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明日死ぬ僕たちは  作者: 髙木悠ハ
4/7

四、家族

俺は、安村要。

俺は家が貧乏だ。父さんが死んで、俺がバイトするようになって、母さんは「休め」って言うけど、俺がバイトしないと、弟二人を養えない。

だからずっとバイトをしてきた。

でも、俺は明日死ぬ。だから、今日はバイトをしないで母さんと、弟二人と過ごしたい。

「母さん」

「ん?」

「今日は、バイト休んでいいか。」

「いいよ。ごめんね。負担かけて。」

「で、母さんに頼みがあるんだ。」

「ん?」

「母さんも、今日だけは仕事休んでほしい。」

「なんで?」

「母さん、信じてくれないかもしれないけど、俺明日死ぬんだ。」

その言葉を聞いた母さんは目を見開いた。

「信じてくれないよな。ごめん。」

「信じるよ。要の言うことは全部。でも…受け止めきれなくて」

母さんはふぅ、と大きい息を吐いて俺を抱きしめた。

「やっぱり信じたくないわ」

母さんは、涙を流した。

「母さん…。」

「もう誰も失いたくないもの」

母さんの滝のように流れる涙が俺の肩を濡らした。

俺も死にたくなくて、涙を流した。

「母さん、俺も死にたくない。でもね、俺の友達も俺も、未来を見たんだ。死ぬ未来を。死の運命は変えられない。だから…」

「死んでほしくない。バイトしなくてもいい。だから要はずっと生きてないと…!」

「母さん…」

涙を流す俺たちを見て、弟二人が起きてきた。

「どうちたの?」

「彼方、叶、ごめんね起こして。」

「ううん!なんで泣いてるの?どこか痛い?」

「大丈夫よ。ほら、おねんねしないと。」

「嫌!要兄も泣いてるから僕と叶と四人でいる!」

俺は弟達を見てさらに泣いてしまった。

「おいで。」

二人を抱きしめて、俺はできるだけ伝わらないように泣いてる理由を説明する。

「あのね、要兄ちゃんね、明日、遠くに行っちゃうの。」

「遠く?どこ?」

「うーん、お空の方かな。」

「お空?僕も行きたい!」

「叶も!」

「まだ二人は早いよ。お兄ちゃんは神様から呼ばれたんだ。お空においでって。」

「へー!」

「叶も呼ばれる?」

「うーん、おじいちゃんになったらね。」

「そうなの!楽しみ!」

「そうだね。」

俺は二人の頭をポンポンとした。

「お父さんに会ってくるんだ。」

その言葉を聞いた母さんは嗚咽するほどの涙を流した。

「お父さん?」

「お父さんもね、二年前神様に呼ばれたんだよ。」

「知ってる!僕たちもお父さんに会いたいなー!」

「お兄ちゃんも、お父さんもこれからずっと二人のことお空の上から見てるよ。だから偉い偉いしてなきゃ」

「わかった!頑張る!」

母さんは、俺と弟二人を強く抱きしめた。


俺らは二時までご飯を食べたりして話し続けた。

「母さん、今までありがとう。行ってくるよ。彼方と叶にもよろしくね。負担かけるけど、もし本当に俺が死んだら、茶色の戸棚の一番下の引き出し、見て。じゃあね。」

母さんは涙を流し、俺を抱きしめて、「母さんこそ、今までありがとう。大好きだよ。バイバイ。」と言った。

「俺も大好きだよ。」

涙をぐっと堪え、手を振った。


校舎裏に向かう途中、俺は涙を堪えきれずにしゃがみ込んでしまった。


続。


この物語はフィクションです

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