淡い憧れと学院生活
「アリシア様、本日は学院の入学式にございます。制服にお召し替えください」
「ええ、ありがとうリリー。初めて着る服だから、手伝ってくれる?」
「もちろんお手伝いいたします。……それとアリシア様?」
「なあに?」
私はアリシア・マーガレット、10歳。今日は学院の入学式。この国では貴族の令嬢・令息と、厳しい試験を突破した平民は学院に通うことが許されている。
我がマーガレット家に侍女として務めるリリーは、私の校章を手に取って見せた。
「こちらの校章は学年ではなく、実家の爵位によって色分けされています」
「へえ、そうなのね。それがどうかしたの?」
初めて聞いた校章の秘密に、少し首を傾げた。
「はい。マーガレット侯爵家のお嬢様であるアリシア様の校章は、臙脂色でございます。また、アリシア様の同級生となる方々には第三王女殿下や次期公爵殿下もいらっしゃいます」
「ええ、そうね。確か……サフラン殿下と、レオンハルト様だったかしら?」
「左様にございます。王族の方は金、公爵家のご子息・ご令嬢は黒の校章をつけていらっしゃるそうです」
「なるほどね。つまり、金や黒の校章をつけている方は我が侯爵家よりも立場が高いから、ご無礼のないように、ということね?」
「全くその通りにございます。アリシア様に限ってそのようなご無礼はないと存じますが……」
「そうね。お母様がマナーのレッスンをつけてくださっていたから」
そう、お母様が"どこにでも嫁がせられる娘"を作るために、優しくも厳しいレッスンをつけてくださっていた。
内容は、お相手の立場によって変える敬称、カトラリーの使い方、ダンス、刺繍等。
お母様曰く、
《今すぐ王族のパーティーにでも出られる》ほどのマナーを身につけたらしい。
◇ ◇ ◇
「それではリリー、行ってくるわね」
「行ってらっしゃいませ、旦那様、奥様、アリシア様」
両親と共に馬車に乗り、その後ろを走る馬車は護衛。
「お母様。あの金色の馬車には王族の家紋が彫られているわ。サフラン殿下の馬車かしら?」
「ええ、きっとそうね。学園に続く道ですもの。アリシアの同級生になる、サフラン第三王女の馬車よ」
「確か、お父様もお母様も、学院の卒業生ですよね?」
「ああ、そうだよ。特に私は学院を主席で卒業したんだ」
「お父様、そのお話は聞き飽きました。確か、〔さすが侯爵家のご子息〕と言われたとか」
「そんなに話したか? まあ、その通りだよ。そして、今、現役で侯爵の位に着いているんだ」
「そうですね。お父様の敏腕っぷりが学院時代からだとすれば、現在のお仕事への取り組み方も頷けます」
「そうだろう、そうだろう!!」
と、両親との話に花を咲かせながら。
◇ ◇ ◇
「旦那様、奥様、アリシア様、学院に到着いたしました!!」
「ここが、私の通う学院ね……」
「ああ。私も懐かしいな、ここで多くを学んだことが」
「そうね。ここで色々な友人と多くの思い出を作ったわ」
そうか。お父様にも、お母様にとっても、思い出の学院だものね……。私も、!!!
「……! お父様、お母様。行ってまいります! 入学式、しかとご覧ください、!」
いよいよ始まる、私の……
学院での学院生活!!
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あんずっこ