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仕事したくない

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 近所の神社に参詣した。私はスピチュアルなものは信じてない方だが、神社の森に漂う霊気みたいな物は感じるので、元日だけでなく散歩コースに入れて時々通っている。


 手と口を清め、、お賽銭を投入し、二礼に拍手して、つり下がっているガラガラ鳴らす。この正式名称は「本坪鈴」(ほんつぼすず)と言うとAIチャットに聞いて知る。


 願い事は、「仕事しなくても生活できますように」。


 もう、会社や上司に振り回される仕事はうんざりだ。自由に生きることはできないだろうか。

 でも只の無職になってしまうとその間たいした記憶に残らず一瞬で過ぎてしまうことも体験上知っていた。怠惰に過ごしていると時間の流れは激流のごとく流れ去っていき、あれなにやったけ? と、何も残らない。


 何か記憶に爪痕を残しつつ負担にならないていどの毎日を送りたい。

 そんな想いを浮かべつつ願いを込めて一礼する。


 若いときから働きたくないと思いながら、生活のために仕事をしてきた。あるとき、拘束されたくなければ、専門性を上げれば良いと気づき、勉強して資格を取ってある分野の専門家になった。不思議と自分からやる勉強は怠くなかった。


 仕事はやらされているから怠いんだと気づく。自分から仕事していると、小金が貯まり、投資に回した。年率10%~20%増えていきこのままだと老後は年金も含めて大丈夫なような気がしてきた。


 でも、正直、すぐにFIREしたい。専門家になったけど、専門性で、より詳しい人たちからマウントされる。どうも、日本的仕事の悪癖らしい。よく考えると、マウントするほうが恥ずかしいと思うんだが、される側が馬鹿にされたような気がするのは私が未熟者だからかもしれない。


 何十回目かの参詣のとき、

――叶えよう

 という声が聞こえたような気がした。


 数週間後、音沙汰がなかった叔父が亡くなった。親族は僕だけだったらしく処理に奔走して一息ついたところ担当弁護士(知らなかったが叔父は資産家だったらしい)から遺産相続の遺書が出てきた。少額なら辞退して寄付にしようと思っていたところ、20億超えだと言われ受けることにした。正直心揺らぐ金額である。


 相続したお金はいくらかは寄付し、神社はボロかった手水舎を立て直すために寄進した。


 さて、仕事しなくてもいいようになったが、何をしよう。大金を稼ぐスポーツ選手や宝くじ当たった人は数年で散財して貧乏になってしまうらしい。贅沢せずに趣味に専門性をもたせるべきと考えたので、

 初心者向けのギターセットを買った。今から練習する。ジェフ・ベック目指そう。

全ての著作権は私、葉沢敬一にあり、勝手な書籍化、マンガ化、ドラマ化、映画化などは禁止します。


ジェフ・ベックが出てくるのはファンで、これ書いていた頃亡くなったと聞いたからです。

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