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十八話

アルテミス殿下との剣術対決を終え、従者としての書類仕事を『鴉』の報告を聞きながら片付けた。


未だに第三皇子(バカ皇子)殿下を馬鹿足らしめる考えを吹き込んだ不届き者は見つからないらしい。


……昔はまともな家族思いの良い人だったのに。


本人が考えたのならば、全力を尽くして消し飛ばすけど。


「残るは巫女の周囲のみ、か」


「ボクの部下が手当たり次第に帝都周辺の農村を探っているけど、何一つ痕跡がないね」


『鴉』の第三席【十代目青鴉】炉六鞍馬(くらま)が答える。彼女は『アシスライズ』でも有数の変装の達人であり、二丁拳銃の使い手だ。


現実は小柄な少女の格好をしている。一番よく見る姿だ、装備は完全に諜報隊員のそれだけど。


「巫女にしては、出身地で騒動が無さすぎる。やはり偽情報を掴まされたか」


「どうやら、その子が住んで居た噂すらない様だからね。少なくとも、騎士爵領地から帝都までの土地には住んでいなかったと見ていいと思うよ」


巫女は全人類種に一人ずつ、精霊に見放されない限りは一世代に一人存在する。


丁度、十三年前に先代の巫女が亡くなり、現在も捜索が続いていた。だかあろう事か、皇族の一人が秘匿していたというね。


現在の出身地特定作業が何故農村で行われると言えばわ、貴族と平民の数の都合上、圧倒的に多い平民の方が巫女は現れやすいからだ。歴代の巫女の大半は貴族と何の輩もない人物の方が多い事から、わかる事だ。


何故騒動が有るか、無いかで判別するのかといえば、巫女としての精霊に好かれる資質によって精霊に願い事を行って噂話の広がりやすい農村で話題になる事が大多数の巫女発見の糸口となるからだ。


帝都はノーラナス山脈の東端と南部から流れる川、西に流れるノーレル川と東北に流れるノーテ川の二つとノーラナス山脈によって書かれる三角形の中にあり、帝都を中心とした半径四百キロメートルを皇族直轄地に。その他の三角形の部分に騎士爵領地を詰め込んだ配置となっている。


「ノーラナス山脈側の隠れ里に住んでいた可能性もあるか」


「あの辺りの人達は早々子供を外に出さないよ、出したら魔物に喰われてしまうからね」


あー、シンリアがピクニックに行く様な軽さで行くもんだから魔物の強さが僕の中で勝手に下方修正されてるのか。


「何しても、情報が足りない。当分は情報収集だ」


「リョーカイ。そうだ!総隊長って銃士になったんでしょ?総隊長の銃見せてよ!」


プライベートになった瞬間テンション高いな。別に見せて困る物でも無いから、見せるけど。というより、何処から僕の情報を手に入れたんだ。


「小銃だから、君の戦闘スタイルには合わないと思うよ」


「いーのいーの。単に総隊長が使う銃に興味があるんだ」


そう言った彼女は僕のベットに飛び込み、クロノクロスをあーだこーだと弄くり回し始めた。銃弾が入っていないので『五重不知火』が起動しなければ大事には至らないから、好きにやらせておこう。


……指輪の素材作りますかね。思い立ってから随分経ったけど。


先ずは封約の白銀を作る。抽出機に封止の朱炭と封鎖獣の針をセットし、エッセンスになるまで待つ。


その間に白銀素材と水晶素材、金素材を練金道具、錬金炉で溶かす。今回は白夢の白銀、厄秘の花水晶、火天の日金だ。全て材料は同じ量だ。


エッセンスが出来たら霊薬『石喰み』と攪拌機で混ぜる。そこに約束の白百合の花弁と背約の黒百合の花弁を乾燥粉末にした物を加える。


出来た液体と錬金炉から取り出してカエルの皮膜で出来た袋に入った液状の金属を練金道具の練金釜に入れる。


火を大火知樹の枝で付けたら、抗熱猪(アンチヒートボア)の牙で作った棒で掻き混ぜる。


液体と金属が混ざり切ったら、僕謹製の契約術式〈淵理(えんり)なる契約〉を金属に込める。


できたら、僕のサイズに合わせた指輪の型に流し込む。勿論、〈液体操作〉の魔導術式を使って。あんな熱いのバケツに入れて持つなんて出来ないからね。


余ったら半分をナゲット状に、半分はティルフザールの魔銀の輪のコーティングに使う。


コーティングといっても、刷毛は使えないので〈液体操作〉で均一の厚さに伸ばすだけだ。


次は宝石の準備。魔導術式を刻む予定なので小さくなるだろうが、大サイズの深青のサファイアを買ってきた。ダンジョンの属性故か、サファイアが【鎔解の火炎】では取れなかったのだ。


抽出機に光属性魔石と白磁の聖銀をかけ、エッセンスにする。


その間に『宵の雫』を作った時に余った『魔力湧き』に〈時間加速〉をかける。


そして、火劣竜王の角から魔力を抜いて魔石化。魔力が抜かれた角に水属性魔石と僕の血を融合させる事で水竜の角にする。一応解析。


[水龍の透蒼角]品質 S

 名も知れぬ水龍の角。その角は透き通り、蒼さは海に匹敵する。水龍の角は強ければ強い程、蒼くなるという。


完成したので、半分に〈空間斬裂〉割る。根元に近い方を薬研で粉にする。


時間がかかる作業になるので、もう半分を深青のサファイアを融合させて置いておき、『魔力湧き』にエッセンスを攪拌機で溶かす。


――――――――――――――――――――

粉々に出来たら、『魔力湧き』とエッセンスの混合液、再び僕の血を混ぜる。角は長さ二メートル、太さ最大七十センチ程有ったので、粉末の方が量が多い為、ペースト状になった。


ペーストを壺に移し替え、その中に水龍の角と同じ色になったサファイアを入れる。


蓋をしっかりと閉め、魔力を中から出さないように結界を張ったら後は時間を置いて完成だ。炉六は既にクロノクロスをテーブルに置いて帰っていた。


……ドア開く音聞こえなかったんだが、どうやって帰ったんだ。


「〈タイムチェック〉」


時刻は十一時、寝るには丁度いい時間だ。


――――――――――――――――――――


作業した日から二日経ち、中身を確認中。置いた壺を覗くと、あるのは中サイズのサファイアと灰色の砂。上手く魔力性質を宝石に移せたようだね、解析。


誓詞蒼深(せいしそうしん)至誠蒼龍玉しせいせいりゅうぎょく]品質 S+

 聖深海属性のサファイア。龍の魔力が感じられ、その内には膨大な魔力が蠢いている。色は魔力の性質故にか、透明度の高い濃い蒼であり水に晒せば見えなくなるだろう。


これだったら本気で加工した方が良いかな?唯の魔導術式じゃなくて、儀式魔導術式を刻もうか。術師の頭数はCCSBとTUSBで揃えられるので、気にするところではない。


問題は触媒(キャレスト)となる術具(オムニス)呪具(カーシス)聖遺物(レッリク)が必要だけど、此処は神殿。つまりは一種の聖域のような物になっている場所なので、代用できる。変質したサファイアの性質上、一番いいのは聖遺物(レッリク)だけどね。


一応聖者なので借り受けるぐらいはできるだろうが、水属性はシスム様の管中ではなく、自然と生命の女神レシア様の管中だ。その為一番サファイアに対して適性が高い水属性の聖遺物(レッリク)を非常時でもないのに借りることは不可能に近い。その他属性の聖遺物(レッリク)では、聖遺物(レッリク)が持つ属性に影響されることが確実なので、抑々候補に挙げていない。


――――――――――――――――――――

チョット侍祭の少年に事情を説明し、大神殿の裏庭を借りられた。特に儀式を邪魔するものはなさそうなので……ちょっと地中確認するか。〈透過波動〉。


……人骨ぅ有るんですけど。半ば朽ちてるから、怨霊がいても殆ど物質界(マテリアル)には干渉できないだろうけど…祓っとくかな。


唯の石に結界の術式を彫った結界石を五角形に置き、結界発動。今回のは〈黄泉の呼び声〉。闇属性の対怨霊結界だ。


「輪廻と静寂の女神シスムが聖者 イーミール・アレク・エルカミスが行使する―――


その瞬間、結界の中に白い光の玉が生じる。およ?〈黄泉の呼び声〉で怨霊に精神層(スピリット)から物質層(マテリアル)に半分存在させる結界だから、見える事は構わないのだけど。怨霊の大半はどす黒い魔力を纏うレイスなんですがね?


「待て待て待てーーー!俺はもう悪霊じゃねぇから!」


「別に退いてもらえれば、祓うつもりはありませんよ?」


事情の説明を願おうか!仮称怨霊くん!僕はさっさと儀式に移りたいんだ。


――――――――――――――――――――

仮称怨霊くん曰く、彼はAランクの槍使いだったそうな。しかし長きに渡る遠征から帰ってみれば、神殿の騎士と恋仲の少女を取らていたらしく。彼女の本音が聞きたい一心で神殿に侵入したとの事。


「で、その神殿騎士(テンプルナイト)に殺されてここに埋められたと」


「不甲斐ないながらその通りだな。今思えば、馬鹿な考えだった」


ほーん、解析。怨霊が完全に改心して御霊に成るとかあり得るのかな?解析の結果次第で研究ざi……被験t……改造手z……配下になって貰おうかな。


解析完了っと、程よい善意と反省、多少盲目的なまでの信仰心。己の過ちを受け止められる精神。ついでに神殿の特性上、魂魄に邪気は一切無し、と。魔力は後々『魔力湧き』の原液を飲ませればいいから、質と量、濃度は無視して良い。魔力性質は光と守護に結界、盾と。


「見事なまでに守護騎士(ガーディアンナイト)向きだな」


守護騎士(ガーディアンナイト)?なんだそりゃ」


聞かれればこう答えるしか無い。


「便利な盾役、かな」


一言で表すなら、の話だけど。実際、回復ができ、槍と言う中射程。尚且つ大きな盾と結界が貼れる。つまり、便利な盾役だ。


「という訳で、君を守護騎士(ガーディアンナイト)として契約しよう。ただ、君に拒否権は無いよ」


「えっ、ちょっま!あぁぁぉぁぁぁー」


そんな叫び声を上げて、〈黄泉の呼び声〉に吸い込まれる仮称怨霊くん。そう、〈黄泉の呼び声〉とは死霊拘束契約結界である!


毎度毎度で交渉とか面倒です。


というか、仮称怨霊くんの素体どうしようか?骨、朽ちかけだよね。魔物の骨浄化してくっ付けるかな。


掘り出すかぁ。


――――――――――――――――――――

仮称怨霊くんの骨を掘り出し、土を埋め直した所で、魔石入りチョークで半径五メートルの円を描く。


その中に上から見ると五角形の形になる様に、五つの円を半径五メートルの円の線の上に書く。


初めに五つの円の中心を線で繋ぎ、星を描く。星の中にある五角形の線に超えない様に円を書き、その中にサファイアを配置する。


全ての円に魔術文字と魔法文字を書き連ねる。その後、〈魔力筆〉で空中に魔導術式を書き込む。


最終的に天球の様な形になったら、儀式の準備は完了だ。


取り敢えず、コアたちを呼び付ける。どうやら、ダンジョンに行っていなかった様ですぐ来た。


……二つ増えてる。頬を抓ってみる、痛い。増えてる…!


まぁ、良いや。どうせ本体の複製を止める第一プロトコルは解かれるだろうと思ってたから。術師の質は上がるし、何の問題も無いよね!


生物を真似る方が早いと思ってたのになぁ〜。なんだって?生物より同種の方がコピーが楽だったから?……そうかい。


五つの円のなかにコアたちに立って?もらい、残りの一つに僕が立つ。そして


「権能励起『ハマリエル』【マリル】【ポテス】」


そして、『魔力湧き』を飲みもう一つ術式起動。


「大いなる静寂 偉大なる輪廻 誕生が三番 闇が司神(つかさがみ)シスム 御身の慈愛たる静寂の権現 暗日は卑しい人に眠りを与え 暗月は勤勉なる者に癒しを与え 我は其の恩恵に深謝を捧げん 闇よ我が身を喰い違え 邪なる呪いを喰い封ぜ〈銀環暗日蝕喰邪呪封印〉」


これで、あの忌々しい(のろ)いは完全に封印出来ましたかね。しかし、使った魔力が少ない所為か、効果時間が短いです。たった三日とは。


今度儀式魔導術式で全力で使ってみましょうかね。


この手の魔道具は手加減をしない方が良い結果を招くので、予定通り本気で行きましょう。まぁ、言っても術式以外ではサファイアに私の血を垂らすだけですが。


懐から取り出したナイフで指先に切傷を作り、三ミリリットル程サファイアに着いたら無詠唱で〈小回復〉で切傷を消します。


そうしたら円に戻って杖を取り出します。


「【龍器召喚】」


やはり、龍器も私の身体の影響を受けますか。今は重要では有りませんから、後にまわしますが。


「原初なる芽吹き 世界を統轄する円環円理 破壊と創造の相対双理 魔と天の塑造難義 故に六色塑造は短慮なる 全なる天地は今や只在るに過ぎず 双理は矛盾し廻り 六理は混じり塊となる 混沌を断ち祓い天命を全うせよ 〈真神真司暁光呪天〉」


太陽の光が私に当たり、久々な気怠さのない体で翼をひろげます。中々に広い裏庭を真っ白に埋める三対の翼と抜けた羽。


やる事は単純、この翼で光を集めて宝石に込める。


サファイアを手元に〈念動〉で手繰り寄せ、空中に書かれた〈集光の陣〉で集まった光を翼に宿します。この時に光に私の力に変質させるのを忘れない。


このまま一時間程ですかね。この作業は懐かしいですね。七人でひたすらに研修を積んだあの時を思い出します。


――――――――――――――――――――


これで良いですかね。次は錬金ですから、コアたちには自由にさせておましょう。


さてさて、先ずはサファイアをカットしましょうか。


今回は指輪なので、ペアシェイプ・ブリリアンカットにしましょう。雫に似ていますしね。カットした余りの中で更にカット出来そうな物はブリリアンカットにします。


宝石のカットといえば何万種類と在るそうですが、実はマジックにも影響を与えます。


火に似た形では火属性を定着し易くさせたりと、そんな具合に。


詳しく説明すると長いのですが、単純には魔力を操る意思が火に似せようとする事で魔力が火属性魔力に変質するからです。


つまり、火属性魔力は魔力的には火を形作っており、同じ様な形の宝石には定着し易くなるのです。



錬金術(アルケミー)錬成術式(フォーマリゼイション):素材〈封約の白銀のリング 封約の白銀のナゲット 一個 紅燼魔鋼 誓詞蒼深(せいしそうしん)至誠蒼龍玉しせいせいりゅうぎょく 中 一個 極小 八個 〉リソース〈魔力 50,000,000〉」


リングには使役術式を全て刻み、刻んだ窪みには紅燼魔鋼を溶かして流し込みます。


銀と赤のリンクだ出来たら、ナゲットを熱して〈念動〉を使って形を宝石の土台にします。


次に一番大きなペアシェイプ・ブリリアンカットを中央に、周りにブリリアンカットを散りばめます。


そして宝石達に〈秘神乃祝印〉、〈荒神封柱〉を刻みます。加えて使役体限定強化術式〈賜体鋼魂(したいこうこん)〉を込めて完成です。


〈秘神乃祝印〉は私を強化する物で、〈荒神封柱〉は呪いを封じ込める物です。これで少しは呪いを軽減できるでしょう。


全力が出せない状況だけは避ける為に刻みました。まぁ、二百万程魔力を抑え込むのに使わなくなるだけでしょうが。


解析。


[誓約の楔:主従]

 呪祓禊 ■■乃祝印 使役体増力 

 呪いを祓い、主従を繋ぐ指輪。膨大な魔力が込められており、その量は並の龍を凌ぐだろう。リングに使われている封約の白銀は魔力に(あて)てられ、その聖属性魔力が高まっており一種の術具(オムニス)へと成りかけている。条件次第では聖遺物(レリック)にすら成りえるだろう。他にも何者かによって祝福が施されており、七大神を除いた神々では介入する事すらできないだろう。


上手く出来ましたね。能力が少ない代わりに大いに強化されましたね。魔力が多過ぎたでしょうか。


さて、学院に行く準備をしましょうか。


――――――――――――――――――――

今回の成果

プラス

 誓約の楔完成

マイナス

 素材代 1万シル

シリスティアの覚醒完全に忘れてました。次の機会に持ち越しですね。

(予想外に奥義が繋がってしまった事にします)


炉六鞍馬に関しては作者の夢だったから仕方ないね。作者の分身的な人物でオッケーです。だからと言って、特別強いという訳ではありませんし、設定は大して知っていません。(テンションで作者の名前が鞍馬に変わりそうではある)(深夜にこの部分を書いた訳ではありません)


残念なお知らせ

残念ながら作者が小説にかけられる時間が非常に少なくなってきている事から月一更新にさせて頂きます。大変申し訳ないです。

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