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第4話:腕輪を発見しました。

ひっそりと更新再開。言い訳はイタシマセヌ!

本当にすみませんでした。

毎日更新できるよう精進いたします。

 念のためトラップ類が仕掛けられていないか確認しつつ俺は棺のような箱の蓋へと手をかける。

 わずかに蓋が開いた瞬間、即座に離れる。ガスなどのトラップを警戒した為だ。

 何も起こらないのを確認しつつ俺は再度箱へと近づき、蓋を更に開けていく。


 中は―――僅かに発光している水で満たされていた。普段は警戒を怠るという事はないのだが、なぜだろう・・・不思議と危険は無いと感じてしまったのだ。まるで木漏れ日が射し込む森の中にひっそりと存在している泉を想起させるような、そんな安心感があるのだ。


 俺は水で満たされた箱の中に手を入れ中を探ってみる。すると何かリング状のものが手にあたった。水から手を引き抜き、掴んでいる物をよく観察する。


 ―――腕輪だろうか。何で出来ているかは分からないが、銀色で控えめな意匠を凝らした腕輪。見る人が見れば美しいと思われる物だが、生憎と装飾品の良し悪しとか俺にはわからん。妹達なら、嬉々として身に着けるかもしれない・・・そんな事を考えていた時だった。


 突然、何処からとも無く声が聞こえたのだ。


「そんなじっくりと見ないでよ、恥ずかしいじゃないか」

「・・・ん?」


 ヤバイな、人が恋しくて遂に耳の調子がおかしくなったか。

 俺が耳の調子を確かめていると再度、


「いやいや、幻聴でもましてや君の耳がおかしくなったわけでもないよ」

「・・・・」


 それは腕輪から聞こえてきたのだ。


 俺は反射的に腕輪を投げてしまった。


「ぎゃーーーーーっ!?」


 ぎゃーーーーは俺の方だ!ビックリした。すげぇビックリした!ふと違和感を感じて視線を動かしたら、衣服にカメムシがくっついて爆走してたくらいビックリしたし焦った!こんな時、反射的に手で払ってしまうよね、後先考えずに。


 壁に当たって跳ね返ってきたのか、未だにジェットコースターでシェイクされてる人よろしく喚声を上げてる腕輪がこっちに戻ってきた。


 ドキドキしてる胸を押さえ、警戒感丸出しで腕輪をにらめ付け一言、


「キモッ!」


 すると腕輪から


「気持ち悪いとはなんだーー!人が折角勇気を出して話しかけたというのに、あんまりじゃないか!」


 メッチャ抗議された。


「いやスマン。生理的に受け付けなくてつい反射的に・・・」

「ボクは害虫か何かかっ!?Gみたいな扱いを受けるなんて酷すぎるよ!」


 プンプンお怒りな腕輪さんから、あまり聞きたくない単語がおいでなすったぞ。


「え、この世界にもゴキ―――Gいるの?」

「あぁ居るとも!戦車並にデカイ奴から蟻並に小さな奴まで多種多様にね!」


 なんとこの世界にはそんなデカイのが君臨してるのか。そんな図体なのになぜだろう・・・ちっとも遅いイメージにはならず、寧ろ高速で走り回り木や岩を粉砕し黒い弾丸と化して迫ってくる・・・そんな絶望を想像してしまった。


「おぉ、神よ・・・なぜあなたはあのようなグロテスクなフォルムのクリーチャーを創造したのか」

「別に好き好んで創ったわけじゃないよ。あいつ等、隕石に付着してていつの間にか増えてたんだ。まったく、処理しても次から次へと湧いてきて・・・いい迷惑だよ」

「・・・なんか今、サラッと聞き捨てならない事いったよな?」

「そんな事よりも、君はまずボクに言わなきゃいけない事があるんじゃないかな?」

「・・・おぉ、神よ。死んでしまうとは情けない?」

「僕はどこぞの勇者か!?」

「じゃあ・・・ねんがんの ア〇〇ソードを てにいれたぞ?」

「そう かんけいないね」

「通じた!?」

「ちがーう!そうじゃないでしょ!?いい加減にしないと本気で怒るよ!?」

「ハイ、スミマセンでした。咄嗟に投げてしまい誠に申し訳ございません。ついカッとなってキモッ!っと叫んでしまいました。今は反省していますです。ハイ」

「よろしい。全く・・・君という奴は、何処まで僕の事をおちょくれば気が済むのか」


 途中までノリノリだったくせに。


「ん?何か言いたそうだね」

「いえ、滅相もございません」


 というかこの腕輪さん、どうやって俺にしか知りえない内容、もとい情報を知ったのか。ここは素直に聞いてみよう。


「なぁ、なんでド〇〇エや〇マサ〇の事知ってるんだ?」

「それはだね、君が僕に触れた時に君という存在そのものの情報を読み取ったからだね」

「・・・なん、だと」

「でも安心するといい。君のプライベートな部分は読み取らないようにしたから」

「・・・貴様、いったい何人の生命をそのキズの為に吸い取った!?」

「お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」

「光になれぇぇぇぇぇっ!」


 そのセリフを聞いた瞬間、俺は躊躇なく全力で腕輪をぶん投げた。


「ぎゃーーーーーっ!?」


 壁やら天井にぶち当たりながら跳ね回る腕輪に対し俺は


「このデリカシーの欠片もない腕輪がぁぁぁっ!人様の記憶を何の許可もなく覗き見るとか・・・テメェの血は何色だぁぁぁぁっ!?」

「腕輪に血もへったくれもないでしょ!?」


 ほう、その状態で返事が返ってくるとは・・・まだ余裕があるじゃあないか。再度こちらへと転がり戻ってきた腕輪を拾い上げ宣告する。


「何か言い残すことはあるか?」

「待て!早まるんじゃない!勝手に記憶を読み取った事はこの通り謝る!すまなかった!だから両手で僕を掴んでねじ切ろうとするのは止めるんだ!ヘルプ!ヘルプミィィィィ!!」


 どうやら心底反省しているようだし、この辺で止めておくとしよう。そもそも最初にやらかしたのは俺だしな。


「・・・不毛だ。そして話がまるで進まない。この辺りで喧嘩両成敗という事で止めないか?」

「異議あり!と言いたい所だけど、確かにそうだね」

「済まなかった」

「僕も悪ノリが過ぎたよ、申し訳ない」


 やれやれ、これでやっと話が進む。


「まずは自己紹介だな・・・俺は藤堂 桔梗。よろしければ、そちらの名前を教えていただきたい」

「僕の名前は・・・そっか、この地に降り立ってからさほどしないうちに眠りについたから名前を決めていなかったんだった。ちょっと待ってね、今考えるから」


 ウンウン唸りだす腕輪さん。名前が無いってどういうことよ?そんな事を考えているうちにどうやら決まったらしく、


「よし、決まったよ。僕の名前は月見野 椿。この世界の創造者だよ。気軽にツバキと呼んで欲しいかな」

「了解した、ツバキ。俺の事はキョウとでも呼んでくれ」

「わかったよキョウ。ところで、僕がこの世界の創造者だと知っても驚かないんだね?」

「そりゃあ、さっきGの話しをしてた時にそれらしい事を言ってたしな」

「あぁ、なるほど」


 さて、腕輪さんもとい、椿には色々と聞き出さなきゃならん事が山ほどある。


「何から聞けばいいやら・・・だがその前にだ」

「?」


 そう、その前に言っておかねばならん事がある。


「・・・腹減った」


 そう言い残し、俺は力なく座り込んだ。


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