表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

〈一ヶ月前〉

「ハァ、今日も告白されちゃった。生徒会の仕事で忙しいのに」


 柴咲しばさき由衣ゆいは階段を下りながら、ため息をついた。ほとんどの生徒が下校し、閑散とした校内に由衣の足音だけが響く。


 由衣はこの学校の生徒会長である。美人で、成績優秀で、人望が厚く、誰からも頼られている。


 当然、モテる。


 生徒や先生から相談を持ちかけられることがよくあるが、それと同じくらい告白される。男女問わず。


 毎回律儀に告白されに行っては、丁重に断り、生徒会の仕事に戻る日々。帰りはいつも、最終下校時刻ギリギリだった。


「いっそ、誰かと付き合っちゃおうかしら?」


  ♦︎


「ハァ、今日もラブレターがこんなに。早く帰って自主練したいのに、靴が取れないじゃないか」


 野田のだりょうは大量のラブレターの中からスニーカーを引き抜き、ため息をついた。ほとんどの生徒は下校し、涼のクラスで靴が残っているのは彼だけだった。


 涼はサッカー部の爽やかイケメンエースで、やはりモテる。練習や試合の際には、大勢のファンが詰めかけた。今日も涼といっしょに帰ろうと、校門の前で出待ちしているだろう。


 床には大量のラブレターの他、手作りとおぼしきお菓子や、高価なプレゼントが散乱していた。


「いっそ、誰かと付き合っちゃおうか?」


  ♦︎


 由衣は一階に下りる。「ないない」と笑った。


「付き合ったら、毎日デートとかメールとかしなくちゃいけないんでしょ? そんなヒマないって」


 涼も「ないない」と笑った。


「どの子を選んだって、ケンカになるに決まってる。女の子があきらめてくれる女の子って、どんな子だろう?」


 ふいに、二人の目があった。


「ん?」


「ん?」


 その瞬間……"恋"が始まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ