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四十六話


 黒焦げた、鼻に強く残る特徴的な匂いが、土ぼこり舞う戦場に立ち込めている。ここまで焦げれば、素材の品質は相当下がっているだろうな。皮鎧には使えそうにない。魔石は優秀な素材になりそうだから、特にいうことなしだが。


「誇らないのか?ほれ、見てみろ。あの熱狂ぶりを」


 赤い、深紅の髪を揺らしながらティーナが聞いてきた。ふと、耳を澄ませば歓声が聞こえてきた。正門に配置されている衛兵や冒険者たちによるものだろう。


「ええ、まだ異変は続いているので。事の発端であるバンパイアの一派を仕留めなければなりません」


 まだまだ小手調べ、盤上の駒の一つを潰しただけだ。油断はできない、敵の隠し札がないとも限らないのだから。


「私の従者、それも皇帝の勅命なのだから、ため口でもいいのだがな」


「誰とも分からないものに見られているとも限りません、お戯れはお控えください。アルテミス殿下」


 どうにも、僕との身分差を舐めている嫌いがある気がする、扱い的には公爵子息にも劣らないができないこともあるのだ。同年代の跳ね返りもあるから、迂闊なことはしたいくないものだ。


「儘ならないものだな、何事も」


 自らの龍角を触れ、帝城の方を向いてそういった顔はどうしようもなく愁然としていた。なぜだろうか、気付けば剣を戻してこう言っていた。心の向くままに、軽い調子で。


「全くです、ダンジョン行きも中止でしょうしね」


 ぱっと、驚いた様子でこちらを見る彼女をよそに術式の管理に目を向け、大狼の体をアイテムボックスにしまい込んだ。無性に、揺さぶりたくてしょうがなかった。慣れた言葉で、慣れた通りに。


「ふっふ、あははははっ」


「フフフフフ」


 小さく、小さく二人で笑い会った。私の意地悪と、彼女の驚愕を。戦場で、和やかに。


――――――――――――――――――

 SIDE:【龍皇帝】ロンダム・グロム・イスタール


 侵略者のうち、大きな者が、我が娘の従者の手によって散った。それはどうやら、帝宮を住みかとする貴族たちには驚くべき知らせだったようだ。


 目まぐるしく、人員が動いているのを感じるし、それが滑稽でたまらない。ポーカーフェイスが崩れてしまいそうだ。


「どうかなさいましたか、陛下?」


 第一皇妃、ルーナが零れた笑みに訪ねてきた。そうか、漏れていたか。


「何、我が眼に狂いはなかったと、そう思っていただけのことさ。あの少年は、今だ諦めてはないなのだ」


 どうにも、私は腹芸が苦手だ。昔から感情だけは漏れてしまう。そのことで度々、貴族たちを揺さぶっているようだ。上位種である我の感情は威圧にとって代わり、彼らには毒のようだ。最も、真に忠誠を誓うものに効果はないはずなのだが。


「面白くないかね?我が息子たちを差し置いて、彼を評価することが」


 私にとっては面白くてしょうがないのだが、上位貴族出身の第一皇妃たる彼女からすればつまらないことなのだろう。エルカミス伯爵家は代々法務省を運行し、尚且つ暗部を有するからな。他の貴族家からのヘイトはひどかろうさ。


「ええ。アドールは皇太子に指名されたとはいえ、未だにその座を奪おうとするものもいますから」


 そうならない為に、彼を重用しているのだがね。今の状況では、アルテミスは爆弾だ。どうにも、皇族のというのは生来権力争いから逃れられない運命にあるらしい。


「兄上や、妹たち、姉弟たちは静かにしているというのにな。我が子達ながら、活発なものだ」


「陛下がそうさせたんでしょう?彼らはよく、ボクに恨み事を言ってくるよ」


 黒い髪に、真紅の角、アルテミスの母である第二皇妃、アルナが薄く笑いながらやってきた。


「あらあら、平民出身の貴女に彼らの思いがわかるのかしら?」


「あははは、キミには相談しずらいのだろうさ、何せ高位貴族だからねぇ」


 ルーナは西方高位貴族ダリアス家の分家出身、アルナは平民からの発現した龍人族(ドラゴンニュート)であり、もと最高位冒険者。周囲の空気が凍り付いたのを感じたが、特段仲が悪いわけではない。


 誤解されがちだが、これは挨拶のようなものだ。私が小さい頃からこんなもの、半ば挨拶化しているだけで、軽い煽りあいといったところだ。


「ご、ご報告でありますっ!敵、残存勢力五十パーセントでありますっ!」


「ふむ、騎士団を含め、上位兵を出さねばこんなものか」


 下級兵の鍛錬の爪が甘いな、あとで鍛えなおしの命を出そう。


「陛下、聖者就任式のために招かれた来賓も居りますれば、早くの解決が望まれると思われますが」


 最近は、危機感の無い物が多いものだな。自ら総大将に名乗りを上げたと思えば、この程度で音を上げる。いささか、事態を軽く見ているのではあるまいか。貴族というには、情けない。


「ふむ…ではこれより二時間、状況の改善がみられぬようであれば。騎士団の出陣を許可しよう」


「ははっ!」


 二時間、この時間でどこまでできるか。見させてもらおう、二重の意味でな。

………今日でストック切れるっていうね。

 いつも通り、毎週月曜六時更新になりマース。


 あと、ポイント下さい定型文出さないと基本貰えないっていうの本当なんでしょうか。どっかで目にしたっきり、頭の中にいる……

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