五話
起きると隣にサーラは居なかった。寝ている間にソファーで寝る様になったか。窓からは月が見える。確か審判と法の神ラジア様が人々が夜に活動出来るように作ったのだっけか。
エルカミス家はエルネアス様を信仰しているからエルカミス様関係の話なら良く知っているけど他の神々だと余り良く知らないんだよね。
今日は満月のようだ、読書に丁度いいね。今は安全な森の前で野営中のようだけど、動き出したら森に入るから賊に注意していよう。
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《初級工学、初級科学、初級魔力学を取得しました》
《サブジョブのレベルが上がりました》
ふむふむ、工学と科学は現実世界ほど進んではいないかな?魔力っていうクリーンエネルギ―があるからね。条件は達成できる環境はあるけど時間がかかるな。もう既に森に入っているからガレアには周囲の警戒を頼んでいる。使っているのは風魔術の〈ウィンドソナー〉と光魔術の〈ライトサーチ〉かな?
おそらくガレアの生前使っていなかった属性だと思うのだけど。召喚主の僕の適正属性に引っ張られて召喚時にに着いた物のはずだけどもう使いこなしてるね、僕が寝てる間に練習したのかな。
この世界ではスキルの戦技や魔術 魔法はスキルの階級かレベルの制限、条件達成で取得する物もあるが基本的にはほどんど使うことができる。あるのは戦技や魔術 魔法ごとの熟練値がある。
なので僕の使う【飛斬】とガレアの使う【飛斬】では規模が違う。おそらく僕の場合は太め木の枝を切り落とすぐらいだが、ガレアは全力で手加減して木そのものを切り倒せる。今はガレアに肉体がないから発動できないので、肉体は作る予定。まあ現在のステータスを確認しようか。解析。
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ステータス
名前:イーミール・レオン・エルカミス
種族:人間
MJ 魔術士見習い レベル1
SJ 学者見習い レベル2
生命力:180/180
魔力:435/435(+35)
STR:8
VIT:10
INT:23(+3)
DEX:19(+3)
AGI:9(+2)
MID:15
スキル
召喚術 レベル2 従魔契約術 レベル2
錬金術 レベル7 死霊魔術 レベル2
学習 レベル10 解析 レベル4
剣術 レベル15 初級工学 レベル3
初級科学 レベル3 初級魔力学 レベル3
イスタール帝国史 レベル1
礼儀作法(イスタール式) レベル33
話術 レベル17 速読 レベル27
ダンス レベル10
所持金10万シル
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学者見習いのレベルが上がったか。学者的なことしてるからね、そりゃ上がるかるよね。だけどスキルレベル的にまだまだだから早く覚えなければ。
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時間は飛んで昼頃。ちょうど学習スキルなどのレベルが上がった時、木の倒れる音と共にそれは起こった。
『主、賊どもが来ました』
「イーミール様、敵襲です。できれば馬車内でお待ちください」
『ガレア、現在の戦力で倒す事はできる?』
『私を除くけば、ギリギリですかね。二つの馬車を護衛しながらですから』
ガレアに念話で聞けば、そのような答えが返ってきた。仕方ない外に出るか。
「おそらく進行方向と後方の道はふさがれている。包囲されているから仕方ないけど外に出るよ」
「やはりイーミール様ならそう決断なさりますよね。前に出すぎない様にしてくださいね、私も援護しますが」
やれやれと言わんばかりに首を振りながら自分の弓をアイテムバックから取り出すサーラ。サーラの弓術の腕はいいからね。
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馬車からシリスティアを持って出れば賊のリーダーと思われる人物から号令がでる。
「あの剣をとりゃあしばらくは楽ができるぞお前ら、全力で殺ってこい!」
パッと見十五人いるけど、みすみす殺される気はないね。まずは剣たちを召喚しよう。
「短期錬成召喚:生贄〈魔力〉指定〈スティールインテリジェンスロングソード〉」
今回は六本、前回かなり魔力の余りがあったからね。ついでに生命力や魔力を奪う収奪属性を付与して作ったからもっと余るけど。騎士たちが応戦している九人の賊に向かわせる。飛んできたナイフや魔術、魔法をシリスティアで弾いていれば、僕に魔力が流れ込んでくる。濃度が薄いなぁ、量的に三人かな。戦闘で集中しすぎはいけないよ。
『ほかの人の体の操作補助は不思議な感覚ですね』
剣たちの操作と僕の体の補助をしているガレアからそんな念話が入る。騎士の守りを抜けて来た一人の賊の腕を斬り落とし、続けざまに首を斬って答える。
『こちらとしては戦い易いからいいけどね』
む、流れ込んでくる魔力が多いな。後衛職を斬ったか?多いから魔力の上限を超えるかなこれ。スキル無いから使いたくないが。属性魔術使うか、多分この戦闘で覚えるけど。
「風魔術:〈ウィンドエンチャント〉」
あぁ確認したけど魔術師斬ってるね。いつのまにか遠距離攻撃が来ないとおもったらサーラが倒してた。どうやら隠れていた賊たちが向かってきたので倒していたら。前方から怒号が聞こえる。
「おめぇを倒して、大金を手に入れるんだよぉ!俺はぁ!」
どうやら痺れを切らしたのかリーダーが騎士を飛び越え斧で切りかかろうとしてる。スキルを使わず飛び越えられるってことはレベルは結構高そうだね、だけど無防備な空中で切ってしまえば怖くない。
六本全部使って体を切り裂く。ちょっと遊んで倒そうか。
「ぐあぁぁぁ、俺はぁ、俺はぁ」
「光魔術:〈光の拘束〉。さてさて理論的にはできるけど現実的にはできるのか、実験と行こうか」
【光の拘束】とは空中に光の輪で拘束する魔術である。名前の通りだね、わかりやすい。死にかけの賊を拘束する理由はあんまりないけど、実験体にはちょうどいいからね。今回の実験は魔剣士の持つ風剣術など属性剣術スキルに【バーストエッジ】とゆう戦技がある。理論的には剣に付与されている、又は付与した魔力、気功を剣に乗せて放つ戦技なわけだ。そして現在シリスティアにはウィンドエンチャントが施されている、試す価値はある。
『ほう?面白い事を考えますね私の主は。今の私は死霊の時に持っていた闇属性が無くて使えませんがやり方は分かりますから手伝います』
『助かるよ、僕も本当にできるかどうかは分からないけどね』
僕の考えを察したガレアが手伝いを申し出てくれたので了承する。周りに人がいないのを確認し剣を大上段に構え、剣に付与された風属性魔力に意識を集中する。
「はぁぁ!」
振り下ろすと同時に魔力に指向性を持たせ解き放つ。うん、できたできた。あんまり広めると魔剣士を輩出する家に苦情を言われそうだね。死体が解き放たれた魔力で八つぐらい切り刻まれてしまったからもう少し練習するべきかな、グロいグロい。
どうやらリーダーが倒されたことでうろたえたのか賊たちは騎士たちに殲滅された。この大きさの賊なら拠点がありそうだね、進行に邪魔なだけだから攻めに行く気ないけど。
《風魔術、光魔術を取得しました》
《メインジョブのレベルが上がりました》
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木を退け、賊の死体やら血やらを光魔術、魔法や火魔術、魔法で処理したことでようやく馬車は進むことができた。血は魔物を呼ぶからね。放置してもいいけど街道に魔物が蔓延ったりするようになるから貴族としてはよろしくない行為だ。
「イーミール様、お怪我はないですか?」
「ないよ、サーラの援護が正確だったからね」
「そんなことを言われても嬉しくありませんよ」
とか言いつつ顔が赤いサーラである、目も背けたね。サーラと少し話した後、また読書に戻った。援護のお礼に膝枕しようとしたら断られてしまったよ。あとステータスを確かめよう。解析。
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ステータス
名前:イーミール・レオン・エルカミス
種族:人間
MJ 魔術士見習い レベル3
SJ 学者見習い レベル2
生命力:180/180
魔力:500/500(+65)
STR:8
VIT:10
INT:30(+7)
DEX:20(+1)
AGI:10(+1)
MID:20(+5)
スキル
召喚術 レベル3 従魔契約術 レベル5
錬金術 レベル7 死霊魔術 レベル3
光魔術 レベル1 風魔術 レベル1
学習 レベル15 解析 レベル4
剣術 レベル25 初級工学 レベル8
初級科学 レベル8 初級魔力学 レベル8
イスタール帝国史 レベル1
礼儀作法(イスタール式) レベル33
話術 レベル20 速読 レベル30
ダンス レベル10
所持金10万シル
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「結構スキルレベルが上がっているね、主に剣術」
『私が補助していましたからね、殆ど自由に動かせて間違った動きを矯正しましたから。
その動きを体が覚えるのでスキルレベルが上がるのは当たり前です』
なるほどそんな理由が、一種の稽古みたいなものなのだろうか。どちらにせよスキルレベルが上がるのはいい事だ。二時間程で帝都に着く頃だから少し荷物を纏めておこう。
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本を読んでいたらもう帝都に着いたようで、本来なら関所で検問があるのだか貴族は多少軽く見るだけである。皇族に逆らう意思が無ければだが。これからは学院の寮に暮らす事になるのだが、寮は四つに分かれている。理由は寮毎で争わせる事で生徒の質を向上させる為である。なので貴族や平民のバランスはしっかりと取られている。まぁ簡単にすれば貴族の統治資質を見るのが一番の理由だ。平民の生徒は成績で見られるが、貴族は順位や行動、自分の取り巻きの管理、寮内での生活や平民との関わり方など様々な点で評価され皇帝に送られる。もっと単純にすれば一種の貴族の選別組織である。なので身の振り方はよく考えてから行動するのが学院内での基本である。それでも頭が弱い奴はいるのだけど。
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学院に着いたので馬車から降りる。馬車は家には二台しかないので一台を残して領地まで戻す予定だ。
「予定通りというか何というか賊に襲われたな」
「あの森は昔から賊が出来やすいですからね兄上」
「そこら辺は帝都の周囲を固める騎士爵殿になんとかして欲しい物だかな」
そんな愚痴を兄上から聞いていれは二つ目の馬車の中から声が聞こえる。
「基本騎士爵は皇帝陛下に従う物ですから、皇帝陛下が直々に命を下さなれば難しいかと思いますよアルバ様」
そう答えるのは二日目に合流したカシス嬢、ノエルに兄上が未だ嫌われている事を伝えると少し困った顔をしていた事を覚えている。
「はぁ、そうゆう物か。とりあえずアレクが同じ寮である事を祈るよ」
「兄上はカシス嬢と同じ寮だからいいではありませんか。まぁ、代々研究気質のジアール寮が兄上に合わないのは分かりますが」
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受付で言われた寮はシーディス寮。長年武術に関係する人物が多い印象を受けるので、武術があまり得意でない僕は居心地が悪そうだ。ちなみサーラは同じ寮だったので普段は食堂などで会う事が出来るだろう。
「これでイーミール様の荷物は全てですね。案外少ない物です」
「錬金素材も使ってしまったし、元々服も多くないし、これからは制服を着るから更に少なくなったしね。」
制服は少し軍服じみた物で、胸元に自分の家の紋章をつける事で貴族の爵位や家を判別する。ちなみにサーラもエルカミス家の関係者なのでエルカミス家の紋章をつける。
「専属メイドなので部屋に入る事はできますが、起きる日に私に起こされる事が無いようにお願いしますね」
「分かっているよ、サーラ」
貴族も寮にいるので男女間での入室は寮母に確認を取らなければいけない。サーラの様に専属メイドや専属執事ならば入る事が出来る。
「では、私は私の荷物を片付けて来ますので」
そう言ってサーラは部屋から出て行ってしまったので、部屋には僕一人である。厳密にはガレアもいるが。入学式にはあと三週間あるので読書やガレアに剣術の稽古をしてもらおう。いまは夜なので読書に徹するが。二人部屋なのだが相手の子爵家の子息は来ていないらしく、僕が寝ている時に来た場合はサーラが対応する運びとなっている。どうやら領地が帝都に近いらしく入学式当日に来るらしいが。その三週間を僕はスキルレベル上げに費やす予定だ。本当はガレアの肉体を作る予定だったのだか、面白い話を学院の図書館で見つけたので当分延期である。
あっゲーム内これから三週間ぐらいはイベントたいしてないし、魔物狩りをする訳でもないのでカットです。現実世界も大体初期イベント終えましたしカットです。ゲーム内で三年、現実世界で一年経たないと本題に入らないのでテンポ良く行きます。本当はゲーム部分全部切ってローファンタジー部門で上げる案もあったのでまぁ。後から伏線出すのが面倒くなるのに気付いたので書いてますが。
あっ時司くんは普段ちゃんと進藤と話してますよ!だけどゲームも初期だから話させる内容がないんです。未だゲーム内でも会ってないですし。第二皇女殿下って名前の通り皇族なので帝城からあんま動かせないんですよね。なんでメインヒロインの身分にしたんだろう作者?
来週は文字数多めの一回更新です。