表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/50

三話

ええと書いている途中で重大設定の矛盾に気づきまして、二話の一部を書き換えました。

具体的には時司君が寝る前ですね。ご手数ですが読み直していただけるとストーリーがわかりやすかと思われます。あとイーミールの寝る前の次に起きる日を普通に間違えました。

 雲一つない晴れ晴れとした青空、そこはほのかに磯の香りが漂ってくる。海幸高校の屋上である。普段なら四、五人ぐらいの人がいるが今日は人がいない様だ。例外として、彼らを除いて。


「よし、ちゃんと効果は出ているな」


「えっと、なにをしたんですか清興くん?」


「なに簡単な人払いの結界術だよ」


「時司くんの異能って結界系統ではないですよね?」


 そう異能は名前や自身の行動などに関係するる事が多く、時司もそれに当てはまる。当然の疑問をフォローするかの様に、包み隠す言葉を時司と響也が言う。事実、彼等の顔を若干困っている。


「そこに関してはあまり気にしな事だよ進藤さん。時司くんは術に関係するなら滅法強いからね。」


「そう思っているのが一番良い事だよ進藤さん。世の中には知らなくても良い事もある。」


「えっあ、はい。二人がそこまで言うなら」


 上手く隠せた事に時司が少し笑いながら言う。強引過ぎたのでは……?と顔を引き攣らせるのは日比谷である。


「進藤さんはその中でも割と面倒になる事を知ってしまったんだけどね。その前に質問だ、進藤さんは異能でどこまで知ってしまったかな?」


「一年後にこの世界で行われる戦いで勝たなければ、この世界が滅んでしまう事だけです」


 笑みを消し、三秒程考えた時司が一つの答えを出す。その顔は決意に満ち溢れている様で、その実、下唇を噛み締めている。


「そこまでか、じゃあ間違った考えが出ない様に、真実を教える事にしよう」


 彼は少しずつ語り始めた。彼がこんな馬鹿げた話をなぜ信じているのかを。


 それは彼が十三歳、つまり三年前に遡る。


 ――――――――――――――――――

 中学一年とは、殆どの異能が覚醒する年代である。異能は名前や行動によって影響される。小学時代、時司少年が考えた事とは一つだった。


(僕の名前は時司、時を司ると書く。そして異能は名前や行動に影響するらしい。このまま成長すれば、加速能力になるかも知れないらしい。)


(それではつまらない。死んでしまった両親の為にも、もっと誇れる人にならなくちゃ)


 時司の両親は時司が自我が芽生える直前に亡くなってしまった。


 両親の保険金が降りて時司は子供が持つには余りにも多いお金を得たし、そのお金を狙う様な親戚に預けられた訳でもない。


 なぜ小さな子供である彼をなぜここまで自分追い込むのか、既に成績は学年一位だし、運動能力は中学生を追い越す程であった。


 それでも尚追い込むのは両親が時司に良く言い聞かせていた"誇れる人になりなさい"という言葉を、この約束を守るため。


 現状に満足しない彼が求めたのは【異能】今の行動が【異能】に影響するのならば、いくらでも高める事ができる筈だと信じて。


 そう考えた彼は少しでも情報を集めた。あらゆる事を試し、疑った。効果のあるか分からない聖地巡り、オカルト、過去に焚書にされた本、禁書や販売停止された本。


 そんな中で彼は気付いてしまった。【異能】の正体を、なぜ今更、こんなにも人類が増殖し切った現代に現れたのかを。


 それに気付いたのは中学一年。その後、彼は昔の修行法やおかしな事件を探して、修行法を未だ継承している一族などに会いに行った。


 そして十二人の少年少女を巻き込んだ大きな事件をきっかけとしてに彼の挑戦は終わりを迎えた。


 それは中学二年の春頃の話である。やるべき事を終えた彼は自堕落に娯楽に溺れてながら過ごしていた。

 ――――――――――――――――――

 ある日少し不機嫌だった俺は何気もなく空を見上げる。もう既に俺は海上都市海幸に移住しており一人暮らしを始めて五ヶ月が経っていた。


 既に見慣れた空、飛行機が飛び、人工衛星が多数飛んでいるのが見える。最早人類が作成した電灯によって星は俺の実力を持ってしても目を凝らさなければ見る事ができない。


 そんな中に異物がいた。明らかに異物、この世界に大量に魔力が込められた物はそうそう存在しない。十二使徒(俺たち)が態々時間をかけて作らなければ。その作業も地球外にいても、いやこの空間にいなくとも感知出来る。


 その異物はこの世界そのものを見る様に飛び回っていた。なるほどね、俺が不機嫌な理由はこれか。じゃぁ捕らえるか。


「ディメンションバインド」


 空間に捕らえられたそれは、理解ができないと必死に拘束を解こうとしていたが、空間ごと移動して俺の手元に来る頃には抵抗すら止まっていた。魔力の割には性能が低いな、かなり手加減したのだが。

 ――――――――――――――――――

 で、十二人全員で話した結果。明らかに異世界の使い魔か何かとゆう結論に至ったので、俺たちの役目はあくまでこの世界の守護なわけで警察ではない。


 なので上司(管理者達)にぶん投げた、もちろん拘束術式はそのままで。数日後上司から連絡(神託)が来た。


 曰く異世界の天使だそうで、とりあえず返しに行ったら、いちゃもんつけられて宣戦布告を受けたらしい。うん?訳が分からん。


 まぁ、それから守るための十二使徒だから、仕事はするつもりではあるけどね。そしてあの計画(LIO)を早めることにしたらしい。宣戦布告を受けた現状だと早めた方がいい計画だからね。

 ――――――――――――――――――

 ……とまあこんな風になぜかあちら側が一方的に戦争を仕掛けてきたからこちらが対応した形だよ」


 彼は原因を何でもないように言う。


「なるほど、そんなことが………ですがその話は余りにも根拠がない事が多すぎです。まるで急いで作った物語ような、そんな風に見えます」


「そうだね、だが俺たちも正確に物事を認識できていない以上、仕方ないことだよ進藤さん。いま出来る事といえば戦力を蓄えることだからね。幸いあの世界(LIO)で得た経験やリソースは持ってくることができるから」


「そう…ですか」


 進藤は納得したような、しようとしている様に考えながら屋上から去っていった。時司はその後ろ姿を何か思案しながら見つめていた。


「案外優しい対応をしたね時司くん、他の人たちならその場で排除するなり、記憶を消すなりするだろうに、君の場合なら記憶を消すのが手っ取り早いのに」


「俺が優しい?そんなわけないじゃないか、あちらで第二皇女の権力が欲しいだけだよ、ただそれだけのために彼女を巻き込んだ。ただそれだけのことだ響也」


「へ~、そうとは思わないけどね、そうそう時司君はLIOでどうなったんだい?結局ここまでそれに関しての情報交換をしていないよ」


「そうだな………

 ――――――――――――――――――

 時間は進んでLIOの中、僕は考えていた。僕の使役系統術の完成には死霊魔術の術式が必要だ、だが教本があったか?術式は覚えてるから作ることはできるけど、スキル補正とジョブ補正を受けられないしなぁ、聞いてみるか?いや歩けるようにはなったから一人で書庫に行くとするか。サーラが起きている時間ではな


「「……」」


 デジャブな気がします!だがサーラは職務時間外なはずだが。しかも早朝一時だよ!


「あー、サーラ?この時間は仕事の時間じゃないはずだけど?っていうかいつ寝たの?」


「イーミール様、私にも龍の血をが流れているので一日ぐらい寝なくとも平気ですよ。」


「そうだけどね、けど反動があることは忘れてはいけないよサーラ。あくまでも貴族(僕たち)は人間なのだから。だから今日中に一度昼寝を挟むようにね」


「そこまで心配なさらずとも大丈夫ですのに」


 そう龍の血が流れているといえど僕ら貴族は龍人(ドラゴンニュート)ではない。なので少し無理ができて、その反動で睡眠必要時間が長くなる。龍の血が濃ければ濃いほど、無理の幅が効き、必要時間が短くなるらしい。


「朝食までかなり時間がありますし、お風呂に入ってしまいましょう」


「そうだね、そういえば家の書庫に死霊魔術に関する本ってあったかな?」


「あったかと、先々代の嫡子が廃嫡された理由が死霊魔術に傾倒しすぎたことが理由らしいですから。そんなことがあっても、本や嫡子が書いた研究ノートを捨てないあたり魔術師の家ですね」


 なんで廃嫡されたんだその人、エルカミス家って魔術師の家だぞ。


「じゃあ朝食まではそれを読むことにしようか」


「その前にお風呂ですよ」

 ――――――――――――――――――

 何事もなく風呂から出ると、とりあえずサーラを寝かせる、膝枕で。


「イーミール様、別に寝るだけなのですから膝枕ではなくともいいではありませんかぁ!」


「おや?一昨々日(さきおととい)にやり始めてから、二分で寝たのはどこの専属メイドかな?」


「うぅ、それを言わないでください」


 あぁまた顔を隠してしまった、もう少し見ていたいのに。まぁいい、まずは死霊魔術に集中しよう。

 死霊魔術がなぜ使役系統の完成に必要だと考えるのは。死霊魔術の使役術式が、召喚術の使役術式と異なる物だからだ。死霊魔術は短期召喚もあるが、その本質は生贄を使用し、死霊を宿らせる、死霊憑依術式である。正確に言えばもっと長くなるのだが。その使役術式を簡単に言えば術者と使役体を繋ぎ、術者の言葉を呪言として使役体に命令を出す。そうあくまで命令であり、使役体に高度な自我があるのだ。まぁ使役体は抵抗もできるので暴走なんてものもあるのだが。知識量はもともとあるからからな、そろそろか。※魔術系スキルの取得はPCの知識と実力での一回の術式発動が条件です。


死霊短期召喚(レイスショートサモン)指定(ダズアグネイション)〈レッサーフレイムレイス〉」


『ファァァァ……』


 よし、できたな。魔力がなくなるまで燭台の火と同化させておこう。


 《死霊魔術を取得ました》


 じゃぁ、少々無理やりだが使役術式の改造をしようか。寝ているサーラのために考え事は頭の中で。

 赤面したことを隠すために顔を隠したまま眠ってしまうとは、可愛らしいことだ。

(現在の使役術式を放棄、加えて疑似精霊によるスキルの接続を解除、錬金術、死霊術、召喚術、従魔契約術の四つの完全融合術を構築開始。錬金術式の物質改変術式と魔力物質内注入術式、錬成術式、融合獣(キメラ)錬成術式、召喚術式の魔力体構築術式と疑似精霊構築術式、指令伝達術式、高自我保有体支援術式、憑依召喚術式、従魔契約術式の個体契約術式と使役体間思念伝達術式、高魔力保有体限定使役術、死霊術式の死霊選定術式と死霊招来憑依術式、生贄因果分析判定術式、生贄魔力改変術式、生贄体改変術式、術者使役体間接続術式を融合。作業分割。

 物質改変術式、魔力物質内注入術式、錬成術式、融合獣錬成術式、魔力体構成術式、高魔力体限定使役術、生贄魔力改変術式、生贄体改変術式、融合化。命名「使役体構成改変術式」

 疑似精霊構築術式、憑依召喚術式、死霊選定術式、死霊招来憑依術式、生贄因果分析判定術式、融合化。命名「死霊疑似精霊化憑依召喚術式」

 指令伝達術式、高自我保有体支援術式、個体契約術式、使役体間思念伝達術式、術者使役体間接続術式、融合化。命名「術者使役体間思念指令伝達術式」

 術者使役体間思念指令伝達術式、死霊疑似精霊化憑依召喚術式、使役体構成改変術式を接続、使役術式を完成、全使役系統魔術スキルの召喚術式、使役術式と交換)


 ん~疲れた。三時間もかかるとは現在時刻は五時、朝食にはあと一時間。少し眠るとしよう。

 あとレッサーフレイムレイスは一時間ぐらいで魔力がなくなって、崩壊した。

 ――――――――――――――――――

 肩を叩かれて目が醒める。どうやら朝食の十分前の様だ。


「イーミール様、起きてください」


「今し方起きた所だ」


 サーラが僕の膝の上に座って僕の肩を叩いたらしい。


「では、行きますよ」


 ん〜、精神的疲労と空腹で頭が回らないな。

 ――――――――――――――――――

 うん、朝食食べて頭が回り始めたな。

 今日は剣術を兄上に教えて貰う様、朝食の時に頼んだ。中庭でやるらしいからもういるんだけど。

 その前に少し魔術の実験もするけどね、兄上に試したい魔術があるからそれを作って待ってるか。

 僕が術式を組み始めで三分ほど経つと兄上が来た。ちなみに術式は組み終わった。


「アレクが剣を使おうとするなんて珍しいじゃあないか」


「僕にも色々とありましてね、恐らく学院ではアルテミス殿下の近くにいる事になりますから。少しぐらいは使えていた方がいいかと思いまして」


「なるほど、第二皇女殿下かお前は幼馴染だったな、ならば必要だな。それに皇族の方々が見るならば厳しめにしなければ」


 おや、ちょっと要らない発言だったか。明らか兄上のやる気というか、使命感が増えたぞ。初歩を教えて欲しかったのに。


「確かアレクは殆ど剣に触れる事がなかったはず。ならば初めは素振りからだ、俺が見本を見せるから、それをゆっくり振ってみろ」


「はい」


 こうなった兄上は止まらない。従っているのが、剣術的にも、僕のためにも良いだろう。

 ――――――――――――――――――

 素振りを一つの型毎に指摘を受けながら百回ぐらいやった所でお昼となった。


「午前中はこれぐらいで良いだろう。しかし覚えはいいな、覚えは。」


「問題は振る筋肉がない事ですね。細剣(さいけん)ならば振れそうですね」


「アレは刺突が基本だからな、戦技(アーツ)も使いやすい物が多いが、攻撃を受ける事には向いていない」


「受け流しですか、流石にそこまでの技術を覚えるまでの時間はないですから、普通にを長剣(ロングソード)使う事にします」


「それか良いだろう」


 ※ここでの長剣は某二刀流の人が普段使いしている黒いアレぐらい長さと太さ。なんでアレが細剣扱いなのか僕には理解できん。


 そんな事を話していれば、サーラが昼食を持ってきた。我が家は基本的に家族が一同に会して食事をするのは朝食と夕食だけである。

 サンドイッチだ、ここにも居たんだサンドイッチ伯爵。


「食べたら再会しようアレク」


「そうですね兄上、帝都に行くまでにはある程度形にしたいですから」


 ――――――――――――――――――

 午後は対戦形式だった、態々騎士を数人呼んできた所を見るにどれだけ本気で扱こうとしているのがわかる。


「見て分かると思うが、ここからは一本先取の対戦形式だ。俺も参加するからなアレク」


「魔術使っちゃダメですかね兄上」


「ダメだ、と言いたいが補助魔術なら良いだろう」


「それならばギリギリ勝てそうですね」


「まぁ、お前の魔術の腕ならばそうだろうさ」


 この会話で後ろの騎士達の戦意が上がった気がするが、気にしない。とりあえず補助魔術はアレを使うか、必要なのは勝ちではなく、経験つまり理解力だ。少し観察してもらって教えて貰おう。


死霊憑依短期召喚レイスプザッションショートサモン: 指定(ダズアグネイション)〈ソードマンレイス〉対象〈自分〉」


『アァァァ……』


 呻き声を上げた死霊剣士くんは僕の体に入って行く。


「何をしたアレク?」


「大丈夫ですよ、自分で戦いますし。やって貰う事は筋力強化と速力強化、戦闘の観察、そして評価です」


 丁度良く、帝国出身の死霊がいてよかった。さぁ準備は完了だ。

 ――――――――――――――――――

 一人目、僕が前衛ジョブでは無いとはいえ、棒立ちは油断のしずきである。次


 二人目、さっきの戦いを見ていたのか、しっかり剣士相手の戦い型だったが、戦技をすぐに出してはいけない。戦技の使用後は硬直時間があるのだ。次


 三人目、レイピアを使った刺突特化、突きの構えが分かり易すぎるので、いつどこに攻撃が来るのか分かってしまう。技を多彩にするか、避けられないいくつかの技を作るかに絞った方がいい。次


 四人目、双剣使い、舞う様に戦う事で一撃離脱を繰り返すタイプ、だがリズムを読んでからはいつ攻撃するか分かる様になるので、少しずつ崩しながら舞うのが良いだろう、基本に忠実すぎる。次


 五人目、兄上、見ていて分かる通り剛剣が特徴、ゆえに受けずに避ける。避けつつ攻撃しようとした所で腕に兄上の剣が当たった。負け、一周した。次

 《剣術を取得しました》

 ――――――――――――――――――

 五周ほどしたら兄上が騎士達を入れ替えた。

 何回やるつもりなんだ……


 多分皇族に見せても問題ないぐらいだろうなぁ。そもそもアルテミス殿下って剣術が上手いから、見る眼も良いと思うんだが。最悪、死霊に体の操作の補助をして貰ったらいいし。

 ――――――――――――――――――

 空を見上げると夕方、それを見た兄上が言う。


「今日はこの試合で終わりだ、アレクも見せろと言われたら見せられるレベルにはなったしな」


 どうやら最後の試合は兄上の様だ、そうだアレを試して良いだろうか。


「兄上、最後に剣に関する魔術を使って良いですか?」


「剣か、なら良いだろう。」


 やった!殆ど初見殺し、いや初見でなくとも対応は難しいだろうけど。兄上にはこの術式のじっけ………練習相手になって貰おう。


短期錬成召喚ショートホォーマリゼイションサモン:生贄(サクリファイス)〈魔力〉指定(ダズアグネイション)〈インテリジェンスロングソード〉さて兄上、一度言った言葉は違えませんよね?」


 現在、僕の後ろには5本の長剣が剣先を下にして浮いている。そして長剣達を指揮するのは僕に憑いている死霊剣士くんだ。術者使役体間思念指令伝達術式作っといて良かった。喋れない個体でも使役体間でも通話的なのが出来るから、こんな連携が出来るし。


「流石にこりゃあダメだろ」


「これも剣ですよ?ただ少し剣が増えるだけですよ。ね?」


「分かった分かった、やってやる。だがその代わりに手加減は無しだ」


「ふふ、どこまで兄上を追い詰められますかね?」


 さぁ死霊剣士くんに少々魔力を注ぎ込んで、制限時間を伸ばし、制限していたスキル補正をして貰う。死霊剣士くんはやって貰う事が多いので支援術式も展開。


「行くぞ」


 その一言で兄上が突っ込んで来た。さっきはあまり動かなかったので、アレが手加減なのだろう。上段からの袈裟斬り、避けはしない。剣二本を使い止める。その間に僕が腕狙いで横薙ぎ。残りの剣二本は首狙いで操作を死霊剣士くんに預ける。一本は恐らく後ろに避けるであろう兄上の足狙いで放つ。

「バックステップ」

 予想通り横薙ぎを避けて後ろに後退、が足狙いの剣はあろうことか足で蹴られて折られた。本来は折れないから気功も使っているのが分かる。戦技使用後の硬直を狙い、走って切り上げ、他二本は時間差で振り下ろし。

 切り上げは避けられ、振り下ろしは受け流されたが、死霊剣士くんの二本が攻撃したが。

「【ハウル】、おおおおおぉぉ」

 ハウルか、本来は魔物の挑発などに使う戦技だがこんな使い方もあるのか。剣達が吹っ飛んでいったから追撃しづらいな。そんな事考えていると兄上が振り下ろしの準備動作に入っている、鍔迫り合いを狙うか。

「ハァ!」

「ゼィ!」

 こっちが押されてるな、しかも動こうにも剣がズレたら当たるな。

 じゃあ、引きながら切り払い。考える事は同じか、相殺したぞ。このまま一本で続行するか。

 ――――――――――――――――――

 横薙ぎ、避けてから首狙いで【飛斬】。避けられるが硬直時間内に追撃無し。切り上げ、振り下ろしを当て、軌道を曲げる。続けて振り下ろし、剣で受けつつ左に動く。てか兄上気功使ってるから僕が腕力差で負けるな、どうしたものか。


「戦闘中に考え事とは余裕だなぁ!」


 踏み込んでからの横薙ぎ、避けるのは難しいので、術式に使っていた魔力を右手に集め、一時的に筋力強化をして弾く。そしてそのまま振り下ろそうとしたら首の前で兄上の剣が止まってる。


「俺の勝ちだな」


「いいえ、僕の勝ちです」


 兄上の後頭部に、一本の剣が剣先を向けている。初めに折られた剣である。戦闘中に魔力を送って直したのだ。ギリギリで修理出来て良かった。


「引き分けだな」


「勝てると思ったんですがね、あと一手足りないですか」


 稽古はこれで終わりになり、礼儀作法の授業を母上から受けて今日を過ごした。

 次に起きるのは三日後の朝だから、丁度馬車に乗る事が出来る。寝たまま乗るのは格好が悪いからな。

皆様累計100PVを達成する事が出来きました。本当にありがとうございます。これからも頑張って行きたいと思います。

何も脈絡は無いのですが、先週投稿出来なかった事に申し訳なさが凄かったので、来週中二回投稿します。

帝国貴族は龍の血があるので成長が早いです。なので十三歳でも十六歳ぐらいの体格してます。なので長剣を振れます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ