幻惑のソプラノ−singer of death−
雨上がりの森はいつも以上に鬱蒼としている。もうすぐ日が落ちる今の時間は尚更だ。
紺青が押し寄せる空にぽっかりと浮かぶ月は分厚い雲に囲われ、逃げ場を失っている。完全に覆われてしまったら、もう進むことはできない。
水をたっぷりと吸った落葉とぬかるんだ土の上。暗闇の中そこを歩くのは自殺行為にも等しい。滑落する危険もある。
目が慣れれば進めなくもないが、この辺りには賊が潜んでいるという噂もある。もしも遭遇することになれば、金品を奪われその場であっさりと殺されてしまうだろう。運が良ければ陵辱で済み命はとられないかもしれないが、少女は冗談じゃない、と思った。
鉛のように重たくなった両足が悲鳴をあげ、視界が黒みがかってきたところで少女は歩みを止めた。近くの大木の、隆起した根の上に腰を下ろす。ゴツゴツと、決して座り心地が良いとは言えないが、濡れた地面に直接座るよりはずっと良いと思った。
しかし食べるものも、火を起こすものも何もない。厚着だけはしてきたが、少女はほぼ着の身着のまま飛び出てきたのだ。それだけ急いている状況だった。
大勢の追っ手が今も少女を捜しているのだ。
もしも、捕まってしまったら、少女の末路は処刑台の上だ。
そう、少女はこの国で大量殺人を犯したとして、指名手配されている。
線の細い体躯からはそんなことは微塵も想像つかない。勿論、少女がその手で殺めた訳ではない。
正確に言えば〝少女が多くの人を戦地に送った〟のだ。
まだ生きていた頃の彼らの眼を思い出し、少女はぶんぶんと頭を振った。
未来を見つめるたくさんの眼が、少女の中で突然どす黒く淀み、少女を怨み睨んだからだ。
数万に及ぶ怨念がその華奢な身体を蝕んでいく。少女とて楽に死ねるとは思っていないが、まだ生きているにも関わらず死を味わっているようで、息苦しい。
肺に詰められた何かを押し出すようにゆっくりと息を吐く。
そうしてやっと、頭を空にして束の間の休息をとろうとした、その時だった。
遠くから何者かが近付く足音が聴こえてきた。
それも一人ではない。徐々に接近する会話でその主たちの正体が判明した。
「兄貴ィ、その噂ホントなんすかぁ?」
「あぁ、違えねぇよ。昼頃街までちょっくら行ったら何処もかしこもその話題で持ちきりだ。……さっさと〝歌姫〟を取っ捕まえて、懸賞金を貰わんとな」
「いいんすかぁー俺ら山賊がそんな目立っちまってもー」
「バレねえ格好すんに決まってんだろうが!アホウ!」
リーダーと思われる男は部下とおぼしき青年の背中をバシン、と叩いた後にガハハハハ!と豪快な笑い声を森全体で反響させた。
しかし少女にとっては全く笑えない状況だ。
その〝歌姫〟というのはまさしく少女のことだが、まさか懸賞金をかけてまで捜されているとは想定していなかった。
金が絡めば人間は未知なる力をも発揮する。
息を押し殺しているが、これ以上接近されれば見つかるのも時間の問題だ。かといって今、闇雲に動けば姿を認識されてしまう。足音も消せる自信がない。
少女はただ、無事に山賊たちが過ぎるのを待つしかなかった。が、鈍い打撃音が全てを一変させた。
一瞬の静寂が、更に不穏な空気を纏って去っていく。
「あ……あ……あアアアアアニキイイイィィィィ!!!!????」
耳をつんざく叫び声で我に返った少女は大木の陰からそっと顔を半分だけ出す。
そして左目が捉えたのは、山賊を次々と倒していく人陰。山賊たちに比べると逞しさは劣っているが、その分身軽なようだ。急所を的確に狙い、山賊五人をあっという間に再起不能にさせてしまった。
月明かりが映し出した輪郭は、まだ少年そのもので、今の惨状を生み出した張本人だとはまるで思えなかった。
しかし少女は直感的に悟った。
この人物の方が危ない、と。
金品を手馴れた様子で剥ぎ取っていく姿を見て少女は自身の認識が正しい、と頷き即座に腰を上げた。今なら作業に夢中で、気付かれることなくこの場から離れられる、と。
足音をたてないよう、小枝や葉に触れないよう一歩踏み出したその途端。
背筋に寒いモノが走った。そして爪先から冷えていく感触に震えが止まらなくなる。小刻みにカチカチと鳴る歯の音を抑えようと、既に感覚の鈍った右手の人差し指から薬指までを、口に押し込んだ。
が、時遅し。
「……お前もあいつらの仲間か」
「ひッ……!?」
いつの間にか少女の真後ろまで来ていた。
その上とっくに存在を把握されていたとは。
「たっ……助け……」
誰か助けて、と呼ぶ声は上手く言葉にならず、音のない空気となって抜け出ていく。
そして少女を守る者など皆とうに死んでしまった。
せめてみっともなく死に際に泣き叫ばぬようにと両手で鼻と口を覆う。くぐもった呼吸はやはり震えていた。
徐に伸ばされる少年の手。
どのようにして絶命するのか、様々な憶測が脳裏を飛び交う。
しかし少女の手首を掴む手は力強いながらも、壊れ物を扱うかの如く優しかった。
恐る恐る少女がその顔を見上げると、やれやれ、といった様子で少年は言葉をかけた。
「……来いよ」
「え?」
どういうことなのか詳しく訊ねたかったが、さっさと草木を掻き分けて歩いていく少年の歩調に合わせるのに必死でそれどころではなくなってしまった。
その背は何度見ても大柄な男たちを倒してしまうほど強靭とは思えない。不思議な感情を残しつつ、少年に言われるがままについていく。
やがて二人は、一軒の古びた小屋に辿り着いた。
中に入ると木造の柱は腐り、床も湿気を放置したせいか黴が生えている。人気を感じさせない、長らく使われていないようだ。
「此方だ」
少年は部屋の隅にひっそりと佇む朽ちたテーブルの下へ身を屈めて入る。そして床板の隙間に指を差し入れると、力を入れてそれを持ち上げた。
少年に呼ばれて近寄り、中を覗くとまず梯子が目に入った。そこからは延々と続く闇。恐怖を感じた訳ではないが、高さが分からないのは些か不安だ。
しかし今履いているのは膝下まであれど結局はスカート。さすがに下りる順番を逆にしてもらう訳にもいかず、少女は素直に先に降りることにした。
意を決して梯子に足を掛ける。木の枝を紐で括り継ぎ合わせただけの簡素なそれは、少女の体重でも深く沈む。変に重心を傾ければ、ポキリと折れてしまいそうだ。
慎重に一歩一歩下りていったが、地に足が着くのは本当にすぐだった。高さとしてはこの少女一人と半分と言ったところか。誤って落ちても、受身によっては無傷で済むだろう。もっとも少女の身体能力では厳しそうだが。
後から下りてきた少年が暗闇のなかでゴソゴソと鞄から取り出したのは、少女が待ちわびていた点灯手段だった。
少年の手元でカンテラがゆらりと揺れる。
そうして照らされた少年の姿に、少女は息を呑む。今までは朧月の灯りの下でしか見ていなかったので、少年を雰囲気でしか把握していなかった。
橙色の光が映り煌めくように反射する髪。恐らく銀髪であろう、右耳にはかかっているが左耳には僅かに触れる程度の長さでいわゆるアシンメトリーになっている。前髪は目に少しかかる程度の一束が垂れている。
眼の色はカンテラの灯りに紫色が混じっている。日の下で見ればきっと紫水晶のような色をしているのだろう。
所々煤汚れている白いシャツに光沢のある群青のジレベスト、そして同色ではあるがベストよりもやや色褪せたカーゴパンツが少年の生活を代わりに語っている。
山賊から金品を奪う。決して胸を張っていける生き方ではない。
少年の見目ならば金持ちの貴婦人辺りに気に入られそうだ。上手く立ち回れば、身分など関係なしに雇ってもらえそうだ。勿論、これも真っ当な仕事ではないであろうが。
「……俺の顔に何か付いてる?」
その少年の言葉にふと我に返った少女はブンブンと頭を振り全力で否定する。そんなにじっと見つめていたのかと自分のことながら呆れてしまう。
そうこうしているうちに行き着いたのはポッカリと開けた空間だった。
部屋と呼ぶには狭く、もの置き場と呼ぶにもものが少ない、土を掘って作った、まさにただの空間という言葉が相応しい場所だ。
「あの……私は何故このような場所に……?」
先程から訊きたかったことを口にする。
あの場面を見てしまったならばそれなりの対応がある筈だった。少なくとも少女が逆の立場なら、口止めのために気絶させるなり、最悪殺していたであろう。しかしこの少年はそれをしなかった。どんな所以があって少女をこの―――恐らく少年の居城に連れてきたのか不可思議でならない。
そんな強張る少女の眼前を、銀色の線が走っていく。
ほんの一瞬。
分からない、何が起きたのか。
ビュンと空気を切り裂く音に動けなくなる。
「あ……」
喉が絞られた様に悲鳴も出ない。
そして耳のすぐ横を掠めて、ナイフが壁に突き刺さる。顔を隠すように被ってきたフードが派手に破れ、数本の髪が宙に舞う。
自然に体が回避行動をとっていたようだが、それもここまでだった。
「っ!?がっ……う……」
首を絞められ、そのまま地面に押し倒される。その衝撃で視界がぐらつくが、まだ意識はある。
それが余計に辛い。自分が絶命する瞬間をその感覚に刻むことになるのだから。
しかし死の刃が少女を貫くことはなかった。
恐る恐る閉じた瞼を開ける。
そこには目を見開いたまま、まるで信じられない、とでも言うような表情で静止している少年の姿があった。
ふと視野が広がっていることに気付き、少女はフードがとれてしまったことに慌てふためく。
しかし今更取り繕ったところで見られてしまったことを取り消すことはできない。
「……私のことご存知なのですね?」
わざわざ訊くまでもないことかと思ったが、一応確認のために少女は訊ねた。
少年はそんな対応に毒気を抜かれたのか、先刻までと変わらない態度になった。
鉛色のナイフをポケットにしまい、淡々と応えていく。
「当たり前だろ、歌姫さん」
歌姫。
何ら特別でもないその単語が、深々と少女の胸を抉っていく。
「負け戦に向かう兵士たちのために歌を歌い続けた歌手で、今は立派な戦犯。その行方は戦後半年経った今も知れず、莫大な懸賞金が掛けられている」
時々街へ繰り出す度に見る貼り紙を一字一句丁寧に読み上げただけだったが、少女にとってそれは、360度から向けられた銃口に等しかった。
「やはり、私は罪人……」
苦虫を咀嚼するような表情に、少年の心も曇る。
次第に少女の嗚咽が聴こえはじめ、ただその様子を眺めることしかできなかった。
時は一年前に遡る。
まだ敗戦する前で、地図上にこの国の名前が残っていた。しかし圧倒的に劣勢だったため、国はやむ無く兵士として一般人を投入することにした。
少年もその内の一人だった。
当然軍事訓練など受けたこともない少年は全く気乗りがしなかった。そもそも積極的な者などいなかった。
農村にいるときよりは大分まともな食事ではあったが、いつ戦場に駆り出されるかも分からない状況下ではそんなことを考える余裕もなかった。負けることを分かっていながら何故抗い続けるのか、誰も理解できない。
既に統率のとれていない軍事組織に勝利の女神が微笑む訳もない。内部から瓦解するのが目に見えていた。
そうして訪れた出立の日は憎らしいほど晴れ渡っていた。
ジリジリと照りつける日差しは体力を着実に奪っていく。そうでなくとも、士気が下がっているのだから、まさに泣きっ面に蜂だ。
応急前の大通りに整列させられた寄せ集めの兵士は誰もが絶望をその目に湛えていた。
と、その時だった。
二人分ほど空いている列と列の間をゆっくりと歩いていく少女の姿があった。
逃亡中の今は地味で目立たないケープコートを被りその身を隠しているが、あの時の少女はまるで日の光だった。
戦地に赴く前から、死の淵に立たされているような気分だった少年の眼が、釘付けになる。
そしてスゥ、と空気を吸い込み、紡ぎだされる歌声。
美しいだけではない力強さのこもったその声は、その場にいる全員の視線を一瞬にして集めた。下を向いていた者は顔をあげ、ブツブツと文句を言っていた者も口を閉じる。
長いブロンドが風になびき横顔が露になる。
歌姫としての才能だけでなく、儚さを感じさせるほどの白皙、鼻梁の整った顔立ちはこの世の創造主に愛されているとしか思えない。ドレスの袖口から覗く華奢な手首からは、誰もこれほどの声量など想像つかなかっただろう。
ふと、少年は自分の頬に指を這わせた。
そして気づく。
いつのまにか、泣いていたことに。
少女が歌った唄は戦う兵士に送るものだ。しかしそれは戦場で散っていくことを是としている歌詞ではない。
〝生きて〟。
勝つことが全てではない。降伏条件を呑めば、この争いは終わる。例え無傷ではないとしてもこれ以上死者を生み出すよりはずっとマシだ、と少年は思った。
そのとき、全体の士気を上げる筈だった政府の目論見は、少年にとっては無意味なものとなった。
逃げ出そう。
脱走兵が捕まり連れ戻された結末は、断頭台の上だと聞いたことがある。
それでも一縷の望みがあるのなら、懸けてみよう。それで生き残ることが出来るのなら、それは無駄ではない。
決意が揺らがないうちに、少年はその日の晩、早速行動に移した。
脱走経路も厳しい訓練最中考えに考え、より安全性の高いものになった筈だ。日もすっかり落ちた、ちょうど今日のように月が隠れてしまっているその瞬間を狙い、茂みで息を殺して待つ。
それに心強かったのは、同じ考えの者が複数いたことだ。
あまり大勢で固まると目立つので、少人数に分かれ合図と同時に一斉に柵や塀に向かって走り、乗り越える。
そうして脱走に成功したのは―――。
「―――俺だけだった。」
虚空を見つめるその瞳は憂いを帯びていた。
山賊から奪ったばかりの金品を整理しながら綴った、ここまでの道のりは残酷で、聞き手の少女にとっても苦しい内容だった。
「さっきは……その、悪かった」
ナイフをしまったポケットを指で撫で、目も合わせずに謝罪する。
突然襲われた理由を聞こうとした少女だったが、それよりも早く少年は話した。
「身に付けている貴金属は全て外して、鞄に入れた方がいい」
俺みたいな奴が剥ぎ取りに襲うかもしれないからな、と自嘲めき忠告する。
少女が身に付けているペンダントや髪飾りはどれも純銀や純金で出来ていて、宝石が散りばめられている。売ればかなりの金額になりそうだ。硬貨をあまり持っていない今の少女にとってはこれが全財産ということになる。暫くは稼がなくとも生活はできるであろう。
そして、
「一応アンタは、俺にとっての命の恩人だからな。さすがに仇で返すのは良心が痛む」
僅かに残っている善心で自制する。そんな少年に少女は容赦なく質問をぶつけた。
「何故、そんなにもお金が必要なのですか」
生活するためだけならば、先ほどの山賊から奪った分のみで、贅沢をしなければ暫くは十分暮らしていける。
この少年からはそんなに度の超えた貪欲さを感じない。それに金が欲しいだけならば恩など構わずナイフを振り下ろしていただろう。
故に、少女は何かしらの理由があると践んだ。
口ごもりながらも少年は答える。
「故郷に……帰るため」
短い言葉だったがそこからは少年の決心が滲み出ていた。
兵士として強制的に連れて来られた地。
しかし今となっては皮肉にもこの地で生活をし、命を繋いでいる。
「遠い南にあるんだ、故郷」
底まで透き通った海が見える温暖な小さな村で、よく砂浜を走り回って遊んだことを嬉々として語る。
瞼を閉じれば郷愁と共に鮮明に映るのに、帰ることはそう簡単には叶わない。
この辺りには海はおろか湖もない。本気で帰るのであればひたすら川沿いに南下することになるのだがずっと歩くわけにもいかない。
少しだが地理知識のある少女の記憶通りなら、川沿いの村と村の間隔は整備された道がほとんどない。馬などに乗るのが最善だが、馬一頭借りるのも馬車に乗るのにもそこそこかかる。
少女が言おうとしていたことを汲み取ったのか、少年は先回りし、答える。
「楽に帰る方法なんてない。そんなの百も承知だ」
それでも帰りたい。
それは、生きるために幾度も虚言をしてきただろう少年の言葉で、唯一信用できるものだった。
少女は俯き考えこむ。
このまま森の中を彷徨い続けてもいずれ何者かに捕まえられてしまうだろう。遠くへ遠くへ、歌姫という偶像が薄れるまで身を隠さなければ。
しかし行く宛がない。単純に身寄りがないのだ。
それならば……。
「私も、連れて行って下さい」
いつの間にか膝をついて、頭を垂れ頼み込んでいた。
初対面の少年に頼むのも可笑しな話だとは思ったが、少女にはそれよりも最良の案が思いつかなかった。
「勿論、タダでとは言いません。報酬は―――」
そのまま少女は頭の後ろに手をやり、もぞもぞと何やら手を動かしていたかと思うと、今度は少年の首に腕を回した。
戸惑う少年に「じっとしていて下さい」と囁き、そして、腕が解かれた時には少年の胸元で銀色にペンダントが光っていた。
凛と咲く薔薇が三日月に被さった不思議なデザインだ。
「売ればかなりの金額になるはずです。これは前払いということで」
あっさりと財産の一部を少年に渡してしまっているわけだが、少女は疑っている素振りをひとつも見せない。
疑心というものを持ちあわせていないのか、それともためしているだけなのか。
「……俺の故郷に来てお前は何が楽しいんだよ」
わざと嫌悪感剥き出しで問う。
少女はそれでも物怖じせず、淡々と答える。
「行く宛がないだけです。ただ遠くに行って余生をそこで過ごす、それだけのことです」
理屈は通っていなくもない。別に南に拘る必要もないだろうが。
間接的にせよ、一応は命の恩人の頼みだ。聞かないわけにもいかない。意を決して返答する。
「その話、のった」
「本当ですか!?」
笑みがぱぁっと溢れる。
歌わずともこんなにも人を惹きつける少女は、損な役を押し付けるにはさぞかしピッタリであったのだろう。
国の陰謀に振り回されてもなお、毅然としているその姿はやはり少年にとっては眩しい。
「ほら、来いよ」
少女よりも一回り大きい手が差し出される。恐る恐る指先で触れた途端、右手がぬくもりで包まれた。
初めて会った筈なのに、どこか懐かしい体温だった。ずっと麻痺していた感覚が蘇り、凝り固まった心が解れていく。
「……はい!」
今にも泣きそうな表情だが、笑っていた。
雲の隙間から月が顔を出している、まだ明けない夜の森を駆け抜けていく。
それが二人の長い旅路のはじまり。
続きそうで続きはないです。




