第13話 魔力操作スキル
西条さんが、もしかしたら魔術師ギルドの場所が分からないのではと、
追いかけていくと、案の定、大通りの所でオロオロしていた。
そこで、俺が声をかけて魔術師ギルドへ案内し手続きを済ませ、
その後は、ギルド内の店に連れて行き、
ルーシーさんに相談すると、俺が買った本を薦められ購入。
魔術師ギルドを出て、夕方の町中をわが家に向けて帰っていった。
西条さんの家の前では、何度もお礼を言われ、ようやく自分の家に帰れた。
「今日は、なかなか濃い一日だったな……」
リビングから外の景色を眺めながら、ソファに座ってボーとする。
この時間こそ、1人暮らしの贅沢というのもだろう。
5分ほどソファに座っていたが、自分のお腹が鳴ると、
テーブルに移動して、今日の夕食を召喚する。
「朝は宿の朝食、昼はサンドイッチだったから、
夜はガッツリ食べたいな……」
そこで俺は、カツ丼定食を召喚。
カツ丼、みそ汁、漬物にお茶のセットだ。
「この定食を見ると、あの店を思い出すな~」
平日の昼食の時、よく利用したあの定食屋。
あの店の店員さんたちは、今、どこで何をしているのかな~
同じ日本人だったと思うから、この世界に来ていることは確かだろう。
もしかしたら、どこかの町で、定食屋をしているのかもな……
カツ丼のカツを食べながら、俺は日本にいた頃を思い出していた。
「……ごちそうさま」
食べ終わり、すぐに食器を送還すると、俺はソファに座って、
購入してきた本を取り出す。
「えっと、本屋で買ってきた本は後回しにして、
今は、魔術師ギルドのお店で買ってきた本を読むか……」
ルーシーさんが薦めてきた本を開くと、最初から読み始める。
まず書いてあったのは、魔法や魔術の素晴らしさや楽しさ、
そして、恐ろしさや注意があった。
次は、自分の属性を調べるように書かれている。
自分に適性の無い魔法や魔術を使う難しさや、
適性のある魔法や魔術の使いやすさなどが、丁寧に書かれていた。
これを読んでいると、自分の適性がいかに大事かが分かる。
また、『派生魔術』に関しても少しだけ書かれていた。
『火』『水』『土』『風』『光』『闇』そして『無』
この8つの属性が、人の持つ基本属性となる。
『派生魔術』は、この基本属性から派生して使えるようになる魔術のことだ。
例えば『雷』『氷』『炎』『鉄』『聖』『影』などなど。
そして、いよいよ魔法を習う前にやっておくことが書かれていた。
それは、『魔力操作』
この本では、魔法なり魔術を使うには、自分自身の魔力を、
自在に操れなければ、魔法も魔術も発動すら難しいといっている。
「ふむ、確かに魔法なり魔術の発動には、
自分の魔力を使ってきっかけを与え、後は空気中の魔素を使うとあるな……」
つまり、自分の魔力でガツンとたたき、
空気中の魔素を燃料に爆発させる、みたいなものか……
分かりやすくなったかは分からないが、俺は理解できた。
「ならば、この『魔力操作』を覚えるのみだな」
俺は、さっそくその場で本に書いてあるように『魔力操作』をしてみる。
2時間後、ソファの上で、頭を抱えている俺がいた。
「何これ、本の通りにしているのに、全くできない……」
本を何度も読み返してみるが、全くできなかった。
『楽な姿勢で、目を瞑り、体の中にある魔力を感じる』
本にはこのように書かれている。
が、これがまずできない!
2時間ぐらい、自分の体の中に意識を集中しているが、
まったく魔力を感じない。
「魔力はあるはずなんだよな、召喚術とか使えているんだから…
でも、その魔力を感じるとなると、できなくなるんだよな……」
俺は、ああだこうだ考えながらも、時間の許す限り、
自分の魔力を感じることに一生懸命に取り組んだ。
次の日からは、召喚術を使う時、
自分の魔力を意識して使うようにするが、一向に分からず、
今日は一日を使って自分の魔力を感じる訓練をする。
「……こうなったら、いろいろ召喚してみるか。
どこかで、分かるかもしれない……」
そんな思い付きを実行して、お昼近くになるころ、
何となく、これか?というものが分かってきた。
「ん~、このもわっとしたものが魔力なのか?」
何度となく召喚していき、ようやく確信が持てるよになってきた。
「この感じだな! おそらくこれが俺の魔力なんだろう」
召喚術を使うたびに、体の中から抜けていく感覚、
この感覚を忘れないように、これを操るようにする。
「……お腹のあたりに、魔力って固まっているみたいだな」
お腹のあたりを中心に、ぐるぐると魔力を回してみる。
魔力の感覚をつかむ前とは違って、
たったの10分ほどで、自在に回せるようになった。
「よしよし、思い通りになってきたな……」
『魔力を感じたら、それを全身に巡らせてみましょう』
本に書いてある通りに、全人に魔力を操って巡らせてみる。
すると、全身がポカポカしてきた。
「魔力を全身に巡らせると、暖かくなってきたな…」
そして、人間、暖かくなってくると眠たくなるのは、
仕方ないことだと思います。
実際、俺はいつの間にかソファの上で、寝てしまった。
ほんの10分ほどで起きるものの、なんだか恥ずかしい。
その後、本に書いてある通りに魔力を操作していくと、
俺のスキルに、『魔力操作』が記されてあった。
読んでくれてありがとう、次回もよろしくお願いします。




