表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本人が全員異世界へ転移させられました  作者: 光晴さん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/42

第29話 村にいる日本人



日本にいた頃、テレビで有名な若手俳優が今、俺たちの目の前にいる。

それは男の俺でも、ドキドキさせられる展開だった。

若手俳優の山崎賢二さんは、オリビア先生とアビゲイルさんに、


握手をして挨拶した後、西条さん親子、俺の順で挨拶してくれた。


今回の戦闘に参加してくれたことを、すごく感謝してくれて、

一番目立つ戦いをしていたオリビア先生や、

アビゲイルさんの戦いぶりを周りの人から聞いたらしくて、


2人の戦いぶりを褒めていた。


ただ、後から来た村の人にゴブリンやコボルトの焼却をお願いされ、

オリビア先生とアビゲイルさんが離れると、

少し態度が変わって話始める。


「それにしても、きれいな方たちですね?」


山崎さんは、俺に聞いてきた。


「えっと、さっきのお二方ですか?」


「ええ、あのような美女たちは、この村にはいませんからね。

どうです?」


「………どうとは?」


「鈍いな~、彼女たちっておじさんの『コレ』でしょ?」


……マジか、山崎賢二。

小指立てて、君の女でしょアピール、久々に見たぞ?!

俳優って、女好きが多いのかな?


「えっと、彼女たちとはそんな関係じゃないけど……」


「ホント? それじゃあ俺が落としてもいいんだよね?」


「ま、まあ、それができるなら……」


「よしっ、言質とったからね?

後から、邪魔するのもなしね~」


か、軽い、軽すぎるぞ?

おかしいな……ドラマの役を演じている時やインタビューの時とは、

性格が正反対だ。


「………」


隣にいる西条さんを見ると、ものすごく幻滅したような表情だった。

ま、まあ、しょうがないよな、これが芸能人なのかもしれないし……



その後、いろいろとオリビア先生やアビゲイルさんのことを、

しつこく質問していたところに、同じ日本人らしき人が声をかけてくれた。


「賢二君、下で村長さんが呼んでるよ~」


「あ、圭吾さん、ありがとうございます!

それじゃあ、お二人さん、また今度ね~」


そう軽く挨拶して、外壁の階段を降りて行った。

山崎さんと入れ替わるように、山崎さんを呼びに来た人が俺たちに近づく。


「すまんが、君たちって日本人であっているか?」


歳はおそらく50代後半、渋めの男性で、体は鍛えてあるようで、

傍から見ても若々しく見える。

ただ、どこかで見たことある顔なんだよな……


「は、はい、俺は白石といいます。

こちらは西条さん親子で、母親の彩音さんと葵とさくらです」


西条さん親子は、俺が紹介すると頭を下げて挨拶をし、

男性に質問していた。


「あの、川島圭吾さんですよね?」


「え、川島圭吾って、あの名脇役で有名な?

………どうりでどこかで見たことあるわけだ……」


俺がジロジロと川島さんを見ていると、

川島さんは、不快な顔をせずに『ふっ』とニヒルに笑ってくれた。


「俺のことを知ってくれてる人に出会えるとは、有難いことだ」


「か、かっこいい……」


西条さんは、川島さんのファンなのかな?

……握手してもらってるし。



「あ、そうだ川島さん、他にこの村に日本人はいるんですか?」


「この村にいるのは、私とさっきの賢二君、

後、女子高生が3人いたんだが賢二君にしつこく言い寄られたみたいで、

次の日には3人とも、この村を出て南の町へ行ったようだ。


後は、赤ん坊が1人か」


山崎さん、手当たり次第だな!

日本だったら、犯罪だぞ?


「それにしても、赤ちゃんですか……」


「川島さんも、白い空間で天使に会いましたよね?」


「ああ、最初は夢かと思ったが、こうして異世界に飛ばされて、

初めて現実だと実感したよ。

白い空間で天使だと名乗る女性が現れてね、いろいろと相談に乗ってくれたね」


「その時、赤ん坊は一緒の空間にいましたか?」


「いや、あの白い空間には、さっき言った私、ケンジ君、女子高生3人、

それと、飯島さんという5人のご家族がいたな。

父親、母親、息子さんと娘さん。


どちらもまだ幼くて、6歳と4歳といっていたな。

後は、おじいさんの5人家族だ。

赤ん坊はいなかったと思うぞ」


どういうことだ?

それでは、その赤ちゃんは別の場所から送られたことになる。

俺は、西条さんと顔を合わせると、二人して顔をしかめた。


「あの、今その赤ちゃんはどこに?」


西条さんが質問する。

2人の子供の母親としては、そこが一番気になるところなのだろう。


「残った私と賢二君では、世話が出来なくてね。

女子高生の3人がいた頃は、彼女たちが交代で世話をしてくれたんだが、

今は、隣に住む夫妻のもとに預かってもらっているよ」


「では、元気なんですね?」


「ああ、よく笑うし、賢二君が近づくとよく泣く子だよ」


そういうと、わはははと大きな声で笑っていた。

なるほど、その赤ちゃんは女の子というわけですか?


「そういえば、この村に来た時、子供たちを見かけなかったんですが、

どこかに避難しているんですか?」


俺が気になっていたことを聞いてみる。


「ああ、村の子供たちは、何人かの女性たちと一緒に、

村長の家に避難しているはずだ。

この村で一番安全な場所は、村長の家だからな」


俺と西条さんはホッと、胸をなでおろした。

ずっと気になっていたからな……



少し川島さんとこっちに来てからのことを話して別れる。

やっぱり、この城壁を作った土魔法使いは川島さんだった。


この村に住むようになって、村の家とか井戸とかを、

川島さんの土魔法や趣味の日曜大工で、いろいろと直しているうちに、

城壁の話を村長から持ち込まれたらしい。


村のためならと、城壁を作ったはいいが今回の防衛戦になって、

少し責任を感じていたそうだ。


だが、俺とオリビア先生が話し合った内容を教えると、

少しホッとしたようで、すぐに城壁の修復に行ってしまった。



俺は城壁の上から、森を見ながら危惧する。

……次は、オーク討伐の影響が出るか? と。








読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ