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日本人が全員異世界へ転移させられました  作者: 光晴さん


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第25話 村の異変





俺の住む町から、森へ行く門とは逆の町の門から出ていくと、

王都へ向かうことのできる街道へ出る。


その街道をたどると、10分ほどで分かれ道が見えてくる。

右へのびている街道が、北の村への道。

左へのびている街道は、ムルナの次の町ミレニードへの道。


今回の依頼は、北のブルラ村からの依頼だから右の道へ進む。



「オリビア先生、この案内板に通りなら、

こっちに進めば、ブルラ村に行けるみたいです」


左右に分かれている分岐点に立っていた案内板を見ると、

それぞれの進む先が、丁寧に案内されている。


しかし、この案内板にオリビア先生が少し心配している。


「それにして、この案内板は危ないわね……」


「オリビア先生、何か心配することが?」


「ん?」


「あ、すみません。

コータさんの先生なのに、馴れ馴れしかったですか?」


オリビア先生は、恐縮している西条さんに対して、


「そんなことありませんよ、

一時とはいえパーティーを組んだ仲間なんですから」


「ありがとうございます」


オリビア先生の、西条さんへの印象は悪くないようだ。


「それで、わたくしの心配でしたわね。

それは、このような案内板は盗賊などに利用されることがあるんです」


「盗賊に?」


「ええ、案内板の示す先に町や村があるなら、

もし、示す先が変わっていたとしたら?

もし、示す先に町や村などなく、盗賊が待ち伏せしていたら?」


「……案内板を信用できなくなりますね……

では、普通はどうやって次の町などへ行くんですか?」


「普通は、辻馬車や乗合馬車などを使います。

それがない場合は、地図を見ながら歩いて向かいますね」


そこに、葵やさくらの相手をしていたアビゲイルさんが参加。


「そのほかにも、自分が持っている馬車や

行商人の馬車に同行なんて手もあるわね」


「さすが、旅慣れてますわね、アビゲイル様」


「様はつけなくていいよ」


「わかりましたわ」


オリビア先生とアビゲイルさんが、お互いを見ながら笑っている。

……何か、怖い。


でも、確か魔術師の最上級になると貴族の爵位が与えられるって聞いたな。

オリビア先生は貴族のお嬢様だけど、爵位があるわけじゃないから、

アビゲイルさんの方が、平民出身だけど爵位があるぶん偉いのか……


貴族の子供って大変だな……

……でも貴族の子供ってだけで偉そうな連中って、本当は、

身分とかは平民とそう変わらないのか?


う~ん、何か考えがややこしくなってきたな……


その時、おでこに強い衝撃が俺を襲う。

すぐに周りを見ると、オリビア先生の不機嫌な顔があった。


「考え事は、お済になりました?

いつまでも、この場所で止まってないで先に進みますわよ」


俺は、オリビア先生に叩かれた自分のおでこをさすりながら、

ブルラ村への道を進んでいく。


……何か、恥ずかしい!

みんな、笑っているし……




葵やさくらにからかわれながら、街道を進んでいくと、

前方にようやく村の入り口が見えてきた。


木で造り上げた立派な門が建っている。

ただの農業が盛んな村には、似つかわしくない立派な門だ。


オリビア先生やアビゲイルさんは、その村に似つかわしくない門に、

少しだけ警戒しているようだが、

俺や西条さんは、どこか呆れていた。


「……西条さん、あれって『浅草にある雷門』ですよね?」


「……ええ、大きな提灯がないですけど、テレビとかでよく見かけましたね」


「お姉ちゃん、おおきい~」


「すごく大きいね~」


葵とさくらも、大きな門を見てはしゃいでいる。

……どうやら、この村に日本人がいるのは確かだな。


俺たちは、大きな門をくぐりブルラ村に入っていく。




……トンネルを抜けるとってあるけど、村はいたって普通だ。

どこか期待してしまったが、村の入り口の門がおかしいだけだった。


オリビア先生は、さっそく村長の家を探すために、

村の中を歩いている人を見つけて聞きに行っている。


俺は、その場で村を眺めていると人があまりいないことに気づいた。


「西条さん、この村って人口が少ないんですかね?」


西条さんも、葵やさくらと手を繋いで周りを見る。


「確かに、人がいないみたいだけど、

この時間は、みんな畑に行っているんじゃないですか?」


「う~ん、それにしては子供たちがいないような……」


そこへアビゲイルさんが参加してくる。


「確か、この村は今年の税を払うことができなかったんだっけ?」


「ええ、そのために何人か子供が奴隷商に……」


西条さんもアビゲイルさんも、少し落ち込んだようだ。



そこへ、オリビア先生が帰ってきた。


「聞いて来たわよ。

村長の家は、ここからさらに奥の方へまっすぐ行ったところにあるそうよ」


さっそく俺たちは、全員で村長の家を目指して歩きだす。



歩きながら村を眺めているが、人がほとんどいない。

いくら畑に行っているとはいえ、こんなに人っていないものなのだろうか?


「この村、人が少なすぎるわね……」


「そうですね、畑に行っているとしてもこれは少なすぎですよね……」


村を怪しみながら進むと、一軒の商店らしき建物を見つける。

しかし、その店は入り口のドアが壊され、店の中は荒らされていた。


「……これは、警戒した方がいいかもしれないわね」


俺たちは警戒しながら、村長の家を目指した。








読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。


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