表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家の猫がポーションとってきた。  作者: 熊ごろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/375

「69話」

 脳内で隊員さんの名前を繰り返して、顔と一致させる作業をしていると、都丸さんが全員に向かい声をかける。



「よし、それじゃあ行こうか」


 いよいよ出発か……っと、出発前に渡すのあったんだ。



「あ、その前にこれ持って行ってください。 ここの地図です。 あとポーションと湿布も渡しておきます」


 はぐれた時用の地図と、怪我した時用の回復薬だ。

 地図はとりあえず6階までを持ってきた、それぞれ多めに印刷してあるし、ちゃんと一人一枚行きわたる。

 ポーションと湿布も恐らくは数日持つであろう量を用意してある。


 これで何か起きたとしてもある程度対処できるだろう。

 地図と回復薬を用意してあると聞いて、隊員さん達も喜んでいる。次々とお礼を言っては受け取っていく……ふふ、用意しておいた甲斐があったぜ。



 と、うっへっへって感じで渡していたのだけど……。


「おお! それはありがた……何も書かれてないようだが」


 地図をみた隊員さん……これは太田さんかな。 太田さんが地図を指差しながらそんな事を言い出したのだ。

 まさかと思うけれど、すっごい嫌な予感がする。



 俺は太田さんの元へと向かい、地図を覗き込んだ。


「ええ!? まさか規制入って……まじかぁぁあ」


 まさかと思ったけど! まさかと思ったけどさあ!

 地図の情報も規制対象だったらしい、1階の地図が丸々綺麗さっぱり消えていた。

 太田さんが手に持っているのは地図ではなく、ただのA3用紙となってしまったのだ……。


 やべえ、凹んだぞ。

 凹んだけど……地図埋め作業は修練にはちょうど良いかも知れないし、まあ良いかと思うことにした。

 たぶん、4階のフロアを全部埋める事が出来ればレベルも5になるんでないかな。



「あー……とりあえず行きましょうか。 ペンありますか? あればそれでマッピングをしてください」


 そう隊員さん達に告げる俺。

 大体の隊員さんはペンを持っていたようで、地図作製は問題なく出来るだろう。


 結構面倒な作業だけど……あれ、なんか一人妙にうれしそうだな。


「はは、ゲームやってる気分だな」


「ゲームっすか?」


「ああ、ウィザ〇ドリーってゲームなんだけど、知らない?」


「知らないっすねー」


 あ、知らないって言われて凹んでる。

 ジェネレーションギャップってやつ?


 ウィザー〇リーは一応知っている。

 確かオートマッピング機能が無いから、自分で手書きとかで地図作製するんだよね、確か。


 ちなみに知らないと言われて凹んでるのは田浦さんで、知らないって言ったのは大野さんね。

 田浦さんは40代過ぎてそうな気がする。で大野さんは20代っぽいのでしょうがないのかなーと思う。



 そんな二人のやり取りを眺めて居た北上さんが、自分の地図を見ながら二人に声を掛ける。


「ゲームって言うなら自動マッピングぐらいして欲しいよねー。 あ、そうそうこんな感じー」


「そうだよなー。 ははは、は……は?」


 こんな感じーと言いながら二人へと地図を見せる北上さん。

 彼女の地図にはこの休憩所の図形が書き込まれていた……ちなみに彼女は地図作製を他の人にまかせるつもりだったのか、手にペンを持っていない。


 ……つまりどういう事かと言うと、この瞬間ダンジョンにオートマッピング機能が実装されたと言うことだ。



「なるほどな……歩いた箇所が自動で表示されるようになっているのか」


「他のダンジョンでこんな現象ありました?」


 隊員さん達は地図を見て、興奮するように話し合っている。

 そりゃこんなゲームみたいな出来事が実際に起こったらそうなるよね。


「ないな……島津さん、どうした?」


「いえ……俺、15階まで全部自力で書いたんで……ちょっと管理者を引っ叩きたくなってきた」


 ちなみに他のダンジョンでこんな現象はないらしいので……やっぱ、この瞬間に機能が実装されたと言うことだろう。


 てか、前にアマツに聞いた時にさ、実装するのむーりー的なこと言ってなかったっけ?

 だから自力で地図作製していたのに……おのれアマツめ。

 引っ叩くのは冗談にしても、芥子入りのシュークリームでも食わせてやろうかな? これ、日本で有名なお菓子デースとか言えば食うでしょ、たぶん。


「ははは。 お偉いさんが交渉した後でなら良いぞ」


 ははは。





 さあ、出発だー。

 の前に、ちょっとした確認作業があるようだ。



「山崎、北上。 お前らやってみろ、問題はないはずだ」


「は、はいっ」


「はいよー」


 そう都丸さんに言われて前にでる二人。

 二人は前回の時に戦闘を行っていないので、銃無しで問題なく倒せるか確認をするそうだ。


 二人を先頭に通路を歩いていくと、やがて前方からネズミが……ネズミを咥えたクロが現れた。

 何時の間に……?


 クロは二人の前に生きたままのネズミを落とし、にゃーと鳴く。 そして再び通路の奥へと向かい走って行ってしまった。

 それが何を意味するのか、俺でなくとも分かったようだ。


 二人は武器を構え、起き上がったネズミと対峙する。

 まずは山崎さんが戦うつもりらしい、一歩前へ進み、スコップを振り上げる。





 一撃で終了した。

 と言うかスコップで攻撃するのかと思ったら、踏み付けが炸裂したよ。

 まあ、あれは間違いなく即死だね。



 そして次のネズミは北上さんが対応したが、こちらもスコップを突き刺し、あっさりと倒してしまう。

 ……まあ、モンスターと言ってもほぼネズミだからね。



「問題ないな」


「問題ないですね。 たぶんここでネズミを倒すよりも奥にいるやつを倒したほうが、条件を満たすのが早くなると思います。 2階に行ってみましょうか?」


 戦闘結果を確認した俺は、隊長にそう進言した。


 たぶんだけど、彼らはレベル1では無いと思う。

 銃で戦うとレベル上がり難いとは言え、まったく上がらない訳ではない。

 なのでこのまま1階で戦い続けても効率は悪い、戦うならもっと先の方が良いだろう。


「ああ、行ってみよう。 島津さん、道案内を頼む」


 まかされたっ。


 とりあえず最短で2階に向かって見よう。

 相手はウサギだけど、油断するとそれなりに痛い目にあうし……まずはそこで様子見だなあ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こうして案内してますけどネコミミしっぽ生えてると思うといいですね。 更新お疲れ様です。応援してます。
[一言] ウィザー〇リーを知っている田浦さんにとってウサギはw
[良い点] 途中でオートマップ実装されたら確かに切れそうw 昔の攻略本とかも、最後までは書いてなかったり隠しマップは書いてなかったリしたから、手描きのマップ描いてたなー [気になる点] 立体のマッピン…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ