第11話:念願の 調理器具を 手に入れたぞ!
投下~。もうちょっと長い方がいいのかな・・・
いやいやこれ以上長くすると時間が・・・
・・・頑張ります。
「早速で悪いんだが、シリカの特長を教えてくれないか」
「私の特長・・・?」
「あぁ、端的に言うと何が出来るのか。そして、何が出来ないのか」
「そうね、まず私そのものはマナの結晶体よ。特性として、他の鉱物と混ざる事で長所を伸ばしたり短所を補う事が出来るわ」
「それは合金という意味合いでいいのかな?」
「そうね。例えば、鉄と混ざる事で鉄そのものの硬度を上げたり錆びにくくしたりできるわ」
「ほうほう・・・それってスゲーな、夢が膨らむ・・・むふふ」
「まだあるわよ。私自身もそうだけど、他の鉱物と混ざってもイメージさえはっきりしていればある程度形を変える事が出来るわ」
「え?それって、ター〇ネー〇に出てきた液体金属の如く自由に形が変えれるって事か!?」
「自由とまではいかないけれど、有機的な物でない限り、ある程度は変われるわ」
「うおぉぉぉっ!ある程度でも構わない!鍋が包丁がフライパンが!手に入る!!ゾッ!!!!」
「椿さん、お父様が壊れたわ」
「大丈夫。いたって平常通りだよ」
何とでも言うがいいさ!調理器具が手に入るのは大きい。
これで煮たり、炒めたり、揚げたり出来る!ありがとう、娘よ本当にありがとう!
俺は勢いでシリカに抱き付く。うん、ヒヤッとしててスベスベしてて気持ちがいいな。
「きゃぁぁぁぁぁっ!?ちょ、離れなさい!いくら私がキレイだからってやっていい事と悪い事が・・・ってコラっ!手頃なサイズの私をしまうな!本人の許可なく持ち出すのは厳禁よ!」
「え~・・・ちょっとだけだから、ね?」
「ダメなものはダメ!いいからそこに置きなさい!」
「ケチー」
「そういう問題じゃないわよ!まったく、お父様は変なところでデリカシーというものが無いんだから」
むぅ、テンションが上がり過ぎてしまった。いかんいかん、自重しなくてわ。
「お父様、ごめんなさいは?」
「すっごく、ごめんなさい。嬉しすぎて自制が利きませんでした」
「よろしい・・・もう話が進まないわね。とにかく、イメージ次第で鍋や包丁やフライパンに形を変える事は可能よ。だけど、複雑な形はダメ。あと、私自ら動く事は出来ないわ」
「そうか・・・流石に動く事は出来ないか。因みにシリカ自体の硬さはどんなもん?」
「ダイヤモンドよりも硬いわよ」
「すっげー・・・あ、もしかして衝撃に弱かったりとかする?ハンマーとかで叩いたら粉々になったりする?」
「たとえ隕石が直撃しようとも砕けたりする事はないわね。あ、でもキズくらいはつくかも」
「ハハハハ、それってつまりこちらからの加工は受け付けませんって事だよな?」
「そうね、外部から私をどうこうしようとするのは無理よ。あと私は熱も冷気も通さないわ」
「なんという究極鉱物娘シリカさんなんでしょう。アルティメット過ぎてこっちの精錬技術とか加工技術諸々がお手上げなんですけど!元の世界の知り合いに鍛冶師とかいるけど、泣いて喜ぶと同時に絶望で膝を抱えちゃうわ!」
「お父様のお願いならそれなりに聞いてあげるけど、他からの干渉は真っ平ごめんよ」
「うん、凄く嬉しいよ。嬉しいんだけど、なんか複雑なんだ・・・涙出てきそう。職人の皆さんゴメンなさい」
「?まぁいいわ。私自身の説明としては以上ね」
「ありがとう、シリカ次第だけど、こっちが抱えてる悩みの大半はこれで解消できそうだよ」
さてさて、次なる問題はというとだ。
「で、だ。シリカをここから運ぶにはどうしたらいいですかね?」
「無理じゃない?」
「無理じゃないかな?」
おぅ、そうなのだ。シリカそのもののサイズがとてもじゃないが運べる大きさじゃないのだ。例え持ち上げる事ができたとしても、出入り口が狭すぎて通る事ができん。というわけで、
「やっぱ、このどうやって欠けたのか知らんけど、手乗りサイズのシリカをお持ち帰りするしかない!」
「だーかーらー、ダメと言っているでしょう!・・・もう仕方ないわね。お父様、その小さな私をこちらへと投げてくれる?」
「うん?ほれ」
俺は手乗りサイズのシリカを巨大で持ち運び不可なシリカへと優しく放り投げてやる。すると、水溜まりに雨粒が落ちた時のような波紋を広げながら手乗りサイズのシリカがすぅっと巨大シリカへと吸い込まれた。
「あぁ!?唯一お持ち帰りできたシリカが・・・」
「そんな泣きそうな顔しないの。お父様、次はそこにある自然銅の塊を放ってくれる?」
要望通り、そこそこの大きさの自然銅をシリカに向かって放る。こちらもシリカの中へと吸い込まれた。なんというミステリー。
「最後にお父様、私に触れて鍋やフライパンをイメージしてくれる?どうも私のイメージだけだと上手くいかないのよね」
「お、おう」
シリカに触れて鍋やフライパンをイメージっと・・・すると俺の手がシリカの中に沈み込み何かを掴んだ感触が。
「そのままゆっくり引き出してくれる?」
「ゆっくり・・・ゆっくり」
引き出した俺の手には、なんと俺がイメージした鍋ががが。
「お?おぉぉぉ・・・鍋だ・・・鍋だぁぁぁぁっ」
俺、超歓喜!です。
「ほらほらお父様、次はフライパンでしょ?」
「おうよ!」
俺、超笑顔。さっきと同じ要領でシリカに触れ、フライパンをイメージしシリカへと手が沈み込んでいく。そして手を握り込みゆっくりと引き出していく。
「シリカ特製フライパンを手に入れた!」
俺は思わずフライパンを天へと掲げてしまった。何やら効果音が聞こえてきそうである。
「喜んでくれたようで私も嬉しいわ」
「シリカ、ありがとう!メッチャ大事にするよ!」
「ふふ、まるで子供みたいよ?お父様」
「キョウは時々、ビックリするくらい無邪気になるよねぇ」
嬉しいものは嬉しい。何も恥ずかしい事じゃない。こういう時は素直な気持ちを相手に伝えるべきだ。
「その2つは私との合金で出来ているけど、銅の性質を強く残しているから熱は良く伝わるはずよ。持つ所は逆に熱は伝わらない方がいいだろうから私100%で。私を含んでいる事から早々キズはつかないでしょうし、酸化もしないはずよ」
「パーフェクトだよシリカ!俺は本当に良い娘を持った・・・向こうに居る親父と母さんに自慢したい位だ」
「いつか紹介してくれると嬉しいわ」
「あぁ、勿論だとも!」
「さぁ、あとは包丁だけね?次はあそこにある鉄鉱石を取ってきてくれる?」
「了解であります!」
おんなじ要領で包丁も創ってもらっちゃったぜ!あ、刃が剥き出しだと切れ味が凄まじくて危なすぎるから、鞘的な物を創ってそこに包丁を収納させてもらった。で、だ。
「脱線しちまったけど、シリカをどう運ぼうか」
「私は・・・このままで良いわよ?どっちみち出れそうにもないし」
「いや、なにがなんでも連れ出すぞ。シリカに外の世界を見せてあげたい」
「お父様・・・」
「うーん、いい雰囲気な所申し訳ないんだけどさ?今さっき作った鍋やフライパンにシリカの意識を移すって事は出来ないのかい?」
「あっそれ出来るかもしれないわ!」
「グッジョブ、椿!」
早速試しているのか、淡く発光していたシリカの明りが小さくなっていき、替わりに鍋が淡く光りだす。
「よし!出来たわ!」
「おぉ~やったねシリカ!これで一緒に帰れるよ」
「うん!」
とても嬉しそうだ。勿論俺も嬉しいとも!
「でも、私100%じゃないせいかちょっと違和感があるわ」
「なら、純度100%で椿みたいな腕輪を創れないか?それで俺が身に着ければ、椿と一緒で共に行動出来る」
「いいわね、それ。じゃあ早速だけど、また私に触れてくれる?」
「りょーかい」
こうして右手に椿、左手にシリカという両手に花?な状態になり、帰宅の途へと着くのであった。
因みにカシアとマグルは我関せずという感じで、岩陰の所で安眠しておりました。




