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「あのさ」


「うん」


「お前の夢って何?」


「俺の夢?」


「そう。お前の夢」


「何だよ、いきなりそんな事聞くなんて。変な物でも食ったんじゃないのか?」


「………失礼な奴だな。いたって真面目な質問だろう?」


「だから余計に悪いものでも食ったんじゃないかと思うだろ」


「お前な………まぁ、良い。ちなみに俺の夢はな………立派な剣士になる事だ」


「ん?兵士じゃないのか?」


「剣士だよ!兵士と一緒にするなよ。」


「どっちも剣ぶん回してるだけだろ?変わらないじゃないか」


「兵士ってのは、国に雇われただけの傭兵みたいなもんだろ。剣士ってのは孤高のヒーローなのさっ!」


「何だよ、それ。孤高って確か一人とかって意味だったよな?それって、ただの引きこもりじゃねぇか」


「馬鹿か、お前は!ヒーローってのはいつも孤独な存在なのさっ!そして困ってる人達を助け、悪を挫く………そんな剣士になりたいんだっ!」


「へぇ~?………一応は、一端の夢なんぞ持ってたんだな、お前」


「お前はさっきから失礼なんだよ!」


「ははは、まぁ、良いじゃないか」


「まったくお前って奴は………ところで話を戻すが、お前の夢って何なんだ?」


「俺か?………あぁ、まさか話を戻されるとは思ってなかったな」


「だぁ~、もう。そんな事はどうでもいいから、早く教えろよ」


「仕方ない。ん~………そうだな………ウチの親父が鍛冶師の仕事をやってるのずっと見てきてるし、将来は同じ鍛冶師になりたいとは思っているな」


「何だよ、それ。本当に地味だな」


「悪かったな、地味で」


「……………」


「……………」


「あのさ」


「うん?」


「俺が立派な剣士になったら、お前が俺の剣を作ってくれよ」


「え?」


「お前は鍛冶師になって、俺は剣士になる。だから悪くは無い話だろ?」


「………あぁ、悪くは無い……うん、そうだな。悪くは無い」

                                                



『良いぜ、その時はお前に最高の剣を作ってやるよ………』

                                                  


――――――――――――――                        

 懐かしい夢を見た………

 あれは確か俺が7歳位の頃だったと思う。その頃は大体、俺とキースの二人で遊んでいる事が多かった。この時も二人で近所の森の中へ遊びに行ったときの話しだ。そういえば、いきなりアイツが夢の話なんてしたから悪いものでも食べたのかなーと本気で心配していたんだっけな。はは、いや~夢ってのはどうでも良い記憶まで思い出させてくれるもんなんだな。

 それにしても、よりにもよってあの時の会話を夢に見るとは思ってもみなかった。これはもしかしたら運命の皮肉ってやつなのだろうか。

「お~っす、ジェラルド。今日もシケたツラしてやがるな~」

 ウチの親父に半ば強制的に弟子入りさせられた可哀相な悪友(キース)が現れた。

「お前………今なんかすっげー失礼なこと考えてただろ?」

「あ、やっぱ分かる?」

「分かるわっ!何年の付き合いだと思ってんだっ!」

 目の前のアホが朝っぱらから喚き散らしていると、後ろから親父が現れる。

「朝っぱらから何騒いでやがるっ!このボケキースっ!」

 文字通り目から星が飛び出すんじゃないかって位の強烈な拳骨を頭に叩き込まれたキースは喚くのを止めた。こうかはばつぐんだ!

「親父も大概朝っぱらから元気だよな………まぁ、良いや。とりあえず、鉄鉱石以外の鍛冶の材料が足りないから買出しにでも行ってくるよ」

「おう、テキトーに気をつけて行けや」

 俺は親父に適当に見送られながら、未だに蹲って頭を抱えているキースを尻目に材料の買出しに出かけた。

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