プロローグ
ここではないどこかのお話。
地球から遥か離れ、次元すら超えた所にとある一つの世界がありました。
そこでは人間の他に魔物と呼ばれる異型の者が存在していました。
魔物と呼ばれる彼らは、強靭な肉体と魔力を有しており人間達とは常に敵対しておりました。
度々人間と魔物で大きな争いが起こりましたが、いつも数で圧倒する人間の勝利で終わります。
しかし、いつのころからなのか魔王と呼ばれる者が突如現れました。
魔王は人間達に宣戦を布告するやいなや、大量の魔物の軍隊を世界各地へ送り込み、一ヶ月で多くの人命が失われてしまいました。
しかし、人間達もただやられてばかりではありません。
剣を持ち魔物と戦う者。
弓を携え退路を確保する者。
魔法を使い市民を守る者。
一人一人の力は魔物に劣ってはいても、力をあわせれば大きな力となることを人間達は知っていたのです。
長い年月を掛けて少しずつ攻勢に転じ、人間達はとうとう魔王と呼ばれる存在を討ち取ることに成功しました。
多大な犠牲を払いながらも、ようやく大きな戦も終わったのです。
魔王を討ち取った英雄は人間達の王となり、後世に語り継がれるほどの善政を敷きました。
魔王を討ち取ったその裏側には、多くの人たちの支えがありました。
魔法使いの魔杖を作った杖師の力。
軽くて丈夫な防具を作った裁縫師の力。
頑丈で屈強な弓を作った弓師の力。
そして
どんな魔物の攻撃も弾く鎧を作り、何者も断ち切る剣を作った鍛冶師の力。
その全てがあったからこそ魔王を倒すことが出来たのです。
もし、その中の一つでも欠けていたら魔王を倒すことは出来なかったでしょう。
そして世界が平和になって数百年が経った頃、物語は一人の男の子が生まれた所から始まります。