女 4
女 4 ~仕事と家庭と独身と~
「結婚式をやめようと思って。」
急な話にサトコは目を大きくした。
「なんで?どうしたの?いや、別に決めたならそれでいいけど。」
参加もどっちでもいいし、とサトコは思ったが言わないことにした。
「だって、あれこれ提案しているのにだーりんったら、全然聞いて無いんだもん!」
「まぁ、式なんてものは女性のためのものだからね。」
マサコが冷静に言う。
「仕事が忙しいのかもしれないし。」
サトコも頷いた。しかし、タマミは首を振った。
「式をしようって言い出したのは、彼よ?忙しい?私だって仕事してるわよ。それに、一年たったら仕事が減るの?時間に余裕が出るの?ないでしょ?式でだーりんは忙しいからって協力してくれなかったら、一年後の結婚記念日は?子供が出来て出産予定日は?子供の入学式、卒業式、なんでも仕事の忙しさを言い訳にして過ごそうとするでしょ!」
「そうと決まったわけでは……。」
否定しようとしたサトコを無視してあっさりとマサコガ認めた。
「そうなるわよ。休みの日は子供と遊ぶことはせずに寝てるか、趣味のゲーム。子供に何かあったら、先生に言われるのは母親ばっかり。でもま、あ、私が専業主婦で養って貰っている身ですから?それはいいけど、定年になってから一緒に生活しようなんて絶対に嫌だから、いまから趣味と友人は見つけておかないとね。」
サトコがため息をつく。
「ちょっとマサコ、独身の私に夢のない話はしないでよ。タマミだってこれから式だっていうのに。」
「式って、いいチャンスよ?自分が結婚しようとしているのが、こういう人なんだってことがよーくわかるから。家庭メインなのか、仕事メインなのか、協力的なのか、妥協をしてくれるのか、式本番を最高点だと思って、その時の思い出で一生生きていけるかどうかの判断をするのよ!まぁ、向こうも判断しているってことも忘れないようにね。」
サトコはため息をついた。
「結婚……やめようかなぁ。」
「ちょっと!サトコ!」
マサコはちょっと肩をすくめてみせた。
「ま。決めるのは自分よ。そしてそのあとのことも自分が負うのよ。いいことも、悪いことも。式はイベントの一つでしかないのよ。人生は続くの。これでいいのか、ずっと悩みながら年をとっていくもんなのよ。」
冷静なマサコの言葉に、タマミもサトコもため息をついた。