表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/42

第7話 商人ギルド




朝、ベッドから起きると、今日の予定を考える。


う~ん、今日は家を見に行くか。

しばらくこの町で暮らすんだし、宿暮らしよりも家を持った方がいいか。


それに、アイテムボックス内の

日本で使っていた家具とか出しておきたいし。


となると、住める家はいくらぐらいかということになる。


そんなことを考えながら、宿の裏にある井戸で顔を洗っていると、

朝食の準備ができたと、呼びに来てくれた。



食堂で、席について気になることを質問してみる。


「ネリネさん、この町で家を購入したいんだけど、

どこに行けばいいか分かりますか?」


宿の受付で応対してくれた金髪のお姉さんは、

ネリネさんというこの宿の女将さんだ。

旦那さんが厨房を主に任されているそうで、この宿は家族経営だそうだ。


昨日、夕食のときに少し話をして分かった。


「そうねぇ、家を購入するなら、やっぱり『商人ギルド』ね。

あそこで紹介してくれると思うわよ」


「商人ギルドですね、ありがとうございます。

朝食を済ませたら、行ってみます」


ネリネさんが、朝食を俺の目の前のテーブルに並べると、

「コータさんは、この町に住むことにしたの?」


「ええ、しばらくこの町で暮らして、いろいろ学ぼうかと思いまして」


「へぇ~、同じ町民として歓迎するわね」

いい笑顔で、ネリネさんは笑ってくれた。


「はい、ありがとうございます」



朝食を食べ終えると、受付に部屋の鍵を預けて宿を後にする。

向かうは、商人ギルドだ。


再び、その辺りを歩いている人に商人ギルドの場所を聞くと、

親切に教えてくれた。


「商人ギルドなら、この通りにある冒険者ギルドの隣にあるよ」


冒険者ギルドの隣とは気づかなかったな……

道を教えてくれた人にお礼を言って、俺は商人ギルドを目指す。


商人ギルドに着くまでに、その辺りをキョロキョロと見ながら歩いていると、

見知った人が、俺の前を歩いていた。

その人は、女の子の姉妹と手を繋いで歩く女性だ。


「あれ、母娘でギルドですか?」


母親の女性が俺の声に気づき振り向いてくれる。


「ああ……えっと、そう言えばお名前、聞いていませんでしたね」


そう、今の今になって俺たちは、

お互い名乗り会っていなかったことに気づいた。


「そういえば、

ここに来るまでの間も、名前で呼ぶこともありませんでしたね…」


名乗り会わずによくここまでこられたものだと、

今さらながらに、みんな自分のことで手いっぱいだったと思い知らされた。


「改めて、西条 彩音と言います。

この子が、長女の葵。 こっちが、次女のさくらです」

西城さんが、娘たちを紹介すると、それに合わせてお辞儀をする娘たち。


「これはご丁寧に、俺は白石 耕太と言います。

それで、西城さんたちは、冒険者ギルドへ?」


「いえ、その隣の商人ギルドへ向かう所です」


「ということは、家を購入されるんですか?」


俺の言葉に、少し驚いた表情を見せた西城さんは、

「白石さんも、商人ギルドで家を?」


「ええ、しばらくこの町で、いろいろと学ぼうと思いまして、

拠点のための家を購入しようかと思いましてね。

西城さんたちは?」


「私は、娘と暮らしていくには、宿での生活はちょっと……

それで、家を買うことを宿の人に相談したら、商業ギルドを紹介されまして」


「そうなんですか」

なるほど、母娘で生活するなら、

宿屋暮らしより自分の家を持つ方がいいわけか。


今後のことを考えると、

日本から持ってきたお金も考えての判断というわけだ。


「なら、一緒に行きましょう。

どうやら、目的の場所も同じのようですし」


「……そうですね、行きましょうか」


こうして、俺と西城さん親子は、商人ギルドへ歩いて行った。




朝の冒険者ギルドは騒がしい。

人の出入りも多いので、

気を付けるように宿の女将さんから注意されていた。


確かに、冒険者ギルドの朝は、騒がしかった。

西城さんの娘さん2人が、冒険者ギルドの前を通るとき、

耳をふさいだ行為は、分かるような気がするほどだ。


勿論、人の出入りも多かったが、気を付ければ問題なかった。


そして、俺たちは隣の商人ギルドの入り口にたどり着く。


「……こっちは、隣に比べて静かですね~」


「そうね、朝の商業ギルドはこんなものなんですかね?」


「とりあえず、中に入りましょう」



商人ギルドの中は、どこか銀行の中のように思えた。

入り口から入って右手には、交渉のための部屋に繋がるドアが並んでいる。

また、朝早いのか、ギルド内に人は少なかった。


俺たちは、ギルド内を少し見渡し、受付の女性に声をかけた。


「あの……」


声をかけた俺に気づくと、受付嬢は、笑顔で応対してくれる。

「商人ギルドへようこそ、ご用は何でしょうか?」


俺は、受付嬢の笑顔に少し安心して目的を話す。

「家を購入したいんですが、紹介してもらえますか?」


「わかりました。 えっと、ご家族で住まれるのですか?」

受付嬢は、俺の後ろにいた西城さんたちを見て聞いてくる。


「あ、いえ、彼女たちとは、別でお願いします」

そういうと、俺と西城さんを交互に見て、何かを悟った。


「あ~、そう言うことなら、別々の家をご紹介しますね」


「あの、何かすごい誤解をされたような気がするんですが……」

西城さんが、俺の後ろから受付嬢に言うと、


「え? 離婚して別居じゃないんですか?」


「「違います!」」


ギルド内に、俺と西城さんの声が響いた。








読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ