1/2
プロローグ
ああ、あたしは死ぬんだ。
それが、『やっと』なのか、『もう』なのか。
どっちでも良かった。
俯せた大地は凍えて酷く固い。
でも顔を上げる必要も感じなくて、剥き出しの土に頬を汚したままで、あたしは細く息を吐いた。
悲しいとは感じなかったけど、滲んだ涙が冷たい土に染み込んでいく。
ああ、かみさま。
この世界におわすと聞いた、大地の女神さま。
あたしの亡骸は、貴女の大地に捧げます。
だから、どうか。
どうか、あたしの魂を。
せめて、この魂だけでも。
あたしの生まれた、元の世界に、返してください。
後から後から涙が流れ出しても、もう睫毛をしばたく力さえなくて。
あたしは、目を閉じたまま意識を失ったようだった。