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キース回収

「この馬鹿キースがぁぁぁぁぁっ!!」

 ベッドでぶっ倒れているキースに拳骨を見舞ってたたき起こす。

「ぐぅえあああああああっ!!」

 汚い声と共に飛び起きたキースは辺りをキョロキョロと見回し始めた。

「えっ!?あれっ!?…って、ここは何処?………マジで何処なんじゃああああああああっ!!」

「うるせぇぇぇぇぇぇっ!!医務室じゃあああああっ!!」

 起きて早々パニックになって騒ぎ出すキースに再び拳骨を見舞って鎮圧………もとい、落ち着かせる。

 頭をうずめて落ち着いたのを見計らって、俺はキースに話しかけた。

「この馬鹿っ!!どこに消えたかと思ったら、何で勝手に出場してんだよっ!!誰かに説明されなかったのかっ!!」

俺が珍しくもキースの事を心配して怒鳴った。こんな事は二度とは無いだろう。だというのに、こいつときたら

「………話が全然見えないんだが、俺達は武道大会に出場するためにここに来たんだから、出場するのは当たり前じゃないか」

 と物凄くムカつくどや顔で俺にのたまいやがった………もう心配なんぞしてやるもんかっ!!

 ムカついたので、このアホには拳骨の他に爆弾を見舞ってやる事にした。

「あのな、俺たちは領主様の推薦を受けてるから、さっきお前が出てた予選は出場しなくて良かったんだよ」

「………は?」

 説明を受けたキースは、キョトンとした顔で間抜け面を晒したまま固まってしまった。恐らく細かい説明をはしょって端的に結果だけを言ったので、内容が頭に入っていかないのだろう。なのでより詳しく説明して、存在しているのかすら怪しいその脳みそに事実ってヤツをぶち込んでやることにする。

「…俺達は領主様から推薦を受けてるから「シード選手」として扱われるんだよ。つまり、俺達は予選をすっ飛ばして明日行われる本戦にいきなり出場出来る権限がある訳だ……まぁ、簡単に言うとだな。お前がさっき出た試合は無駄だったということだな。ついでにお前が倒した魔術師がDブロックでの本戦出場者になったぞ」

「なんですとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 ようやく内容が頭に入ったらしいバカが、今度はそれに反応して騒ぎ出しやがった。勘違いしてもらっては困るが、この部屋には他にも沢山の怪我人が居る医務室なのだ。とてつもなく迷惑この上ない。

 これ以上皆さんに迷惑を掛けるのは忍びないので、この馬鹿を早々に鎮圧することにする。

 勢いを付けて放った拳はキースの脳天を捉え、今度こそ本当の意味で鎮圧させることに成功した。

「それじゃ、この馬鹿は回収してきますんで、もう静かになります。どうも、お騒がせしました~」

 若干というかかなり引き気味のお医者様に礼を言うと、俺はキースを引きずりながら医務室を後にした。


―――――――――――

 宿に戻ると、主のカレンさんがエプロン姿で出迎えてくれた。エプロンの絵柄については、男同士が………いや、やめよう。歩く公然猥褻とだけ言っておく。

「あらあらっ!キース君はどうしちゃったのかしら?・・・もしかして、今日は気絶しちゃうほど激しかったのかな?」

カレンさんの一言に若干引きつつも、当たり障りが無いように返答する。

「………そうですね、確かに『気絶』させました」

「うふふ………冗談はおいといて、もうご飯は出来てるから着替えてらっしゃい。今日も愛情たっぷりに作ったから………でも、そんなこと言ったら、キース君に嫉妬されちゃうかな?いやん、お姉さん困っちゃう」

 そう言って目の前でクネクネ動いてるカレンさんを無視し、801号室のソファにキースを捨てた。

 本戦はいよいよ明日となっている。アホ共に構っている暇はないのだ。俺は着替えて飯を食った後、早々に風呂に入ってベッドに横になった。

 とはいえ、横になってからも暫く色々な事を考えてしまう。未だにソファーで気絶しているキースを尻目に、明日はどんな一日になるのか心配と心配と後、心配で暫く眠れそうにない………クソっ!!嫌な予感しかしねぇ………

 しかも、嫌な予感が当たることに定評がある俺が言うんだから間違いないっ!!言ってて死にたくなってきたっ!!

「あああああっ!!もうっ!!さっさと寝るぜっ!!」

 頭を掻き毟って一人ごちると、無理やり目を瞑って眠りが訪れるのを待った。 ちなみに悩んだ挙句、目をつぶってから30分もしないうちに眠りが訪れたのは内緒だ。

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