マナーレッスン
「それでは、お好きな4人グループを組んでください。男女比はできる限り同じになるように」
入学から3ヶ月。
今日は食事のマナーレッスンの日。
マナー担当の先生の合図で、全員が立ち上がる。
お相手を探していると。
「アリシアさん、私と組んでくださる?」
「サフラン様! よろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ! 大切な友人だもの!!」
王女殿下にも関わらず、侯爵家の娘と親しくしてくださるサフラン様からお声をかけてもらえた。
「それでは、男子生徒2人組を探さなければならないわね」
「そうですね。どなたかからお誘いいただけると良いのですが……」
と、教室内の殆どのご令嬢がどなたかを取り囲んで。その中心に誰がいるのかは、人だかりの外からは見えない。
「「「「レオ様、私と組んでくださいませ!!」」」」
……レオ様、?
「レオンハルト次期公爵様ですわね。お隣にいらっしゃるのはルピナス侯爵家のご子息、アドリアン様ね。次期公爵様、流石の人気ですわ」
「さすがサフラン様。生徒の事情にお詳しいのですね」
私も知らなかったのに。まあ、レオンハルト様は公爵になる方だから、ご令嬢に人気なのは分かる。お隣のルピナス侯爵令息が戸惑われているほどに。
ただ、【どうしても】【親の言いつけで】レオンハルト様を取り巻いているご令嬢がいらっしゃるように見える。
政略的な恋愛結婚を目指した親御様に言いつけられているのだろう。
「ご令嬢方、申し訳ございません。今回はサフラン王女殿下とマーガレット侯爵令嬢のお二人と組ませていただきます。またお誘いください」
……え!?
私たち?
一度もお話ししたことはないのに……!!
ああ、なるほど。サフラン様に思いを寄せていらっしゃるのかもしれない。
それなら、私も一肌脱ごうじゃないの!!
ルピナス侯爵令息もきっと、分かってくださるはずですわ!
◇ ◇ ◇
「急にお誘いして申し訳ございません。レオンハルト・コットンツリーと申します。レオとお呼びください」
「とんでもございませんわ。私はサフラン・クレマチス。ファーストネームでお呼びください。これからもよろしくお願いしますね」
……私が何かしなくても、イイ感じじゃない??
まあ、私も自己紹介を。
「アリシア・マーガレットです。私のこともファーストネームでお呼びいただけたら嬉しいですわ。本日はお誘いをいただいて、本当に嬉しいです!」
「ああ、申し遅れました。私はアドリアン・ルピナスです。なんとでもお呼びください」
形ばかりの挨拶よね。
全員、有力貴族(もしくは王族)の令嬢・令息なのだから、互いに認知はしているはずなのに。
「それでは、リフェクトリーへ向かいましょう」
「「「はい!」」」
レオ様の先導でリフェクトリーへ向かい、歩き出した。
私達に向けられるのは、ご令嬢からの羨望と、嫉妬が入り混じった視線。それでも、王女殿下のいるグループに乱入はできない、と自制をかけているご様子。
私なんかがレオ様と組み、申し訳ございません!!
なので、お二人の恋模様を陰ながら応援いたしますわ!!
ですから、まずは。
「アドリアン様、少しよろしいですか?」
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あんずっこ