表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家の猫がポーションとってきた。  作者: 熊ごろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/389

「87話」

 クロが背後に回ったことで、ネズミのターゲットは宇佐見さんに移り、ネズミは地面に落ちると同時に宇佐見さんに向かい襲い掛かった。



 ……だが、その動きは明らかに遅い。隊員さんが倒したネズミの半分ぐらいしか速度が出ていないように見える。


 あれ?と思い、ネズミをよく観察すると、後ろ足が1本だけ変な方向に折れ曲がっていた。


 クロはただ捕まえてきただけでは無く、相手に合わせて獲物を弱らせていたのである。


 クロってばまじで気が利くよね……。



 だが、俺や隊員さんにとっては遅いネズミの動きも、宇佐見さんにとってはそうでもなかったらしい。


 寄ってきたネズミに向かい、手に持つ得物を振るうが、ネズミの背中を掠めるに終わる。


「く、お!」


 あ、やべ助けなきゃ……と思った直後、半ば反射的にだろう、宇佐見さんは足を蹴り上げていた。


 そしてつま先が見事にネズミの喉元へと突き刺さる。


「おー、お見事」


 数m吹っ飛んだネズミはじたばたと暴れているが、首が折れているように見えるので、反射で動いているだけだろう。


 宇佐見さんの初戦闘は無事、終わったのである……あれ?



 蹴り上げた体勢から、ガクリと崩れ宇佐見さんが地面に横たわってしまった。



「……副総理!?」


「ああ、腰やりましたね」


 額に汗を滲ませ、動かない……いや、動けない宇佐見さん。

 どうやら腰をやらかしたらしい。


 めっちゃ焦ったがなっ。





 その後、ポーションを患部にかけて念の為と湿布もはり、宇佐見さんの腰は復活した。


「痛みがもう無いぞ?すごいなこのポーションってえのは」


 そう嬉しそうに腰をぐいぐいと回す宇佐見さん。

 また腰やっても知らないぞー……。




 んで俺たちがドタバタしている間にも、クロは次のネズミを捕ってきていた。

 そして今度は堀井さんをじっと見つめている。


「次は堀井大臣ですね」


 俺の言葉にああ、と頷いて得物を構える堀井さん。


 さっきの宇佐見さんの失敗を見ているし、同じ事はしないと思うけど……果たしてどうなるか。




 堀井さんが得物を構えたのを見て、クロはネズミを放し、堀井さんの背後へと回った。


 駆け寄るネズミに対し、堀井さんは得物を叩きつけるように振るう。

 そして刃先が上手い具合にネズミの背中に突き刺さった。

 ネズミはビククッと痙攣し、動かなくなる。



「ぐぁぁあ!?」


 堀井さんは崩れ落ちた。

 あかん。




 得物を振るった時に腰に来たらしい……宇佐見さん同様に患部にポーションをかけて、ついでに湿布を貼ったのですぐ復活したよ。





「……次は河田大臣です」


 最後は河田さん……もう嫌な予感しかしねえど。


 宇佐見さん、堀井さんと同様にクロが捕ってきたネズミを放し……それを河田さんが迎え撃つのだが。




「ぐぅぅぅっ!!?」


 コントかな?


 随分と体はった天丼ネタですねぇっ!?





 とりあえず河田さんにもポーションと湿布を使ったぞう。


「全員腰やるとはなあ」


 いや、本当、笑えるけど笑えないぞ。


 このまま続けていけばその内に体も強化されて……いや、どんだけ時間とポーション掛かるんだろうね?


 どうすっかなー……やっぱ体鍛えるのを先行でやるべきか?

 レベルアップするのが一番だけど、これじゃそのレベルアップするの自体が大変過ぎる。



「すまねえな、俺は猫の言葉は分かんねえんだわ」


 ん?


 俺が今後のことについて色々と考えを巡らせていると……なんだろ。

 振り返ったら、クロがうなーうなーんと宇佐見さん達に向かい鳴いて……と言うか何か話している。


「ええと、これは……?」


「島津さんなら分かるんじゃないかね?」


 勿論ですとも。


「あ、はい。……とりあえず、倒し切った事を褒めてます。よくやったと……ただ、今のままじゃ厳しいので、まずは体を鍛えろ、と言ってますね」


 クロの言葉を訳するとこんな感じだった。

 やっぱクロも俺と同じ考えに至ったようだ。


 1体倒す毎に体痛めてちゃねえ……。


「猫に褒められるとか初めてですよ……」


「はは、そりゃそうだ。……確かに体を鍛えるのは有効だろうが、さすがにそんな時間は掛けられんぞ?」


 俺……というかクロの言葉を聞いて、そう返す宇佐見さん。

 まあ普通に筋トレやってたらそうよな。


 それに年齢考えると無理は出来ないし尚更だ。


「良い方法があります」


 でも、反則技っぽいのがあるんだな、これが。




 ポーションは飲んでも効果があること。

 ただ直接かける場合と違い、傷の治りがゆっくりになり、スタミナ回復効果が出て来ること。


 その効果を利用して、ひたすら筋トレする事で通常よりずっと効率的に筋肉を鍛える事が出来る事を皆に伝えた。


「ポーションを使って筋トレとは……何と言ったらいいのか」


 まあ、すんごい贅沢な使い方ではあるよね。

 でもその分効果はすごいからねえ……たぶん1週間もあればそこそこ筋肉つくと思うよ。


「もしかして島津さん、あんたのその体はポーションを使って筋トレしたのかい?」


「はい、そうです。俺、これでも筋トレ始めて半年程度なんですよ」


「半年!? 半年でそれですかっ?」


 今の俺の体って、服の上からでも筋肉が発達してるの分かるぐらいになってるからね。


 普通であれば数年は筋トレしないとこうならないはずだ。

 それが半年程度しかやってないとなれば、そりゃ驚くよね。


 隊員さん達も口には出さないけど、結構驚いてそうだ。

 たぶん、あとで試しにやってみるんじゃないかなー?



「そういう事であれば、短期間でもある程度効果は見込めるね」


「半年でそこまで行けるのなら、我々でも……」


「最近体が衰えてきたなと思っていたところでな、ありがてえ話だ」


 最初はちょっと時間が……と難色を示していた彼らであったが、ポーションを使い筋トレをすると言う、裏技の存在を知ると俄然やる気になったようだ。


「俺、ポーション用意しますんで、誰か筋トレ器具を用意して貰ってもいいですか?全部休憩所に運び込んじゃってください」


 そう言って、俺はその辺にあるダンボールからポーションを取り出して並べていく。

 昨日の内に多めに出しておいて良かったよ。

 こんだけあれば1日は持つでしょ。



 筋トレ道具はトレーニングルームに行けばいっぱい有るからね。

 隊員さんに取ってきて貰おう。


 まあ、部屋に入った隊員さんが宇佐見さん達には消えたように見えたらしく、ちょっとした混乱はあったけど条件満たせば分かりますよ、と言うとすぐに静かになった。


 変に突っ込まれても大変なので、冷静に対応してくれるのはありがたい。




 さて、筋トレ道具もポーションも用意できたし、始めますかね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 大臣てただのおじさんやのに(笑) 遠足になってるね ワイドショーネタやな(笑)
[良い点] チートでどうこうじゃなく 頑張ってお偉いさんも体を張っていること [気になる点] 少し運動するごとにゴキッと逝っちゃうであろう 大臣達の腰 [一言] 猫耳つけてニャーと鳴く 妖怪首おいて・…
[気になる点] ダンジョン内で筋トレは、あまり意味がなかったんじゃ・・・。 クロさんは指摘しなかったのだろうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ