「49話」
「内容は、この間発見されたダンジョンの攻略者達についてなんだよ。 実は彼らはもうすぐ5階を突破するところでね」
「はやっ」
俺が5階に行くまで2ヶ月ぐらい掛かったはず……さすが自衛隊。 まあ。訓練している人と一般人を比較しちゃいかんよね。
……ん?自衛隊? その自衛隊に関して俺に何かお願いをしてって……え? 何か出来るような事が有るとは思えないんですけど。
「練度も高いし、装備も優秀だからね。 さすが軍隊と言ったところだねえ……あ、ごめんごめん。軍隊では無いんだったかな?」
自衛隊は自衛隊だかんね。
余所から見たらそうは見えないってことだけど。
「それで島津君に手伝って貰いたい事なんだけど。 このままいくと彼らは手詰まりになる可能性があってね」
「へぁ?」
思わず素で変な声が出た。
いや、おかしいでしょ。
装備も強力なんだし、敵倒しまくってレベルもがんがん上がるでしょ? 詰む要素無くないか。
「銃は勿論、彼らがもつ装備は全て強力なんだけど、使う本人のレベルが上がりにくいんだ」
「あ、そうなんですか?」
何という罠仕様。
まあ、遠距離攻撃強いし、仕方ないか?
「そう遠距離武器はその傾向があって、銃は特に顕著だね。 まあ、装備のレベルは上がるんだけどね。あと火薬とか薬莢部分も」
「火薬とか薬莢のレベル上がっても意味ないんじゃ……」
「うん、意味ないね」
火薬とか燃え尽きてるし、薬莢は回収するって聞いたことあるけれど、再使用する訳じゃ無いだろうし。 しないよね?
銃は強いけど、そんな罠があるのか……弓だとどうなんだ? 人と弓と矢の部分で3分割とかになるんだろうか?
「銃自身は強くなるし、より強力な弾を撃てるようになるんだけどさ、当然弾が高くなるでしょ?」
「あー」
確かに高そう。
特注になるだろうし、予算に限りもあるだろうし……そうなると銃自身が強くなっても余り意味が無いのか。
そうなると通常の弾を使い続ける事になる訳だけど……。
「かと言って従来の弾じゃいずれ対応できない敵が出て来るし……手詰まりにならない内に、己の肉体を使って戦うと良いって事を島津君からさり気なく伝えて貰いたいんだよ」
無理じゃね?
前半部分はよく分かりました。
敵はどんどん強くなるからね、通常の弾を使い続けるのであれば、その内に通用しない敵が現れるだろう。
戦車とかRPG?使えば倒せるだろうけど、銃よりお高いだろうし。
でも後半部分がよく分かりません。助けてっ。
何をどうやったらさり気なく伝えられると言うのか。
今から予備自衛官になれとでも申すか。
それともお祭りにでも行ってお話しする? 雑談ぐらいなら出来るけどなっ。
「自力で気付いてくれると嬉しいんだけど、ほかの2国も同じような感じだしねえ……」
「……アマツさんからは伝えられないんですか?」
アメリカとイギリスも同じと……まあ、銃があるのにわざわざ近接武器で戦わないよね、普通は。
もし敵がゾンビだったらアメリカだと銃以外も使いそうだけど。チェーンソーとか。
てか、それぐらいアマツが伝えてしまえば良いと思うのだけど……?
「伝えても良いんだけどね、出来ればチュートリアル突破してからにしたいと言う……個人的な拘りかな? ただ彼らはこのままじゃチュートリアルを突破する前に、攻略を止めてしまう可能性があるからね」
拘りあるのねえ。
やっぱダンジョンマスターだからかな?
「敵は強くなる一方で自分達は強くならない。そうなると怪我人が続出するからねえ……死ぬ事はないけれどさ。 ポイント使えないとポーションは大量に手に入らないし、割に合わなく……いっその事爆破してしまおうか、とかね」
「それでどうするか悩んで……俺って訳ですね? 分かりました。 何したら良いか分からないですけど、協力します」
まあ、協力はしようと思う。
なんだかんだでお世話になっているし、この後もお世話になりまくる予定だし。
ちょっと何をすれば良いか分からないけれど、協力はする。
「ありがとう! たぶん大丈夫だとは思うんだけどね、彼らが詰みそうになった時はお願いするよっ」
俺の答えに嬉しそうに話すアマツ。
たまに引っぱたきたくなるけれど、いい人?なんだよなあ。
これからも仲良くしていきたいし、がんばろうと思う。
「とは言ったものの、いざそうなった場合に何すれば良いかとか本当にさっぱりなんだよなあ」
と、その場はそれで解散となったのだけど、家に戻ってからどうしたものかと考えが頭をグルグルと回りだした。
自衛隊との接点なんてお祭りぐらいしかないし。
予備自衛官とかもどうやってなれば良いのか分かんないし。
……まあこれは単にまだ調べてないからだけどね。 でもなったらなったでどうすりゃ良いのか、と考えてしまうので……結局考えがまとまらない。
「……まあその時が来るまでダンジョン攻略進めればいっか」
結局めぐりめぐって俺が辿り着いた答えはそれだった。
考えても分かんないし。
ならとりあえず決まっている事をやってしまえなのだ。
……あ、そういやクロにあれで良かったか聞いてなかった。
「報告するタイミングは15階に到達したらって話したけどクロもそれで良い? 7月にはいけると思うけど……」
そうクロに尋ねるとうにゃーと応えが返ってくる。
それで良いらしい。 と言うか新作のチュ〇ルを食べるのに夢中であまり話を聞いて無さそう。
ところでクロや、いつの間に一人で開けて食えるようになったんですかね……?
それ俺がクロにやるのを楽しみにしてたんだけどなー。
「……よし、そうしよっか」
まあ、一応クロも大丈夫そうなので、とりあえずは7月までに15階層到達するのを目標にしていこうと思う。




