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明日死ぬ僕たちは  作者: 髙木悠ハ
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二、欲しい物

「お前は勉強だけしていればいいんだ」

生まれてこの方、何事も学年で一位以外を取ったことがない。

でも、それは親が勉強を押し付けてきたからだ。

本当は好きなことをしたかったし、好きな物を買いたかった。

足が速いから、陸上もさせられた。

でも、運動は嫌いだ。

お小遣いは毎月100円。

好きな物が全く買えずにいた。

夜な夜な見て好きになったアニメのグッズ。

毎月100円を貯めても、最近好きになったから到底買えるはずがない。

でも私は明日死ぬ。

だから、どうせならグッズと共に死にたい。

私はサングラスと黒いマスク、黒い帽子を深く被って、アニメの専門ショップに来た。

沢山並ぶグッズを見て、目を輝かせる。

欲しかった物が、並んでいる。

流石に今盗んだらバレるから下見に来ただけだが、全部欲しすぎてたまらない。

現在の時刻は十二時。犯行時間は閉店二時間後の二時を予定している。

私は、厳しすぎた家族に手紙を書いた。

『拝啓、お母様、お父様。

私は、厳しすぎる二人が大嫌いでした。好きなこともできない。好きなことをすると碌な人間にならないから、って勉強と陸上を押し付けて。

まあ、あなた達は私を成績優秀者にするっていう好きなことをして、碌な人間ではなかったですけど。

本当に勉強が嫌いでした。運動も。

夜な夜な見るアニメが一番のご褒美だった。

夜中あなた達が寝ている隙にテレビで見るアニメが本当に好きだった。

みんながお小遣い五千円もらってるって聞いて私は唖然としました。百円って。少なすぎでしょ。

好きなものも買えずに、18年生きてきましたが、もうそんな生活も終わりです。

本当に、育ててくれてありがとうございました。

反省してください。こんな娘に育てたことを。

江戸遥。』

私はこの手紙をポストに入れ、公園で二時まで過ごした。

二時になり、私は思い石をドアへ投げ、警報器が鳴る中、バッグにグッズを詰め込んで自慢の速い足で逃げた。

人気のない路地裏に来て、私はグッズを眺め、すごく不思議な気持ちになった。

今まで手に入らなかった物が手元にあるからだ。


私は、鞄から出したアニメのキャラクターの人形をぎゅっと抱きしめ、校舎裏へ向かった。


続。


この物語はフィクションです。

万引きは法律で固く禁じられています。

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