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タロットゲーム  作者: 灰庭論
第3巻 女帝編
39/60

SIDE OF THE JUSTICE   正義

 城先生のお葬式はたくさんの家族と友人と子どもたちに見守られて行われました。会場ではピアノ・コンクールに出場した際の映像が流され、深い悲しみと共に多くの人が涙を流していました。

 式への参列の他に、私には別の目的もありました。不謹慎のそしりをまぬがれないことと承知していますが、事故に遭われた当日の話を城先生のご友人から聞き出さなければなりません。

 このように場を弁えずに仕事を持ち込むから警察に対して不信感や嫌悪感を抱く人がいるのかもしれません。しかし故人の死に疑念がある以上は、関係者が集まる機会を黙ってやり過ごすことなどできないのです。

 事故当日に城先生と一緒に日帰り旅行に行った友人はすぐに見つかりました。現在はSNSが発達しているので、友人がいつどこで何をしていたか把握しやすい環境になっているわけですね。

 友人の一人に声を掛けたところ、高校時代の同級生である今井さんが一緒に旅行に行かれた方だと教えてくれました。式が終わってからすぐに声を掛けると、不快感を表すことなく会話に応じてくれました。手短にしてほしいということで、場所は会場のロビーです。

「それではもう一度確認しますが、城先生から誘いを受けたわけですね?」

「はい。前日の二十三時過ぎだったと思います」

 そう言って、今井さんはスマートフォンを取り出して履歴を確認してくれました。

「行かれたのは登別温泉で間違いないですか? 洞爺湖温泉ではなく?」

「はい。間違いありません」

 久能君の話とは食い違っています。

「本当は明日の土曜日に泊まりで行く予定だったんですけど、アンちゃんが『行けなくなった』って言って、それで『あした日帰りで行ってこよう』って誘われたんです。私も彼氏と別れたばかりでヒマだったのでOKしたんです」

「予定していた旅行が行けなくなった理由は聞きましたか?」

「生徒と星を見る約束をしていたそうです」

 久能君ともう一度話してみる必要がありそうです。

「それで夕方には別れてるんですよね?」

「はい。結局お風呂には入らず、ホテルでランチして、場所を変えてずっと喋ってました」

「帰りも城先生が運転したんですね?」

「はい。家まで送ってもらって、それから一人で夜見湖へ行ったんです」

「生徒が亡くなった場所にお花を供えるため?」

「はい。『暗いから一人では危ないよ』って言ったんですけど」

「そうですか。しかし交通事故までは誰も予期できませんからね」

 今井さんとは関係のない事故なので、その責任を感じさせないことも警察官の役目です。

「当日ですが、風邪薬を服用しているところを見ていませんか?」

「いいえ。あっ、でも風邪気味だとは言っていました。それで温泉に入るのをやめたんです」

「ああ、なるほど」

 そこで今井さんから質問がありました。

「あの、事故だったんですよね?」

「はい。事故でした」

「それでまだ調べているんですか?」

「事故調査の報告書を何枚も書かなければならないんです」

「それは大変ですね」

 私が書くわけではありませんが、事実は事実です。

「ありがとうございました。ご協力感謝いたします」

 それから久能君と話をしようと思いましたが、探しても見つかりませんでした。



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