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三十話

 龍器は銃の操作の邪魔になるので、僕を追従する様にして空中に放る。


 防御面が疎かになるので、防御結界とバフを自立支援モードにした龍器にかけてもらう。


 コレで、Bランクのシーカーの冒険者と同じくらいの耐久性になったはずである。ヨルムンガンドの攻撃力からすれば、紙切れ同然だが。


 弾を装填し、魔力回路を一応呼び出したティルフザールに接続する。最近の活躍は専ら魔力タンクだ。


『準備は終わったかね?態々待ったのだ、先程と同じ様では困るぞ』


 退屈だと、本人を前にして何事でもない様に口にするヨルムンガンド。


 やはり、煽られている。場を盛り上げたいのか、単なる挑発なのか。


 何時までも下手に出るのは尺なので、先ずはド肝を抜く所から始めよう。


 貫通弾をセットし、内部に爆発術式を刻印。強固な鱗を貫けそうに無いので、貫通方式は空間ごと貫くというコスト高めな方法。


 弱点としては、空間遮断を貼られると、面倒だと言う所か。


「今度こそは、ご期待に添えると思いますよ?〈スパイラルショット〉」


 貫通強化の効果に熟練度を全振りした〈スパイラルショット〉を放つ。


 因みに、試射した時に、連射力を求める僕的にはボトルアクション式が合わなかった。そのため、三連バーストに換装済みだ。発射機構に影響が無いように全てにの魔導術式機構を書き写すのが辛かった。


 小さな槍と化した三発の弾丸は一秒も経たずに、余裕綽々と空中に居座るヨルムンガンドへと至る。空からの攻撃は私の特権だ。返してもらおう。


 巨躯に比較すれば極小という槍は、確実にその効力を発揮し……


『ぬぉ!!』


 強固な鎧を突き破り、山と比較しても劣らない大蛇を荒野に叩きつけた。


「如何ですか?魔力と物理法則の融合発射機構によって生まれた魔導弾」


 先程煽られた仕返しを行うと同時に、一万程の魔力を過剰に込める。


『侮りおって!だが、昂って来たぞ!』


 再度浮上し、此方へと咆哮を放とうというヨルムンガンド。咆哮の指向性を上げ、ショックウェーブを多重に発生させるという魂胆だろう。


 しかし、読めている。上空からの攻撃は地下への抵抗法が無いと言っても過言ではない代わりに、地上への適性が高いのが良いところだ。引き付けて、引き付けて、隙だらけになった口腔を…


「〈ヘビィショット〉」


 狙い撃つ。今回の銃弾も先刻と同じ()()()()()()付き爆発術式。体の中ぐらいは柔らかいと信じたい。


『そう何度とも聞かぬわぁ!!』


 と、思っていたのだが、咆哮と相殺されたかな。外見的な効果は見られない。うむむ。やっぱり防御術式相手じゃ、専用の術式を作成しないとまともに通らないか。


「事前準備さえしてあれば、連射出来るのが銃の利点ですね〈アクィラアルマ〉」


 〈アクィラアルマ〉の効果は自動追尾の貫通弾と固定ダメージ。持久戦には持って来いな武技アーツである。最長クールタイムは約三分と攻撃手段としては長く、代わりに効果時間が1分程。この間に撃ちまくれば十分黒字だろう。


 過剰に込めた魔力を全て武技アーツで強化された弾丸に封入。相手は根本的には魔導生物。魔力そのものが存在、すなわち魔力を攻撃で対消滅させる魔力属性の攻撃に弱い。


 物理攻撃は武技アーツに任せ、魔力属性によってさらなる損傷を狙う。どうしても、僕だけ消耗戦にならざるを得ないか。

 

 先程までの苦戦はなんだったのか、そう思える程に順調に事は進んでいる。


 が、この程度の攻撃で死ぬような存在では無いので、攻撃を苛烈に変えていく。

 

『ククク……嗚呼、手抜きとはいえこの我が圧倒されようとは、あの雷の戦士以来か』

 

 やはり、手加減されていたか。

 

 初撃の咆哮で死んでいない辺りでおかしいとは思っていた。

 

『では、手を進めるとしよう』

 

 何時までも監視役に仕事をさせるのは可哀想である、自らの義務に付随する仕事を思うヨルムンガンド。

 

 余裕は未だに崩せずにいるのに対し、僕の消耗は約二割。ヨルムンガンドは一割削れていい所。

 

 ここからが、正念場だ。

 

 ――――――――――――――――――

 

 正念場。その判断は正しかった様だ。

 

 目の前に襲い来るのは無数の水で出来た蛇の群れ。そして、地上からも巨大で、的確に僕を狙う蔦や飛び交う葉。

 

 その程度であらば、範囲攻撃や貫通攻撃なりで解決できる問題なのだが……

 

 ブォンブォンと風切り音を絶え間なく立て続けていた蔦が、地上のヨルムンガンドの背に聳える巨木に引き戻されていく。

 

「来ましたか」

 

 空中では敵わないと悟ったのか、地上から長い首を擡げて僕を照準に合わせる大蛇。

 

 『喰らえぃ!』

 

 吐き出されるのは大音量の咆哮などではなく、禍々しい紫苑に染まった光線。

 

 横ではなく、横な斜め前に避け、ヨルムンガンドに近づく様に移動する。

 

 距離を詰めながら、視界の端を横切った水蛇を観察すると、透明が形を取ったような体が紫色に起きかわっていた。

 

 そう、問題点はこれらの攻撃全てに毒を伴う点だ。

 

 何度か被弾した際、確かめた毒性は極めて高かった。

 

 予め毒の効果をある程度減衰させる術式を発動したのだが、本当に発揮したのかを疑う程である。

 

 その程は一滴につき、四肢一つに及び、手始めに痺れ始め、三秒後には紫色に肌を染め始める。

 

 まぁ、試しに放ったウッドゴーレムの様に、全身が腐り、崩れていくよりはマシなのだろう。 

 目前に迫ったヨルムンガンドの顔面を角目がけて三連射。

 

 顎下は狙わない。毒ブレスを返せば状況が好転すると考えて一度強制的口をとじさせたが、平然としていた。

 

 その為、術式の媒体になっているであろう角を狙っているのだ。

 

 ヨルムンガンドがブレスを吐ききった時、待ち構えていた水蛇と蔦の猛攻、葉による弾幕が再開された。

 

 クロノクルスの弾丸をものともせず、命など知ったるものかという水蛇の突進を弾数にものを言わせて突破。

 

 蔦は感知した時点で回避行動をとる。万が一取らなかった場合、百舌鳥の早贄が如き惨状に早変わり。

 

「もう三百と避けましたが、目の前を毒物が貫くのは怖いですね」

 

 出来れば、封印の準備に入って、【救恤乃大聖天】を出したい所だけど……呪いがこっちに干渉できない代わりに、僕も封印に干渉できない様だ。

 

 つまり、この高密度の弾幕を掻い潜り、大ダメージを与える必要がある訳だ。

 

「〈スパイラルショット〉」

 

 何を思ったか、蔦の背後に大量の水蛇を配置して蔦とのコンボをしようとしきたので、その囮を無視して本命であろう背後から光学迷彩を付けたヨルムンガンドの無防備な喉を滅多撃ち。

 

『ぬぅ。この程度の小細工では効かんか』

 

 その後、囮の蔦と水蛇にも威力重視の弾丸を浴びせる。で、更なる問題は飛び散った木の葉の欠片やの水蛇の残骸に毒性が未だ残っている点。

 

 そして毒はどうやら気化しても効能を発揮する様で、葉っぱ弾幕を処理する為に出したファイアゴースト系の使役体が一瞬で溶けた。

 

 のでので、毒を以て毒を制すのなんとやら、メタルイーター系の獣の原始に能うトカゲ系統の突然変異種の亜竜化個体蠱毒亜竜(ドラゴガイポイズン)を僕の血を媒体にして個別召喚て呼び出す。

 

 喰った毒を自分の中で合成、進化させる亜竜。餌も毒で良く、コストパフォーマンスも悪くない。

 

 この停滞した戦闘に変化を招くといいのだけど。

 

 

すまん、テスト期間なんじゃ

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