「ただいま」の衝撃
今回は後半からレオンハルト目線でお送りします!
最近、アリシア目線が減っていてすみません、!!
いつもよりも少し長めの本話をお楽しみください〜!!
マナーレッスンの後。
お父さまやお母さまに今日の授業について話したいから、ルンルンで帰った。
「ただいま帰りました!! お父さま、お母さま、本日の授業について聞いてくださいませ!!」
「あら、アリシア。お父さまはまだお仕事をなさっているわ。……いつもよりお帰りが遅いけれど。私でよければお話を聞いても良いかしら?」
「ええ、もちろんでございます!! 本日は社交座学とマナーレッスンだったのですが……」
と、そこで、屋敷を駆け回る音と、使用人の《旦那さま、おかえりなさいませ》が聞こえて。
「アリシア〜!!!!いまふぁふぇった……。おみゃえにえんだんがきちぇいる……」
……? 私が名前を呼ばれたことは分かった、が……大事なところが聞こえていない気がする。
「まあ!! アリシアに!?」
……!? なぜお母さまは理解できるのかしら?
「……アリシアさま。旦那さまは『アリシア、今帰った。お前に縁談がきている』と仰せです。おめでとうございます」
リリーのファインプレー!!なるほど、、なるほど、!?
「リリー、ありがとう。――それってどういう意味かしら?」
「それは旦那さまから直接お聞きになってください、そちらの方がよろしいかと」
「それは、そうね。 お父さま、詳しく教えてくださいませ」
「実は、だな。とある辺境伯家からの正式な求婚なんだ」
「辺境伯家で、求婚、と言えば、お隣の領地の次男さま、ですか?」
「いいや、それが違うのだ。どうやら、隣国の……」
「嫌にございます。お父さまやお母さま、屋敷の者はもちろん、大切な友人であるサフラン様やレオンハルト様、アドリアン様にお会いできなくなりますもの」
「おお!! そうか! それなら話が早い!! 早速、お断りの旨、お伝えしよう!!」
「ええ、それがいいわ。アリシアを隣国に嫁がせるだなんて、実家としても辛いことだもの」
「はい! 私は、このクレマチス王国で幸せになる道のみを選びます!!」
「嬉しいけれど、他の国にも素晴らしいものはあるわ。それを忘れないでちょうだいね」
はい、と返事をすると、お父さまはすぐに廊下を駆け、書斎で返答の手紙を綴った。
◆ ◆ ◆ 〜Leonhardt〜
「レオ、父だ。入っていいか」
部屋の扉が叩かれる。
「はい、少々お待ちください」
そして扉を開けると、穏やかな表情を浮かべたお父様の姿が。
「今日は親子というよりも男同士として話がある」
「男、ですか? どのような内容で」
男同士、とはどういうことだろうか。
「ああ。今朝小耳に挟んだのだが、アリシア・マーガレット侯爵令嬢が隣国の辺境伯家から求婚されたそうだ」
「アリシア様、が……」
先ほどまで向かい合わせで食事を楽しんでいたのに。
アリシア様は隣国に嫁がれるのだろうか。
そうすると、お姿を見ることすら叶わない。
そして、これでは、アドリアンの誤解を解くこと(つまり告白)すらできないではないか。
「ああ。だが、侯爵の強い意向により、この件は破談になると思われる。なんと言っても未だ社交にすら出さない箱入りっぷりだからな。隣国でも他国は他国だ。」
ここで、マーガレット侯爵の溺愛が俺の希望になった。マーガレットの花言葉は《真実の愛》。 それを娘にも惜しみなく与えていたのだろう。
だが、まだ決まった訳ではない。相手も未知数の辺境伯家だ。
爵位はマーガレット侯爵家が上だが、ただの私利私欲で断れるような相手ではない。……いや、侯爵ならやりかねないか。
「!! そう、でしたか!」
「ああ、やはりな。 レオ、いや、レオンハルト・コットンツリー」
「っ、はい」
「お前は……マーガレット侯爵令嬢を大切に思っているのだな。自分にとって、特別な女性として」
ああ、お父様にはお見通しか。
「……やはり、お見通しなのですね。本当はアリシア様が幸せになる道かもしれないのに、そこから逸れる可能性を喜んでしまいました――」
「そんなものだろう。 レオンハルト、このタイミングで行動するのはお前にとっても、マーガレット家にとっても好機だ。ここでお前が求婚を決めれば、辺境伯家にも断りやすくなるだろう。誰しも、隣国の辺境伯よりも国内の公爵家に嫁ぎたいはずだ。マーガレット家はそれを理由として、辺境伯家からの婚約を断れるはずだ」
「ですが、我がコットンツリー家には……」
そうだ。この家には、《伝統》がある。
「ああ、承知の上だ。コットンツリー本家は、女主人が月の妖精主を務める。次期公爵たるお前に嫁ぐのは、やはり勇気のあることだろう。だが、彼女以上の適任はいるか?」
「それはー。私の知る限り、思いつきません。人当たりの良さ、立ち振る舞い、それからなにより……」
「お前に愛されているな。妖精主は愛に溢れた人でなければならない。だからこそ、今回お前と話したかったんだ」
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あんずっこ