2/5
冬の訪れ
冬は嫌い。
布団の主となりながら、涼子は思う。
またこの季節がやって来ちゃった。
「はぁーーー」
10代の頃から、鬱の持病を持つ涼子は、冬が苦手だ。
今日もなかなか起き上がることができず、一日布団の中でゴロゴロしていた。
うつ病は、脳内のセロトニンという物質が不足していることが原因と言われている。
セロトニンを作るためには、薬物治療を始め、様々なものが有効とされるが、
太陽の光も、その一つとされている。
だからなのか、お日様の光が弱まる秋から冬の季節が、涼子は大の苦手だ。
元々、幼い頃から、冬は苦手だった。
もう時効だが、小学校1年生の頃、下校時にあまりに寒くて、泣き出してしまったこともあるくらいだ。
恥ずかしくて、友人には、決してその理由を明かさなかったが。
そんなこんなで、今日も涼子は、家の中で一日を過ごすのだった。