第3話 スキルをもらって異世界へ
いろいろと衝撃な事実を知ってしまったが、
気にせずに、これからを考えて生きていこう……
「では、他に質問はありませんか?」
天使は笑顔で俺たちに聞いてきた。
「では、スキルで質問なんだが、
スキルは、向こうの世界行った後でも身につけることはできるのか?」
おじさんの1人が、質問をする。
どうやら、衝撃な事実からまだ動揺している人を助けるためだろう。
今さら、真実を知ったところで異世界行きは変わらないのだ。
ならば、向こうの世界で生きるために今できることをということだろう。
こういう所は、年の功というわけだな……
「はい、後から身につけることもできます。
また、ダンジョンなどの宝物で得ることも可能です。
ただ、ここでしか得られないスキルもありますよ」
「ほう、それはどんなスキルなんだ?」
おじさんたちが食いついてきたな。
「そうですね……例えば、この『不老不死』スキルですね。
向こうの世界では、人の寿命は体内魔力量に比例します。
つまり、魔力量が高ければ高いほど長生きができるわけです。
ですが、それでも永遠というわけではありません。
そこでこの『不老不死』のスキルです。
このスキルをとることで、魔力量に関係なく歳を取らず死ななくなります。
ただし、気を付けなければいけないのは、
向こうの世界には『強奪』スキルがある事です。
このスキルは、他人のスキルを自分のものとすることができます。
勿論、いろいろな制約や条件がありますが、取られない保証はないですね」
……確かに『不老不死』や『強奪』なんてスキルがあるな。
リストを見ただけでも『不老』「不死」とそれぞれでもあるようだし、
魔法系統、技術系等、体力系統などなどたくさんあるな。
「あの天使さん、スキル選びのやり直しはできますか?」
女の子の妹の方が、天使に恐る恐る質問している。
どうやら、リストを見ていくうちに、母娘で相談していくうちに、
取り直したくなったのだろう。
「はい、可能ですよ。
リスト表示している中で、赤くなっているのが選ばれたスキルですが、
その赤くなっているスキルをなぞってください。
どうです? 赤い表示が白くなりましたか? これでキャンセルとなりました。
再び、リストからスキルを選びなおしてくださいね。
向こうの世界へ行けば、その時点で決定となります」
「……白くなった、天使さん、ありがとう!」
少し落ち込んでいたけど、持ち直した女の子。
「いえいえ」
女の子の反応に、嬉しそうだな。
「天使さん、質問です」
やはり、手をあげるのか青年。
「どうぞ」
「この『錬金術』と『錬金魔法』の違いを教えてください」
……そんなスキルがあるのか?
同じようなものでも、明確な違いがあるときがあるからな、この2つは……
「その2つは、同じものですよ。
ただ、『錬金術』は応用が効きますし、『錬金魔法』は簡素化できます。
どちらもメリット、デメリットがありますから、
使いやすい、自分に合った方を選ばれるといいと思います」
う~ん、『錬金術』は自分の手で作るから、オリジナルができやすい。
『錬金魔法』は魔力を使う魔法だから、量産がしやすいといったところか。
こう考えると、デメリットも見えてくるな……
「質問、いいですか?」
もう1人のおじさんが、少し手をあげて聞いてる。
「はい、どうぞ?」
「この『召喚術』のスキルなんだけど、何故こんなにも多いのかな?
しかも、召喚術の表示の後ろに『神』とか『食』とか付いているのは?」
俺もスキル表示をスクロールして、『召喚術』の表示を見ると確かに多いな。
『神』『食』『衣』『助』『魔』と別れている。
……でも、表示でなんとなくわかるな。
「え~と、まず『食』は食べ物専用の召喚術ですね。
皆様の知っている地球の料理や材料、香辛料に至るまで召喚することができます。
これには、飲み物も入っていますからこのスキルで食べることに困ることはありません。
次に『衣』ですが、これは服専用の召喚術です。
ただ、この召喚術にはおまけ要素がありまして、身につけるものなら、
防具や盾も召喚できるのです。
このスキルがあれば、どんな服も、どんな防具も召喚できます。
次の『助』は、助けてくれるものを召喚します。
それは、人であったり、精霊であったり、武器であったりと多種多様ですね。
かつての英雄を召喚することも可能ですから、なかなかのものかと。
それから、次の『魔』は魔物召喚ですね。
これは普通の召喚術です。 向こうの世界でも広く一般的なものになります。
魔物を召喚し、契約して、自分の助けとなってもらう。
最後に『神』ですが、これは使える幅がかなり広くなります。
ただ『神様』を召喚するものではありません。
この表示は、『神』以外のもすべてという意味です。
ただ、このスキルは取り扱いに注意が必要ですし、制約も多いのです」
「それはデメリットが多い、ということですか?」
「そうです、まず、他の召喚術では無い召喚数が決まっています。
また、戦闘中の召喚ができません。
だから、事前に召喚しておくことが必要です。
さらに、知っていないと召喚できません。
『食』ならこの食材を使った料理といえばリストが出てそこから選べますが、
『神』では、知識がないと召喚できません。
でも、使い方次第ではこの『神』は便利なものになるでしょうね」
う~ん、何事も一長一短か……
このスキル選びは、向こうの世界でどう生きていくかで決まってくるな。
……俺はどう生きていこうか……
この後俺たちは、悩みに悩んでようやくスキルを選んだ。
で、俺のステータスがこうなる。
名前 白石 耕太
年齢 42歳
職業
レベル 1
生命力 210
魔力 2000
スキル 異世界言語 アイテムボックス 鑑定
召喚術[神] 空間魔法 不老
称号
結局、召喚術『神』はこれからの人生に必要と判断した。
また、『不老』をとったのは体力面を心配してのことだ。
空間魔法は、『空間把握』や『アイテムボックス』に入りきらなかったものを
どうにかしようと思って取った。
他にも取りたかったものもあるが、後は向こうの世界で手に入れよう。
俺以外の人たちも、かなり考えてスキルを選んだようで、
みんな疲れた顔をしているな……
「それでは最後に、皆様が地球で持っていたお金を、
向こうの世界のお金に変えて、アイテムボックスに入れておきますね。
お金の価値は、銅貨1枚が10円と考えてください。
以降、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚となります。
金貨以降もありますが、その辺は向こうで調べてください。
それでは皆様、向こうの世界での幸せを願っております」
天使の女性が、そう言って頭を下げると目の前がだんだんと暗くなっていく。
どうやら、俺の意識がなくなっていくようだ……
「ハッ!!」
俺が目を覚ますと、そこは、木の枝に囲まれていた。
読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。