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いざギルドへ

 沈んだ気持ちでギルドの中へと入る。中は屈強な男共がたむろしているムサイ空間なので、あまり入りたくは無い。まぁ、そういう奴等が武具を買っていくので居ないなら居ないで困るんだが。

「おう、今日も仕事に精が出るな」

 ギルドのカウンター前に陣取っているこのオッサンが、一応この村でのギルド長という事になっている。一見、強面の屈強なオッサンなのであんまり近寄りたくない外見をしているが、実際は奥さんの尻に敷かれているだけの至って普通の人だ。

「………俺の仕事は傭兵でも剣士でも無いから、そーゆー台詞は俺が鍛冶(仕事)している時までとっておいてくれ」

 ここにも俺の職業を勘違いしている奴が居たので訂正しておく。やっていて無駄な気がしてきたのは気のせいだな、うん。

「おう、そんな事より(そんな事って言うな!)坊主に依頼が来てるぜ」

 そう言いながら、バサっと書類の『束』を投げる。

 ………『束』?

 確か指定依頼は一件だけだったはずだが、これはおかしい。指定依頼が来るときは前もって俺に連絡を寄越してくるように伝えてあるからだ。というのも理由がある。

 そもそも指定依頼とは特定の人物に仕事を任せたい時に使ういわゆるオプションという奴である。一時期、俺は爺の弟子というネームバリューだけで結構危険な依頼がバンバン舞い込んできた時期があった。それに嫌気が差して、俺は指定依頼を断るようになった(かろうじてギルド規約で定められた拒否権があったから)

 その為、俺の機嫌を損ねないように必要最低限、依頼をする時は俺に前もって伺いを立ててから出されるのが通例である。まぁ、ほとんど却下するけどな。(キリュウオーナーの依頼は、ほぼ100%通っている。)

大体、工房の資金集めの為に金が欲しいとはいっても、指定依頼なんて厄介ごとの塊をわざわざ受ける必要はないのだ。

 だって普通の依頼こなしてれば金も溜まるし危険も少ないんだもん。

「………一件だけのはずだよな?」

 俺は半眼でギルド長を睨みつける。この束の正体がどういったものなのか。。。これは『確認』というよりは、既に自分の中で『答え』が出ている。

「………まぁ、坊主の指定依頼は確かに一件だけだが、ついでに溜まってる仕事があるんでそれを………」

「断る。」

 即座に一刀両断する。このオッサンも曲者の一人で油断するといつも厄介な仕事を押し付けてくるのだ。

「そう言わずに~」

「断る。じゃあ、白樺亭の依頼だけ貰っておくぞ」

 俺は気色悪い声で縋って来るオッサンを無視してキリュウオーナーの依頼書だけ持って外へ出た。

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