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いざ、鉄鉱石を堀りに

 鍛冶の才能が無いと言われてから暫くした後、俺は何とか立ち直り鍛冶家業に勤しんでいる。

 とはいえ、親父よりも腕が落ちる為に売り上げのほとんどが親父手製の品だ。しかも問題はそれだけではない。


 作業場は親父の施設を借りているため、親父が仕事をしているときは俺の仕事が出来ない。だから作業場が無いという問題については、急いで解決しなければならない。

 仕事が出来ないとくれば、クソ爺が喜び勇んで俺に稽古をつけたがる。いわゆる悪循環というやつだ。


 つまり不満は一言に尽きる。剣の腕ばかりが上がって、一向に鍛冶の技術が上がらないのだ。ここ5年であの爺の楽しみの一つに、俺をしごき倒すことが加わっているだろう。


 俺を弟子にした後、あのクソ爺はあろうことかこの村を本格的な拠点にしやがった。村のはずれに一軒のコテージが建っているが、アレが爺の住まいだ。


 そんなクソが付くほど憎い爺でも、首都に戻れば優美な自宅がある。そこでは美人のメイドさんが身の回りの世話をしてくれ、専属のコック達が織り成す豪華な食事にありつけ、なおかつ一生を使っても遊び切れないほどの潤沢な資金を持っている。挙げればキリがないほど贅沢な生活が出来るというのに、何という酔狂な爺なのだろう。金持ちの道楽というヤツなのだろうか。


 ………爺の話はもう良いだろう。気が滅入ってくるしな。


 それに、俺は今から村のはずれにある山へ行く準備をしなければならないのだ。


 というのも、実は裏山のとある洞窟の中に鉱物が存在するのだ。

 え?何でそんなことを知ってるかって?

 それは忌々しいことに爺の修行の一環で見つかったのだ。


 ベアウルフが何故か裏山に大量発生したとのことで、村長から直々に村にコテージをぶっ建てて住んでいた爺に討伐の依頼をしたのだ。


 ベアウルフという魔物の見た目は、そのまんまの狼である。好戦的で、なおかつ熊並の巨体である以外は。


 基本的にボス格のベアウルフが、それぞれの群れを統率しているので一匹居たら少なくとも数匹は居ると思った方が良い魔物だ。


 そんな魔物が大量発生したとなれば、軍が黙っては居ない。

 しかし、この村は王都から中途半端に遠いためすぐには討伐隊を派遣することはできない。


 駐屯している兵士だけでは、あまりにも戦力差があるために村の警備で手一杯なのだ。

 むしろ手一杯どころか一気に村を襲撃されてしまったら、村が全滅してしまう危険すらある。迅速に対応する必要がある為、この依頼をクソ爺に持ってきたのだろう。

 

 村長がそんな厄介な依頼の内容を口に出して説明している時点で、既にいや~な予感がしていた。そして爺がこっちを見てニンマリ笑ったので予感が確信に変わった。


 裏山につくや否や、爺は目にも止まらぬ速さでベアウルフの集団を一掃すると、巨大な洞窟に俺を蹴りだしてこう言った。


「この洞窟の奥に一際でかい気を感じるから、多分ボス格のベアウルフじゃろう。そいつを倒して戻ってくるのじゃ」


 そして俺は洞窟に蹴りだされた

 詳細については省かせてもらう………何故なら鍛冶とは関係ないからだ!


 敢えて一言で言わせてもらうなら、死にそうになった。

 それだけだ。嫌な思い出なんてレベルじゃねぇ。


 あの時、剣を離さなかったら腕ごと食いちぎられていた。思い出す度にゾっとする。


 ボス格のベアウルフを退治し、洞窟に残った魔物の掃討をしていると、ふと一部の壁だけ色が違っているのを発見した。

 剣の柄で壁を少し砕いて握りこぶし大の大きさに砕く。そしてそれを更に半分に割ると………何と鉄が見えるじゃないか!

 それが初めて俺が鉄鉱石を発見した瞬間だった。


 そんな思い出深い裏山ではあるが、今では俺の隠し鉱山………大切な鉱石の出所である。

 もちろん誰にも教えて居ない。


「さ~て、準備も終わったし、行くとするか!」


 気合を入れた俺は、ツルハシと愛用の剣を片手に裏山へと出発した。

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