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第26話:遭遇しました。

 ゲート前のゴーレムさん、会釈で済ませて進んでしまった為に名前は分からなかった。で、通過後の遺跡内部側のゲートを監視してるゴーレムさんがこちらの


「あら~私に声を掛けてくれるだけじゃなく、名前まで聞いてくれるなんて・・・ナンパと受け取っていいのね?」

「いえ、違います」


 うん、おねぇだ。絶対にオネェだ!男の太目・・・いや、低めの声なのに女の子口調。そして、両の握り拳を口元に持って来てのぶりっ子ポーズ。第一印象で判断してしまって本当に申し訳ないが、俺、ゴーレムは守備範囲外なんだ。


「も~照れちゃって可愛いんだから。オネェさん、結構尽くすタイプなのよ?」

「へぇ~そうなんですか。でも俺、もう恋人は作らないって決めてるんで・・・本当にすいません」


 うぉぉ、圧力がものすんごいの。ゴーレムだからかな?これがまだ見た目が女性型だったら危機感・・・もとい、忌避感が軽減されるんだろうが、なんせ見た目がもうポチョ〇〇ン。表情に出てしまわないよう努めるのがとても難しい。けど、こういう性格の方って基本純粋で良い人・・・人?ゴーレムか。えぇい、ともかく!基本良い人で繊細な事が多かった気がする・・・俺の人生経験的に!なので、出来る事ならば傷つけたくはない。そんな事を考えていたら、


「あら?一見若そうなのに妙に達観してるのね。何かあったのならオネェさんが相談に乗るわよ」

「はは、ありがとうございます。けど、気軽に話せるような事じゃないので」

「そう?辛くなったらいつでも会いに来なさいよ。愚痴くらい幾らでも聞いてあげるから」

「はい、辛くなったらお願いしますね」


 俺はそう言って、少し離れた場所で待ってるクランメンバーと合流する為その場を後にした。


 ほら!やっぱスゲー良い人だよ!ゴーレムだけど。早い段階で会話を切り上げれたから、下手な事を言ったり表情に出たりしなくて良かった。

 見た目とのギャップが凄いゴーレムさんだったが、慣れれば良き隣人的な感じになれそうだ。これからもちょくちょく話したいと思う・・・あ、名前聞きそびれたわ。帰りにもう一度聞くとしよう。


「おまたせさん。いや~中々個性的だったけど、優しそうなゴーレムさんだったぞ」


 うん、皆が驚く様が目に浮かぶ。でも、皆いい子だからゴーレムさんが傷つくような事はしないだろう。


「あるじ!早く行きたい!」

「カシアちゃん、どうどう・・・今からそんなテンションじゃ後々バテちゃうぞ」

「「・・・」」


 今にも飛び出しそうなカシアを抑えているアルの図。なぜかマグルが倒れ伏している。なにがあった?ミズキはミズキでソワソワと落ち着きがない。そんなに待たせてしまっただろうか。


「ん?何かあったのか?」

「いや~なんでもないよ?全然気にしないで」

「そうか?ならいいが」


 アルがそう言うのならまぁ、


「じゃあ行くとしますか。アルは途中まで俺と一緒に行動だな。ミズキとカシア、マグルは一緒にエリア探索と。一応言っとくが無理は禁物だぞ?あと、いきなり危険なエリアまでは行かない事。ちゃんと段階を踏んで進んでくから、今日の所はビッグホーンラビットが出るエリアまででよろしく。以上、いってよし!」


 そう言うなりカシアが猛ダッシュで飛び出して行った。それに合わせる形でミズキも飛び出して行く。マグルは完全に出遅れているが、2人を見失わないように付いていく。何か、マグルの後ろ姿に哀愁を感じたが大丈夫だろうか。


「なぁ、アル。マグルが・・・」

「察してってのは無理か。あの僅かな間に色々とあってねぇ・・・こっちに来て直に、私達の前をすんごいスピードで走り抜けていった物体が居てね?カシアが反射的にそれを追おうとしたのをマグルが止めるまでは良かったんだけど、ミズキまでそれを追おうとしたもんだから、カシアを手早く私に預けてマグルがミズキを止めたんだけど・・・まぁその、マグルが挟まっちゃってね。いや、あれは埋まったというべきかな。何処にとは言わないけど。で、危うく窒息しかけた所をミズキ本人が引っこ抜いたと言うか引っぺがしたと言うか。その結果、穴があったら入りたいって状態だったろうにマグルは地に倒れ伏す形で耐えていたと。結局はその状態のマグルを、ミズキは頭をナデナデしながら『ごめんね?』って言って無自覚に止めを刺してました」


 あ~・・・マグルはカシアと比べると大分小柄だからなぁ。ミズキのあのボリュームだと確かに挟まるというか埋まりかねん。今度マグルを労ってあげよう。





 あれから俺はアルと一緒に採掘ポイントを目指しながら遺跡内を調査した。まず遺跡内とは思えない程、自然が豊かだ。辺り一面の草原に奥には森らしきものも見える。水源もあった。やろうと思えば、生活する事も出来るかもしれない。本当にここは遺跡内部か?ゲートを潜った瞬間に別の地へと飛ばされたんじゃないかと疑ってしまうレベルだ。

 けど、天を仰ぐとそこには太陽じゃない光源が降り注いでいる。原理はわからん。けど、太陽の光に似た何かがこの遺跡内に降り注いでいるのは確かだ。

 それと所々ではあるが、壁のような物が一部剥き出しになっている箇所が散見出来る。天井らしきものも見える。これが無ければ建造物の内部だとは感じなかったかもしれない。

 調べる事は山積みだが、何、急ぐ事はない・・・じっくりと満足するまで通えばいいだけの話だ。


「キョウって、こういう見慣れない所や物を見つける度に生き生きするよね」


 アルが唐突にそんな事を聞いてくる。俺は、


「アルは自分が知らない場所に行ったり、見知らぬ植物や鉱物、こういう遺跡とかがあったら時めいてこない?いつ作られた遺跡なのかとか・・・これはまぁこの世界の歴史が分かんないから現状どうにもならないけど、いつかは調べたいな!あと、そこら辺に生えてる植物も俺らが住処にしてる遺跡周りには自生していなかった種だし、天井らしき箇所で光ってるあの太陽モドキは何なのかとか、例を挙げたらキリがないかな」


 口早に俺がそうのたまう。アルはそんな俺をよくわからんという感じで見ながら、


「ん~・・・ときめきはしないかな。あ、でも自分で料理とかしてると高揚はしてくるかも」

「それはつまり、料理する事が好きって事。俺も未知の場所に行ったり知らない物を見つけたりするのが好きって事さ。可能であればそこから更に追及していく。食べれる植物なのかとか加工できる鉱物なのかとかね」

「なるほど~・・・私って料理が好きだったのか」


 まるで今、気づきましたというような口ぶりだな。


「今まで趣味とか無かったのか?」

「これといって特には。周りからの指示を聞いて、それに従って行動してる事がほとんどだったし、何より大抵の事はこなせていたから興味とか持つ前に次~って感じだったの」

「おおぅ、それは何というか・・・凄いんだが勿体ない」

「まぁそのお陰で戦い方とか森の中で生き抜く術とかが身に付いたから無駄では無かったんだけど、ある日ね・・・唐突に今の生活が物足りなくなってね。それで里を出て森の中をブラブラしながら今後の事を考えてたら・・・」

「あぁなるほど、俺が突っ込んできたと」

「そうそう。あの時はビックリしたわ~」

「俺もビックリしたし焦ったわ。そのあと吹っ飛んで意識が飛びかけたのは今でもよく覚えてる」


 我ながら油断していたと言わざる負えない。周りの警戒を怠ってドラゴン追っかける事に夢中になるとか・・・だからお前は阿保なのだ!と言われても言い返せませんな。と、俺が遠い目をしていたらアルが


「あの時は本当にごめんね」


 そんな申し訳ないという顔で言わなくても。もうだいぶ前に済んだ事だ。


「そんな顔するなって。アレは立派な不可抗力だ。逆の立場だったら俺だってあぁしてた。だから気にしなくていい」

「・・・うん、わかった。ありがと」


 ほんと、変な所で真面目というか何というか。


「話が逸れてしまったがせっかく出来た趣味なんだ、色々やってみるといい。料理の世界は底なしだぞ?なんせ果てが無いからな。あ、でもちゃんと食える物でお願いします」


 こういう事は早めに言っておこう。料理とは一歩間違えば兵器と化すのだから。


「やだな~そりゃあ勿論食べれるように料理するよ。美味しいは正義!例えマズそうな食材でも美味しく出来るようになるのが今の目標かな」


 うんこれはもう料理好きと言ってもいいんじゃないかな。今後のアルシェフに期待しとこう。


「お、話していたら目的の場所に着いたっぽいぞ」


 例の暖炉石や冷蔵石が採れるという洞窟に到着だ。崖がそびえ立っているその下に、結構な大きさの穴が見える。あれだな、今までの道程が道程だったせいかこの洞窟が遺跡の入り口に見えてならないな。

 と、その洞窟の入り口付近になにやら大きくて白くモコモコした物体が鎮座している。俺とアルが一定の距離を保った状態でその物体を観察していたら、その白いのが動いた。どうやら俺らが見ていた所はそいつの後ろ姿だったらしい。

 振り向いたソイツの頭にはドリルの様に捻じれが入った立派な角が在り、どんな音でも聞き逃さないと言いたげな白くそびえ立つ耳がとても特徴的だ。尻尾はボンボリのような丸い形状をしており、何処となく愛くるしさを感じさせる。目はルビーのようなキレイな赤だ。その目が、まだかなりの距離があるというのにこちらを伺う感じで見つめてきている。


「アレってここら一帯のボスって言われてる、ビッグホーンラビットって奴かな?」

「じゃないかなぁ。どう見てもウサギだし」

「だよなぁ・・・そういやここに来るまでの間、モンスターらしいのと一切出会わなかったな」

「アレが近くにいて皆遠くに逃げちゃってたとか?」

「え~?でもあれ、どう見てもウサギだぞ・・・とても強そうには」


 なんて悠長に話しながら近づいていったら、その白くモコモコした物体が口を開く。擬音で表現するのならグパァだろうか。

 ヤツメウナギのような口が開き、ビッシリと生えた牙がギチギチと音を立てながら蠢いている。涎が滴り落ちている箇所から煙が上がり、地面に無数の穴が穿たれる。


「「・・・」」


 俺らが余りにもショッキングな光景に足の動きを止めたその時!耳を塞ぎたくなるような不快な鳴声を撒き散らしながら、こちらへと飛び掛かってきた。


「「ぎゃぁぁぁーーーー!!」」


 咄嗟に俺らは横に飛び、その攻撃をかわす。瞬間、俺らが立っていた場所が轟音とともに吹き飛んだ。

 すぐさま俺達は態勢を立て直し、脱兎の如く来た道を疾走しだす。


「うぁぁぁぁっ!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!」


 俺は走りながらそう喚く。喚きたくもなるさ!愛くるしいウサギかと思ったら擬態したエイリアンだったんだから!遠くでもはっきりと見えてたからデカいだろうと思ってたけど、軽自動車くらいあるぞあのエイリアン!

 すぐさま俺は付いて来ているだろうアルを探す。斜め後ろにアルを発見。その表情は、


「・・・っ!?!?」


 うん、言葉にすらなっていない。涙目で歯を食いしばりながら必死の形相で俺に付いてくる。わかるよわかるよ~その気持ち。アルのそんな表情を見て逆に俺は落ち着きを取り戻せたわ。

 俺は少しスピードを落とし、アルと並びながらどう対処するか相談する。


「アル、あれと戦えそうか?」

「やだやだやだ!気持ち悪すぎ!なにアレ!?」

「よーし、アル。まずは落ち着こう。な?あれはデカい蜘蛛かムカデだと思えばいいんだ。ほら、そうすればいつも我が家に這い寄ってくる虫共と大差ないだろ?」

「簡単に言ってくれるんだから!キョウの立て直しの速さが恨めしい!」

「アルの取り乱しっぷりを見てたら何か落ち着いたわ」

「うわぁぁぁぁん!どういたしまして!?」


 なんて相談をしてたら、向こうさんはすぐさまこちらをロックオンして駆け出す。形態はウサギなだけあって、跳躍するような形でこちらとの距離を詰めてくる。


「アル!来るぞ!とりあえず、避けながら気持ちを落ち着けるんだ!」

「い~~~やぁぁぁぁぁぁっ!」


 こうしてビッグホーンラビットという名のエイリアンとの追いかけっこが始まったのだった。


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