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第13話:友人が出来ました。

最近日が変わる前に投稿できた気がしない。

リアルでの生活環境が慌ただしい状況ですが、

更新は続けます。そして遅れてゴメンなさい。

 あぁ、これが飛ぶという感覚なのか・・・なんて思ったのも束の間。肩から着地し1回、2回、3回転・・・しそうな所で木にぶつかり緊急停止。

 うぉぉ・・・咄嗟に気を纏って軽減したものの、息が詰まる。背中を強打した時に起こるあの息が出来ない状態に陥って思わず(うずくま)ってしまう。

 近くで椿とシリカの慌てた声が聞こえて来るがごめん、今はちょっと無理。あと、首が・・・首が痛てぇ。

 肺がやっと仕事を思い出してくれたのか、徐々に呼吸が出来るようになってくる。


「キョウ!聞こえてる!?大丈夫かい!?」

「お父様!気を失ってはダメよ!」

「大丈夫、大丈夫だ。それよりも・・・」


 そう、それよりも俺の視線の先には金髪ショートの碧眼で見た目俺と同い年くらいの女の子が、拳を振り抜いた姿勢のまま荒い息を上げていた。


「ハァハァ・・・!?す、すまない!君、怪我は無いか!?」


 どうやらこっちに気づいたっぽい。慌ててこっちに走り寄ってくるが、


「近づかないで!」

「!?」


 シリカの敵意が籠っている声で、慌てて立ち止まってしまう女の子。

 あ~・・・どうしたらいいんだっていう焦る感情が向こうさんから伝わってくる。

 ここは俺がどうにかしなくてわ。蹲った姿勢から傍の木に背中を預ける態勢になりつつ、


「・・・ッ!・・・こちらは平気です。ちょっと打ち所が悪くて呼吸困難には陥りましたけど」


 俺が声をかけると、目に見えて安心したのが分る。

 女の子はその場にしゃがみ込みこちらに視線を合わせて、


「本当に済まなかった。突然の事で拳を振るってしまった」


 誠実な子なんだろうな、こちらに真摯な態度で接して来る。


「いえ、こちらも周囲への警戒が足りませんでした。そちらこそ手、痛めませんでしたか?」

「あぁ、こちらは何処も問題はない」


 手をヒラヒラとさせて大丈夫だとアピールしてくれる。


「それよりも・・・だな・・・その・・・」

「はい?」

「その2つの腕輪・・・か?こちらに対してもの凄く敵意を放って来ているんだ。そちらにもこの通り・・・謝罪したい。急な出来事だったとは言え暴力を振るってしまった。重ね重ねお詫びする」


 そう言い、再度こちらへと頭を下げてくる女の子。本当に良い子だなぁこの子。


「椿?シリカ?」

「むぅ、ここまで対応されたら僕は許すしかないかなぁ」

「・・・仕方ないわね。謝罪を受け入れます」


 そう言って2人から敵意が薄れていく。

 女の子も安堵したのか、


「ありがとうございます。よかった~」


 ちょっと素の部分が垣間見えた。





「では、改めて。私はアルヴィス・ラティフォリア。正確な場所は言えないが、とある奥深い森から来た。アル或いはリアと呼んでくれ」

「俺は藤堂 桔梗といいます。名が桔梗で性が藤堂。呼びづらければ、キョウと呼んで頂ければ」

「僕は椿。よろしくねぇ」

「私はシリカよ」


 各々、自己紹介を行っていく。先ほども挙げたが、アルさんは金髪ショートで碧眼、そして耳が長い。エルフって奴だろうか?そして何より目を引くのは、額から伸びているユニコーンのような角。パッと見た感じ角の長さは10cm程。

 俺の視線が気になったのか、


「私みたいな森精種(しんせいしゅ )に会うのは初めてなのかな?」


 初めてどころかこちらの住人と出会う事そのものが初めてっす。椿とシリカは例外という事で。

 女性をマジマジと見るのは不躾だったので詫びると同時に、耳慣れない単語が聞こえたので素直に聞いてみるとしよう。


「済みません。初めてだったのでつい・・・森精種というのですか。エルフではなく?」

「構わないさ。エルフ?聞いた事がない種だ」


 ふむ、どうやらこちらではエルフっぽい方々の事を森精種というようだ。種族名かな。


「こちらからもいいかな?見た所、君には角も尻尾もないようだ・・・ふむ、耳の形も結構変わっているな。種族名を聞いてもいいだろうか」


 おおぅ、この世界には人間はおらんと。角?尻尾?あれかな、獣人とかがデフォルトの世界なのかもしれない。


「そうですね、種族名で言うのなら・・・人間種と言います」

「人間種?聞いたことが無い種族だ・・・君以外の者は?」


 言いにくい事を聞いてきたな。どう答えたものか・・・そうだな、


「説明するとなると難しいですね・・・ちょっとした手違いで離れ離れになってしまいまして。現状、合流する手段が無い状態です。因みに、ここをある程度下った所にある遺跡で今は生活しています」


 そう説明すると余程の事だったのか、


「こんな厳しい環境でよく死なずに生きてこれたものだ。森精種の私ならともかく、他の種族の者たちが単独でとなると・・・相当だぞ?」


 え?そんなに?食べ物は豊富で水も大量で綺麗、安心安全の遺跡という住宅もあってその上温泉完備という、サバイバル生活とは最早言えないかもしれないステキ環境なのですが。

 そこん所を説明すると、


「確かに生活する上ではまったく問題はないな。むしろ、遺跡の中に温泉だと・・・なにそれ凄くうらやましい・・・んん!済まない。問題なのはそこではなく、周りにいるであろう野生の獣達だな」


 ふむ、なんかメッチャ危ない奴がいるっぽいな。あぁ、いや・・・確かにいるわドラゴンなんてもんが。


「それってもしかして、さっき向こうに飛んで行ったドラゴンの事ですか?」

「アレと遭遇していたのか。よく無事に済んだな」


 すげぇ驚いている。いや、無事というかなんというか、


「そもそもあのドラゴンに相手されてない感じでしたね。こう、目が合った時にフッって感じで笑われたんで」

「・・・どういう事だ?あのドラゴンは外部から侵入してくる者には一切容赦しない存在だったのだが」

「いつでも殺れるって思われているのかもしれません」

「うーむ、ともかくアレには近づかない方がいい。接近を感じたら迷わず身を潜めるんだ。敵とみなされたら命が幾つあっても足りなくなる」

「ほら、僕の忠告通りだったね?」

「お父様に危害が及ばなくて何よりよ」

「うーん、近くで見る分には行けると思うんだがなぁ」

「・・・君はわざわざアレに近づこうとしていたのか、なんて命知らずな・・・お父様?」


 あ、そこに反応しちゃいます?


「あぁ、シリカとは色々とありまして・・・血の繋がりとかそういうのは無いのですが、親子みたいな関係です。腕輪ですけど」

「見た目なんて関係ないわ。私とお父様の絆は血の繋がりよりも強固よ!」

「装備されているだけにかい?僕はキョウから見れば保護者みたいな感じかな」

「な、なるほど。世の中の広さを感じますね」


 この子も結構柔軟な思考ができるっぽいな。腕輪だぞ、腕輪が喋ってるんだぞ?それともこっちの世界ではよくある事なのか?


「因みに、椿とシリカ以外で装飾品が喋る何て事は?」

「少なくとも、お二人以外で私は見た事がないな」


 ですよねー。やはり常識に柔軟な子なのだろう、接しやすくて助かります。

 それにしても俺、普通にこの子と喋っているよな?通常、こういう時お互いの言語が噛み合わなくて四苦八苦する場面なんだが。

 ・・・まさかとは思うが、自分の手の影響が知らず知らずのうちに俺にも出てるなんて事はないだろうな?

 嫌だぞ?気づいたら人間辞めてましたとか。ご都合展開過ぎるが、会話が成立するのは素直に喜ぶべきか。


「ん、どうかしたか?急に黙り込んでしまって」

「あ、ちょっと気になった事があったのですが問題ない事なので大丈夫です」

「そうか。実は私も気になっていた事があるんだが・・・君は今幾つなのだ?」

「幾つ?年齢の事ですか?」

「そうだ。パッと見た限りでは相当若く見えるのだが」

「15ですよ」

「15・・・私と同い年だったのか。見た目ではやはり判断はできんという事か」


 む、今の反応に違和感を感じるな。15という響きに対して随分と年寄り臭さを感じたというか。もしかしてこの世界で15という年齢は、相当高齢な部類に入るのか?


「何歳に見えました?」

「そうだな、失礼かもしれないが1歳とちょっと・・・という所か」


 うおー、この世界の生物全般の成長スピードはどうなっているのか!?驚き過ぎて開いた口が塞がりませんがな!


「そ、それって生まれてからって事ですよね?」

「あぁ、不快に感じたのなら謝るが」

「いえ、そんな事は!因みにこちらでの1年の認識は365日なんですが、アルさんの種族ではどうなんでしょうか?」

「ハハハ、こちらでも1年は365日だよ。種族毎に月日の数え方が違うという事は恐らく無いはずだ」

「そうですか、ありがとうございます」

「なに、大したことじゃないさ。それより、お互いちょっと他人行儀すぎるな。どうやら同い年のようだし・・・私の事は、さん付けじゃなく呼び捨てで呼んでもらえると嬉しいかな?」


 あ、何そのちょっと恥ずかしいような嬉しそうな仕草、すっごく可愛いんですけど。


「じゃあアル、俺の事もキョウと呼び捨てで呼んでもらえるかな?ちょっと時間はかかるかも知れないけど、少しずつ砕けた感じで話が出来るようにしていくよ」

「助かるよキョウ。本当はこういう、堅苦しい喋り方は苦手でね・・・ふぅ、よし!これからよろしくね」


 おぉ、一気に距離が近くなった。誠実でどこか騎士然とした感じから、快活で明るい人懐っこそうな感じへ早変わりだ。


「・・・こちらこそよろしく、アル」

「なーに?照れちゃってる?可愛い所あるんだね~キョウ?」

「一気に距離縮めすぎじゃないですかね!?」


 こちらで出来た初めての友人は、そんな裏表のない、傍にいると何処か安心できるような子だった。

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