18 140字小説「全4話」
「第1回」
歯磨きしなさい。
私は長男にいつも口癖のように
言っているが
全く習慣化せず、しない日が多い。
学校の先生に相談したら
「あなたのお子さんが歯磨きしないのは当然です。お子さんが幼い頃から歯磨きを覚えさせずに、歯の病気で歯を全て失いましたから」
しかし、歯が無くてもしてほしいのよ。
「第2回」
やっと病気から解放され、天国に来れた。好きなことを自由にできる夢のような世界だ。天国にやってきた時は、もう絶対に地上世界に再生しないぞと思っていたけど、3年経つと、何でも思い通りの天国が退屈に思えてきて、また人間に再生した。そして、今は肉体を持ち、様々な苦を味わえる喜びを満喫中。
「第3回」
ある老人が人生の最後に、桜の木を植えた。
数百年が過ぎ、大きな桜へと成長した。
桜の木の下では
夫婦が大雨に降られ、雨宿りした。
男女二人がプロポーズの場所にした。
子どもたちがお弁当を食べた。
老人の桜はたくさんの人と関わり合った。
先人の遺してくれたものでみんな生きている。
「第4回」
「アキラ!絵ばかり描いてないで皿洗い手伝ってよ!」
「僕は好きなことしかしない主義なんだ!」
「皿洗いしてくれたら、500円あげるわ」
「絵が上手ければ、いつか将来の役に立つかもしれないから」
「500円いらないの?」
「いらない」
「絵のほうが大事なの?」
「うん」