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日本人が全員異世界へ転移させられました  作者: 光晴さん


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第30話 操るもの

今回はオーク討伐に参加した冒険者視点からです。




森から開けた場所に出てくると、そこは何かの集落の跡だった。

その集落の跡に入っていくと、住んでいた者たちの痕跡が残っている。


「……大きさからみて、ここはゴブリンが住んでいたのか?」


粗末な家は、屋根だけがある馬小屋のようだ。

地面には藁がひいてあり、そこで生活していたのだろう。


周りを見てみれば、そんな場所がいくつもあり、

相当数のゴブリンがいたようだ。


「ここのゴブリンたちは、どこへ行ったんだろうな……」


オークの集落を討伐する依頼を受けて、仲間や他の冒険者たち、

さらに今回は、ミレニードの町に来ていた、

貴族のローガル・ブレモンド子爵のご子息、


ハインツ・ブレモンド様も20名の私兵を率いて参加されることとなった。


ローガル子爵の狙いは、16歳の息子に箔をつけるための参加だろう。

というのが、冒険者ギルド内の、この依頼に参加した連中の噂だった。


そんな人たちまで参加したオークの集落討伐は、

簡単に集落の討伐は終わった。


「戦いは数だよと、誰かが言っていたがまさにその通りになったな……」


オークの集落に、襲いかかる依頼参加者たち、

敵であるオークは、集落の規模に似合わず10体しかいなかった。

集落の大きさから言えば、400体は超えているはずだったのに。


そのため、俺たちは二手に分かれ、

オークの集落にとどまり、

オークが帰ってきたところを討伐する者たちと、

俺たちのように、オークを探しに行く者たちになった。



こうして俺たちのパーティーは、オークの集落から北に行ったところに、

ゴブリンの集落らしきものを発見し今に至る。


「おーい、リーダー」


冒険者仲間の1人で斥候をしているログが呼んでいる。

俺は奴のもとに駆け寄ると、あるものを見せてくれた。


「ログ、こんな集落の端に何か見つけたのか?」


「ああ、このたき火の跡を見てくれ。

この……燃え残ったもの、リーダーは知っているだろう?」


ログの足元にあるたき火の跡を、少し崩すとあるものが出てきた。


「これは………『ゴブルー』の木の実か?」


「ああ、栽培が禁止されている『ゴブルー』の木の実だ。

これを燃やして、この集落のゴブリンは操られたんだろうな……」



ゴブルーの木の実。

それは国内はもちろん、いろんな国で栽培が禁止されている魅了の木の実。

この木の実を燃やし、その煙を吸ったものは魅了状態になる。


この木の実を利用して、惚れ薬を作った錬金術師がいたが、

すぐに捕縛され処刑されたそうだ。

その錬金術師は、作った惚れ薬を自分の国の王女様に使い、

国を乗っ取ろうとしたとか。


本当のところは分からないが、効果はあったようで、

王女様は、錬金術師に一目ぼれして駆け落ちしそうになったとか。


王女様の異変に側仕えの侍女が気付き、駆け落ち前に阻止できたとか。

だけど、その王女様はその後も、権力を手にしようとする男たちや、

王女様自身を手に入れようとする男たちから惚れ薬を使われ、

最後には精神を病んで自害したそうだ。


それ以来惚れ薬を禁止し、持っているだけで処刑という重い罰が作られた。


また、惚れ薬の材料であるゴブルーの木も国内から一掃され、

残るは天然のもののみとなっていた。


されでも惚れ薬は国内に何個か存在していて、それをどうにかするために、

対抗できる魔法が開発されたとか。


魔法が開発されてからは、惚れ薬の使用もなりをひそめ、

人々の記憶からだんだんと無くなっていたが、ベテラン冒険者の間には、

知識として受け継がれていたようだ。



「ここにいたゴブリン達を操って、どこかに連れて行ったのか?」


「おそらくな……」


俺はこの場所からどこに連れて行ったのか考えていると、

今度は集落の周りを調べに行っていたホーライが、

慌てて俺のところに飛び込んできた。


「リ、リ、リーダー、見つけた! 北に見つけた!」


「落ち着けホーライ、この集落から北に何を見つけたんだ?」


「ど、洞窟だ、デカい洞窟を見つけたんだ!」


「……ダンジョンか?!」


ホーライは慌てたように、

顔を横に何度も降り違うことをアピールする。


「じゃあ、何の洞窟を見つけたんだ?」


「魔物が住んでいたらしい、洞窟を見つけたんだ」


「住んでいた? 今は住んでいないってことか?」


ホーライは肯定するように、顔を縦に振る。

俺はログに向き合うと、


「洞窟に住む魔物といえば、コボルトか?」


「それか狼……この森ならフォレストウルフかブルウフルだな」


洞窟に住んでいた魔物について話し、どうなんだ?とホーライを見ると、

ホーライは空を見ながら考える。


「……あの洞窟は、多分コボルトだと思う」


「その理由は?」


「だって、犬臭かったし!」


犬臭かったって、確かにコボルトの顔は犬みたいな顔しているけれど……


「あ、あと洞窟入り口でたき火の跡を見つけたよ」


「た、たき火の跡?」


「ああ、ログの足元にあるのと同じやつを」


……と言うことは、コボルトも操られたってことになる。

ゴブリンとコボルトを操って、どこに連れて行ったんだ?


それに、そんな魔物を使って何をするつもりなんだ?


そんな考えに及び、俺は何か恐ろしいことが、

起きようとしているのかもしれないと思うと怖くなり、


「とりあえず、南でオークを捜索している仲間と合流する」


そう言って、3人で南を目指して行った。









読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。


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