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「7話」

 



 それから俺とクロはしばらくダンジョンの地図埋めをするべく徘徊していたのだけど……。


「地図半分ぐらい埋まったかな? 広すぎだよなここ」


 このダンジョン無茶苦茶広いんだよね。


 通路に座り込んで休憩がてらに作った地図を改めて眺めて見たのだけど……探索を再開してからしばらく経つと言うのにまだ地図の半分ぐらいしか埋められてない……と思う。


 思うってのはダンジョンの全体像が分からないんで、あくまで予想で言ってるからだ。

 地図は入り口を南としてそこから西側の部分が大体埋まっている感じ。

 残りは東側だけど、西側の分かっている範囲からしてこのダンジョンはたぶん正方形な形なんじゃないかなと思う。 だとすると残りは半分って事になるのだ。


 分かれ道も多いし小部屋も多いしで中々大変な作業だ。

 倒したネズミの数は100やそこらじゃ効かない。靴とかもう血みどろだよ。


 でも、そこまで疲れていなかったりするんだよねー。


「て言うか」


 地面に置いといた鉈を手に取り軽く振ってみる。

 倉庫に放り込んであった鉈はすごくゴツくて重量も結構あったのだけど……明らかに最初より振るのが楽になっている。


「……力が強くなってる」


 改めて意識してみると体も明らかに軽く感じるし、だんだん動きが早く、力強くなってるし、戦闘に慣れてきたって事じゃ説明しきれないぐらい身体能力あがってる。



「これってレベルアップってやつだよね?」


 レベルアップとかないんだーと落胆していたけれど、それは俺の気のせい……と言うか少しずつ強くなっていたので分からなかったようだ。


 感覚的にだけど力は2割ぐらい上がってるんじゃないかなーと思う。

 クロがおばあちゃん猫なのにあんなさくっとネズミを仕留めたのもレベルアップの恩恵なんだろう……。


 レベルアップかあ……やばい、顔がにやけてきた。



「……俺オリンピック選手になるんじゃないのこれ」


 1日でこれだけ上がったんだ、もしこれが1週間、1月とダンジョンに潜ったら? 想像すると思わず頬が緩んできてしまう。



 なんてはしゃいでいたら、急にお腹がぐぅっとなる。


「ん、お腹空いたなー……ってもうこんな時間! もう帰らないと、帰ってご飯にしよう」



 探索に夢中になりすぎて何時の間にか夕方……というか夜になってしまっていた。

 そりゃお腹も空くよね。と言うわけでそろそろ戻ろう。

 クロもお腹空いただろう。今日はずっと付き合って貰っちゃったし、夕飯は豪勢に一番良い缶詰めあけちゃうぞっ。



「へっへー」


 俺はるんるん気分でダンジョン出口へと向かう。


 さっきも言ったけれど、実際に一日でこれだけ身体能力が上がるのならオリンピック選手だって夢じゃないだろう。


「やるなら短距離走とかかなー? スタミナも上がってそうだし長距離でも良いかもなあ。 いやー楽しみだっ」



 力が上がってるし、たぶん走るの早くなってるだろうなあ。 それにあまり疲れないってことはスタミナも上がってるはず。

 短距離、長距離どっちもメダル取れちゃったりするかも?


 とりあえず今日は帰ってご飯にしてお風呂入ってー……そうだなあ、学校行ったら陸上部にでも行ってタイム計って貰っちゃおうかな? 今の時点で結構良いタイム出そうな予感がするぞ。


 とかなんとか妄想していたら何時の間にか出口についていた。

 さて妄想タイムはこのへんにして外に出よう。 靴は後で水洗いして……コインランドリーでも行こうかな、確か靴用の奴あったよね。




 ……と、そんな感じでダンジョンの外に出ようとしたのだけど、ダンジョンを出た瞬間体に異変が起こった。



「うあ……え、なにこれだっる」


 ものすっごい脱力感があったのだ。

 急に体がずしっと重くなる、軽かった鉈もひどく重く感じる……。



「……ダンジョン入ると治るか」


 そのだるさは再びダンジョンに入ると解消された。


「まじかあ」


 どうもレベルアップの効果はダンジョン内限定のようだ。もしかすると多少ダンジョン外でも少しの効果はあるのかも知れないけど、あったとしてもそんなに効果は無いと思う。 むっちゃだるいし……。



「そこの休憩所?で休んでいこっか……」


 たぶん、レベルアップの恩恵であまり疲れてなかったのだろうけど、疲労は蓄積してたってことなんだろう。

 で、そのまま外に出るとむっちゃだるいのでここの休憩所で休んでいくと、休憩所がこんな入ってすぐの所にあるのはそういう事なのかなあと思う。





「あー……やっぱそう上手くはいかないよなあ」


 家に戻って椅子でダラダラとする俺とクロ。

 残念だけどオリンピック選手になるのは無理そう。でもこのポーションだけでもすごい事だと思う、怪我が一瞬で治ってしまうのだし……凄すぎてこれを世の中に出したらどうなるのか、かなり不安ではあるけど。


「ま、いっか」


 当面出す気はない、このポーションは俺やクロが怪我したときのために取っておこうと思う。

 何個かあれば十分だろうけど、いつ何が起こるか分からないしまだまだダンジョンへは潜り続けようかなと思う。


 そろそろ学校も卒業だし、俺は今のところ働くつもりは無い……クロと出来るだけ一緒に居たいのと……喜ぶところじゃないけど、保険金とか慰謝料があるから贅沢しなければ一生暮らしていけるからさ。



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