らないですけど」

「別に隠すような事でもないだろう。お前達があの森方面へ出入りしているのは結構な人が見かけているし、鼻の利く奴なら俺の様に方角くらいは直に割り出せるさ。何よりもキョウの所には森精種のお嬢さんが居るんだ。今更だろう?」


 そういや、アルは元々遺跡都市と剣竜の森にある里を行き来してたりしてたんだったな。確かに今更だ。


「僕としては食材豊かな良い森って感じですね。一部場違いなのが生息していますけど」


 もはや隠していても意味が無さそうなので、素直に俺は答える事にする。


「場違いなのって言うと、やっぱ剣竜か?」

「剣竜の森なのだから居て当然でしょう」


 剣竜の森の事はやっぱ気になるのか、ロイさんやシエルさんも食いついてくる。あぁもう二人ともそうやってすぐに睨み合わないでください!


「自分の目で確認できたのは、赤くて如何にもって雰囲気を漂わせていた角のある馬と、人くらいは丸のみ出来そうな魚・・・あとは森の名前になっている剣竜ですかね。他にも居ると思いますけど、残念ながら姿を拝む事は出来てません」

「そいつらと戦闘は何度かしたのか?」

「馬は遠目から見たくらいです。魚は何度か釣りあげて美味しく頂いてます。剣竜は・・・まぁ一度だけ」


 3人が何言ってんだこいつって顔してますよ。そもそも貴方方の後ろには当の本人が何食わぬ顔して居ますからね?


「で、剣竜はどうだったんだ?倒したのか?」

「うーん、あれは倒したと言っていいものなのか・・・あの時の剣竜はやたらと機嫌が悪くてですね、過程は省きますけど周りへの被害が甚大だったのでスキを見て頭に一発食らわせて気絶させたんですよ」

「「「・・・」」」

「そのあと機嫌が悪い原因を探ったら、どうも牙と牙の間に不快な異物が挟まっていたようで。頭に一撃入れた衝撃でソレが取れたらしく、気絶した頭のすぐ横に転がっていましたよ」

「そ、それで?何が原因だったんだ」


 お三方が各々の方法でリブートして続きを促してくる。


「見覚えのない鉱石でした。とりあえずバッチィので川で洗って持ち帰りました」

「殴り倒した剣竜はその後どうなったんだ?」

「程無く目覚めてスッキリしたような顔して帰っていきましたよ。全く、歯に物が詰まった位で人の住居近くで暴れるなって話です」


 俺が話終わると、3人は何処か納得したようで、

 

「・・・そこのミズキ嬢ちゃんが、キョウの方が強いって言ってた意味が分かった気がするわ」

「そんなキョウと一緒に行動してりゃ、強くなるのも当然・・・か」

「にしても、尋常じゃないわよこの子達。キョウの教え方が凄くいいのか、この子達のポテンシャルが凄いのか・・・私、自信無くなって来た」


 いやいや、何言ってんすかお三方。少なくともカシアとマグルよりは強いでしょうに。アルも武器無しだったら多分勝てない位には実力があるとお見受け致すが。

 ミズキと・・・シリカは別格なので気にしたら負けだ。この2人はパワーもそうだが耐久力が規格外過ぎる。片やドラゴン、片や全身マナダイトな超生命体ですよ?どうしろと。ツバキに至っては元自称世界の創造者・・・もう良く分からん。

 そんな事を知りもしないお三方にとってはなるほど、衝撃的かもしれないなこれは。だからと言って気軽に教えられる内容でも無い訳で。


「レオナも規格外だったが、キョウ達を見ていると不思議と普通に見えてしまうのが恐ろしい所だな・・・やれやれ、これはさっさと鍛え直さないといかんな」

「全くだ。テッペンが見えたと思ったら、更に上の雲の切れ目から新たな頂上が出てきた気分だぜ。気合入れ直さにゃならんわ」

「はぁ~・・・鍛え直しとか嫌になる。でもこんな事で立ち止まっている訳にも行かないのよねぇ・・・」


 予想外。大抵の人は力の差を見せつけられると諦めたり腐ったりするんだが、この方々はむしろ逆なようだ・・・素直に感心させられる。

 俺も何度か味わった事があるが、こんなにも早く気持ちを切り替えられるものだろうか。少なくとも俺には出来ない。凄いなこの人達は。


「おっとスマン。こんな事をしてる場合じゃなかったな。まずは未開拓エリア前まで行くとしようか」


 そう言って俺達はガルドさん方の案内の元、未開拓エリアへと続く断崖まで移動するのであった。

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